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シロウサギが作るフルーツサンド・ショートケーキは

とっても美味しい

クリームはもちろん、フルーツもふんだんに使っている

そして──

歩いても歩いても変わらない景色

ルリ

(同じところをくるくる回ってるような…………)

どうして自分がこんなところにいるのか、さっぱりわからなかった

ルリ

(久しぶりにミワと会うことになって──)

ルリ

それで……

ルリ

どうしたんだっけ?

覚えていない

気がつけば、なぜか森の中に突っ立ってた

ルリ

少し休もう

腰を下ろし一休みをする

ルリ

……はぁ

こんなとこで何してんだ?

ルリ

……?!

視線を向けると──

白い燕尾服に身を包んだ青年が立っていた。頭にウサギの耳が生えている

??

迷ったのか?

ルリ

…………

うなずく

??

??

付いてきな

ルリ

え?

??

こんなとこにいてもしょうがねーだろ

ルリ

(それはそうだけど──)

??

近くにオレの家がある

ルリ

…………

??

まだ名乗ってなかったな

??

オレはシロウサギだ

シロウサギ

適当に座っててくれ

そう言うとシロウサギは部屋から出ていく

数分後、銀の盆を持ちながら部屋に戻ってきた

シロウサギ

これくらいしか、もてなしできねーが

目の前にフルーツサンド・ショートケーキと紅茶が差し出される

ルリ

(わぁ、美味しそう)

こくり

思わず唾を飲み込む

シロウサギ

遠慮するな

ルリ

──いただきます

ぱくっ

一口食べる

ルリ

ルリ

美味しい

クリームとフルーツの甘酸っぱさが口に広がった

シロウサギ

それはよかったぜ

ルリは一心不乱にフルーツサンド・ショートケーキを口に運ぶ

ケーキの層から赤い液状なものがとろりと溢れた

ルリ

(ベリーソースかな?)

こり

ルリ

…………?

なかなか噛みきれず、なんとか飲み込んだ

ルリ

ルリ

(──フルーツの食感とは違うような)

紅茶をすすりフルーツサンド・ショートケーキをペロリと平らげた

シロウサギ

そんだけ食ったら

シロウサギ

作った甲斐があるってもんだ

ルリ

作った?

シロウサギ

あぁ、オレが作った

シロウサギ

美味かっただろ?

人間の血と肉入りのフルーツサンド・ショートケーキ

ルリ

え?

耳を疑った

ルリ

……人間の血と、肉…………?

ルリ

ルリ

…………ウソ

シロウサギ

ウソじゃねぇ

シロウサギ

ケーキの層から溢れた“赤い液状なもの“

シロウサギ

フルーツの食感とは違う妙な“歯ごたえ“──

ルリ

…………っ

シロウサギ

それが人間の血と肉だ

シロウサギ

美味そうに食ったろ?

ルリ

とたんに嘔吐をもよおし、ルリは胃の中のものを床にぶちまけた

シロウサギ

ここはな、罪人しか来れねぇんだ

ルリ

…………罪人?

シロウサギ

お前、カサナギミワを──

殺したな

ルリ

ルリ

なにを言ってるの?

ルリ

わたしがミワを殺すわけないじゃない!

シロウサギ

きっかけはほんの些細なことだった

シロウサギ

口論となり、お前は相手を

シロウサギ

両手で思いっきり押した

そして──

そこに段差があるとも知らずにカサナギミワは足を踏みはずし、後ろへ倒れる

頭を強く打ったのかコンクリートの地面に血だまりができている

一目で死んでいるのがわかった…………

シロウサギ

お前はパニックを起こし、その場から逃げるように去った

ルリ

ルリ

(あぁ、そうだ)

ルリ

(わたしがこの手でミワを……)

それから1週間、怯えながら過ごしていた

いつ警察が踏みこんでくるのかもしれないと思うと、気が気でない

もちろん誰にも相談できなかった

そんな“秘密“を抱え込んだまま、平穏に過ごせるわけもなく…………

ルリ

(耐えきれなくなって、わたしは──)

自ら命を絶った

ルリ

…………

シロウサギ

選ばせてやるよ

ルリ

…………?

シロウサギ

残りのフルーツサンド・ショートケーキを食うか

シロウサギ

フルーツサンド・ショートケーキの材料になるか

ルリ

…………?!

シロウサギ

もし決められねーんだら

シロウサギ

オレが決めてやってもいいぜ

シロウサギが作るフルーツサンド・ショートケーキは

とっても美味しい

クリームはもちろん、フルーツもふんだんに使っている

そして、罪人の血と肉を甘く煮込み、ケーキに加えるだけ

さあ

遠慮なく召し上がれ

最高のフルーツサンド・ショートケーキを──

××× au pays des merveilles

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