ガタンゴトン
孝
孝
孝
ピロリン
真里
孝
真里
孝
孝
孝
孝
俺は通勤電車の中で、少し離れた場所に座っている客に注目した
孝
座席に座っていたのは妻の真里だった。間違いない
孝
ピロリン
真里
真里からだ。しかし、電車の中にいる真里はスマホを見ていない
孝
その時、駅に到着して電車は停まった
そして真里は、俺に気づかないまま電車を降りた
孝
俺は慌てて後を追い、途中下車した
真里は普通に改札を出て歩き始めた
後ろ姿も真里だ。妻を見間違うはずがない
孝
孝
真里には歳の近い妹がいる。顔も声もよく似ている
孝
孝
孝
そんなわけはない。しかし……真里は普通に俺の少し前を歩いている
プルルルル
孝
光二
孝
親友の光二からの電話。真里は着信音には気づいていないようだ
光二
孝
孝
孝
光二
孝
光二
光二
孝
思い出した。真里はその時付き合っていた彼氏と一緒に住んでいた
彼氏が単身赴任中に、俺と付き合うようになったんだった
結局、真里は彼氏と別れ、俺と結婚した
よくよく考えてみれば、要するに俺は浮気相手だったわけだ……
光二
プツッ、ツーツーツー
孝
孝
孝
孝
俺は真里の後を追った。真里は速足でどんどん歩いていく
確かそっちの方向は……かつて真里が住んでいたマンションがある
つまり、当時の彼氏の名義のマンションだ
孝
孝
その時、真里の姿を急に見失なった
……と思ったら、公園のそばの電話ボックスに入っていた
孝
俺は急いで真里のスマホに電話を掛けた
普段は会社からも掛けたことなどないのだが……
プルルルル
真里
孝
電話ボックスの中の真里はこちらに背を向けている
スマホを耳に当てているのかどうかも、よく見えない
真里
孝
真里
真里の妹の声……に聞こえないことも無い。姉妹の声はよく似ている
それとも今、電話ボックスにいる真里がしゃべっているのか
真里
孝
真里
孝
真里
孝
真里
プツッ、ツーツーツー
真里が電話を切るのと同時に、電話ボックスから真里が出てきた
そしてそのまま、元彼のマンションへと向かっていく
孝
思わず声を掛けた
すると真里は後ろも振り返らず、一目散にマンションへと走り出した
孝
俺の声は聞こえているはずだ
それなのに真里は振り向かず、マンションに駆け込んでいく
孝
二階の階段を上ってすぐの部屋だ
俺は真里を追って、死に物狂いで階段を上がった
孝
真里が男の部屋に入っていくのが見えた
俺は慌ててドアに飛びつき、真里の腕をつかもうとした
その時……!
バキッ!!
孝
真里の部屋から若い男が飛び出してきた
俺は突然、顔面を殴りつけられ、吹っ飛ばされた
ドッドッドッドッ
そのまま階段を転がり落ちていく
ああ、そうだ。……思い出した
10年前、真里が携帯電話を会社に忘れた日
電車の中から変な男に着けられているみたいだと
公衆電話から俺に助けを求めて来たんだった
俺はその時、真里の部屋にいて
真里の腕をつかもうとしたストーカーを殴りつけた
孝
さっきの若い男は……
孝
コメント
4件
めっちゃ面白いですね
どういうこと!?