キャンプ

俺たちは今、車でキャンプ地に 向かっている。

何か自然を感じられるデートがしたい というキヨくんの要望により

山でのキャンプをすることにした。

車の運転はもちろんキヨくん。

……俺は運転できないからね。

こうしているとどっちが年上だか わかったもんじゃないな。

山道に差し掛かったところで ふと横のキヨくんを見た。

普段は平地しか車を走らせないために 山道は慣れていないようで

若干緊張しているようにも見える。

思わず笑みがこぼれた。

くだらない会話で和んだのか 緊張は少し解れたようだった。

少し進むと 窓の外には綺麗な紅葉が繁っていた。

俺はそれをぼーっと眺めながら呟く。

ぶっきらぼうに言ったキヨくんの顔は 少し赤かったように見えた。

紅葉の色が移ったのかな…

…そうじゃないといいけど。

小高い山の上にあるキャンプ場。

早速車から道具を取り出し 設置に取り掛かる。

キャンプに慣れている俺は 手際よくテントを貼っていく。

折りたたみの椅子とテーブルを 持ってきてテントの横に広げる。

それにしても景色がいい。

天気もいいし、下を見れば 紅葉も綺麗に見える。

椅子に座りながら ふぅ…と一息つく。

二人で天を仰ぎながら そんな風に他愛もない話をする。

そう言って近場にある温泉に向かった。

キャンプといえばバーベキュー。

これがやっぱり醍醐味である。

温泉から帰り、バーベキューの準備をする。

コンロを組み立てながら、 食材の準備をしているキヨくんの方を見た。

すごくしゅんとした顔をしている。

そう言ってにっこり微笑む。

野菜が嫌いなキヨくんは 肉ばかり皿に盛っていく。

食らえ！

和やかな雰囲気の中 バーベキューをできるのがとても楽しい。

キヨくんの笑顔も戻り 最高のキャンプだ。

バーベキューも終わり すっかり暗くなった空を眺めた。

俺はコーヒーを、キヨくんはココアを 飲みながら椅子でくつろいでいる。

目の前にはパチパチと音を立てて 焚き火が燃えている。

二人で向かい合って とてもいい雰囲気だ。

マグカップをテーブルに置き、 テントの中に寝そべる。

たくさんの星の中に満月も見える。

いい時期に来たのかもしれないな。

キヨくんは少し困った顔で俺の方を見た。

その時のキヨくんの笑みは 優しいような怖いような

そんな印象だった。

知らなかったとはいえ キヨくんに告白してたみたいだ。

恥ずかしさでどんどん顔が熱くなる。

するとキヨくんはふぅ…と一息ついて 語りだす。

少しバツが悪そうに顔をそらす。

きっとキヨくんなりの照れ隠しなんだろう。

キヨくんと目があって 二人して笑い合う。

ちょうど焚き火が消えて 和らいでいた寒さが戻ってくる。

この先もずっとこんな風にいい関係が 続けばいいな―

END.