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さつまいも

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橘靖竜
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画面上には可愛らしいキャラクターが映し出されている。
画面の前には、ヘッドセットを身につけ、部屋着のまま喋る彼女の姿があった。
塩酸により焼けただれた肌は、やはり現代の医療では限界があるとのこと。
それでも、大金を積んで皮膚の移植を試みてみたが、しかしツギハギだらけのフランケンシュタインのようになってしまった。
このままでは、仕事もなくなるし、かと言って外に出て働くこともできない。
そんな矢先、彼女を救ったのは、ヴァーチャルの配信スタイル。
いわゆる立ち絵を配信者として前面に押し出した仮想の配信スタイル。
ミホ
ミホ
元よりトークスキルはあったのであろう。
徐々にリスナーも増え、なんとか食いつなげるまでに彼女は復活を果たしていた。
本当ならば、美容系インフルエンサーを続けたかったのであるが。
ミホ
あの悪夢。
塩酸を頭から被った記憶は、いまだにフラッシュバックとして彼女の脳裏に蘇ることがある。
それでも、生活の安定が見えてきたおかげで、精神も安定していた。
ミホ
まだ駆け出しのヴァーチャル配信者であるため、こちらから企業に営業をかけたりする。
いわゆる個人勢というやつであり、事務所に所属していないため、主な収入源は配信によるキックバックと、投げ銭と呼ばれるもの。
ただ、有名になれば有名になるほど、その宣伝効果も大きくなり、いわゆる案件と呼ばれるものが企業から出てくることもある。
その途上にある彼女は、自ら様々な企業に、案件の営業をかけていた。
ゆえに、仕事終わりのメールチェックはルーティンとなっていたのだが。
ミホ
ミホ
メールのタイトルを見て、彼女は後退った。
インフルエンサー【ミーニャ】を殺してしまった、えげつのない番組。
二度と見たくはなかった文字列が、当たり前のように鎮座していた。
ミホ
ツギハギになった部分を掻きむしる。
もはや【断罪の魔女】は、彼女にとってアレルゲンのようなもの。
塩酸で焼かれた顔がかゆくなる。
ミホ
もう充分すぎるほどの裁きは受けているはず。
だから、もう関わらずに生きていきたい。
震える手でメールを開いた。
【インフルエンサーのミーニャこと、ヴァーチャル配信者のネコミミ様】
ミホ
ミホ
ミホ
ミホ
インフルエンサー【ミーニャ】は、塩酸で顔を焼いた以上に、かつてしでかした悪行がネット上に出回り、社会的に殺された。
仕事がなくなってしまったのは、顔を焼いたことだけが原因ではないのかもしれない。
だから、かつての経歴を伏せ、心機一転してヴァーチャル配信者になったのに。
ミホ
本文はこう続く。
【お久しぶりでございます。MCのユエでございます。この度、番組の総括といたしまして、特番をすることになりました】
【つきましては、ご出演のオファーをさせていただきます。なお、拒否権はございません】
ミホ
【詳細は追ってご連絡いたします。もし、拒否され場合――ヴァーチャル配信者ネコミミの正体が、世に出回ることになるでしょう】
ミホ
痒みのあまりツギハギを掻きむしり、縫合跡から血が滲む。
ミホ
彼女がぽつりと漏らした言葉は、虚空に浮かび上がると、ゆっくりと消えていくのであった。
ユエ
ユエ
いつもの場所。
【断罪の魔女】のスタジオと言っても過言ではない場所には、薄汚れたホワイトボードが置いてある。
そこには何枚かの写真が貼り付けられていた。
ユエ
ユエ
ユエ
インフルエンサーの顔写真に続けて、ミノリカワの写真にも赤いペンでバツをつけるユエ。
その表情には、恍惚に近い笑みが浮かべられていた。
ユエ
ユエ
そして、ユキノの顔写真にもバツをつける。
ユエ
スメラギ
ユエの1人の時間を奪うかのごとく、スメラギが姿を現した。
ユエ
ユエ
スメラギ
スメラギ
スメラギ
ユエ
ユエ
ユエ
スメラギ
ユエ
ユエ
スメラギ
スメラギ
スメラギ
スメラギ
ユエ
スメラギ
ホンドウ
スメラギ
スメラギ
ホンドウ
ホンドウ
ホンドウ
ホンドウ
ユエ
ユエ
マサッキー
マサッキー
まるで見計らっていたかのように、マサッキーが姿を現す。
マサッキー
マサッキー
スメラギ
スメラギ
マサッキー
ユエ
スメラギ
ユエ
スメラギ
マサッキー
ホンドウ
スメラギ
ユエ
役者は全て出揃った。
そして迎える最終局面。
【断罪の魔女】の最終回が始まる。