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いつからだろう?
会いに行かなくなってから随分と時が過ぎている気がした
丈太郎
明日夢
そう言って一人、家を出る息子に
かける言葉が見つからなくて
丈太郎
丈太郎
いつも同じことしか言えなかった
明日夢
何度か誘われたこともあったが
丈太郎
丈太郎
顔を見ると
たくさんの楽しかった思い出でが浮かんできて
眠ったままの彼女を見ているのが辛くて
足を運べなくなってしまった
明日夢
明日夢
一人になると考えてしまう
どうしてあんなことになってしまったのか
どうして助けることができなかったのか
明日夢
丈太郎
明日夢
この日もいつものように
明日夢は母親の元へ行くと言った
土曜だが仕事のあった俺は朝食後、直ぐに支度をして
丈太郎
明日夢
いつものように家を出た
琴音
琴音
丈太郎
いつものようにお隣の奥さんに挨拶をして駐車場へ
職場は家から車で十分ほどの所にあり
到着したら車を乗り換え
早朝からトラックで荷物を運ぶ
雨の日も風の日も雪が降っても
ほぼ毎日ハンドルを握りしめ運転を続けてきた
彼女と再会をして付き合うことになってからは
休日にも運転する機会が増え
約二時間半かけて彼女に会いに行った
高校時代のあの頃はまだ
俺自身、そこまで意識して彼女を見てはいなかった
彼女は別の男と付き合っていて
三年になって直ぐに別れたと言う噂が流れたが
特別、彼女に対して気持ちを持つこともなく
同じ部に所属していたが話す機会も殆どなかった
でも高校三年の秋
同期A
内海
同期A
別れた男が突然、彼女とのことを暴露し始め
内海
丈太郎
同期A
勝ち誇ったように話す男の横で
愛紗
愛紗
愛紗
彼女の顔がみるみる青ざめていく
丈太郎
いくら付き合っていたとはいえ
二人だけの個人的な情事を暴露するのは最低な行為
しかも時期は二人が別れたと噂が流れる少し前だったらしい
丈太郎
別れを切り出したのも彼女の方からだったらしく
半年以上も経っているのにいきなりこんな話をされて
更にその場には俺を含めて数名の男子生徒がいた
愛紗
愛紗
ただでさえ耳を塞ぎたくなるような状況で
顔面蒼白で必死に否定を続ける彼女の姿に
この男のしたことがただ事ではないような気がした
でも下手に口を挟めば彼女を傷つけてしまうかもしれない
丈太郎
結局は何も聞けないまま時が過ぎ
真相を知ったのは再会後、二人でホテルに行った時だった
突然のフラッシュバック
当時のことや以前、付き合っていた人との記憶が甦り
彼女は全身を震わせた
そこでやっと彼女の口から真実が語られ
俺は彼女をそっと抱きしめた
これ以上
傷ついて涙を流す姿を見たくなかった
それから彼女は
悩んだり迷ったりしながらも前に進み
ずっと抱えていたトラウマを乗り越え
俺のプロポーズを受け入れてくれた
そして結婚して妊娠して
明日夢を出産……
愛紗
愛紗
丈太郎
不意に浮かんだ彼女の言葉
ずっと記憶の中にしまっていた出来事が
頭の中に甦る……
偶然なのか運命なのか
急に午後の仕事がなくなり
昼過ぎに職場を出た俺は
気が付くとここに足を運んでいた
久々に訪れた病院は
頻繁に通っていた頃と全然、変わっていなかった
沼田さん
丈太郎
丈太郎
沼田さん
沼田さん
丈太郎
沼田さん
沼田さん
丈太郎
沼田さん
丈太郎
沼田さん
沼田さん
沼田さん
丈太郎
どういうことだ?
明日夢はほぼ毎週
明日夢
そう言って家を出ていた
だから今日もここに来ているのだと思っていた
丈太郎
丈太郎
沼田さん
おかしい
何かがおかしい
病室のドアを開けると
そこに明日夢はいなかった
確かに今朝、ここに行くと言っていた
丈太郎
明日夢
何度か帰りが遅くなることがあった
ここからの帰りに寄っていたのだと思っていたが
本当は違うのか?
去年から様子もおかしかった
急に昔のことを聞いてきたり
それまで触れてこなかった実家のことを聞いてきたり
丈太郎
明日夢
じいさんの作っている変な椅子と関係があるのか
愛紗
愛紗
まさか……
丈太郎
丈太郎
だとしたら……
明日夢が危ない……