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病院を出て
俺は車を走らせた
明日夢を探すために
もしかしたら
"まだ"じいさんのところにいるかもしれない
明日夢はほぼ毎週
明日夢
そう言って家を出ていた
でもしばらく病院に行った形跡はなく
担当の看護師さんも明日夢の姿を見ていないと言う
そしていつも
明日夢
そう言っていた
もしじいさんの作っている椅子のようなものが
あの時、明日夢をあそこに寄越したのだとしたら
全てをわかっていて自分の意思であそこに……
全く気づかなかった
明日夢がそんなことをしていたなんて
一緒に暮らしていて気づいてやることができなかった
明日夢が急に昔のことを聞いてきたのも
それまで触れてこなかった実家のことを聞いてきたのも
全ては……
丈太郎
念のため家にも戻ってみたが
そこに明日夢の姿はなかった
丈太郎
直ぐに隣へ行きインターホンを鳴らす
琴音
丈太郎
琴音
琴音
丈太郎
琴音
丈太郎
琴音
琴音
丈太郎
琴音
琴音
地下に行くのは初めてだった
最初の入口は普通の木製の扉だが
その奥の階段を下りた先には頑丈そうな鉄の扉があり
その扉の向こうにある地下室は
まるでシェルターのような空間だった
かなり本格的な防音設備
見たこともない大きなコンピュータ
そのコンピュータに繋がっている黒い椅子
見た目は黒のマッサージチェア
フットマッサージ付きの
高級そうな革張りの椅子
頭上にはヘルメットのようなものが設置されていて
異様な雰囲気を醸し出していた
作造
作造
作造
作造
作造
丈太郎
丈太郎
丈太郎
作造
丈太郎
丈太郎
丈太郎
作造
作造
今朝、俺が出勤した後
奥さんが明日夢に連絡をして
アップルパイを焼くから取りに来ないか?と告げた
明日夢は昼前に根岸家を訪れ
アップルパイを受け取り……
帰っていったと奥さんは思っていた
でもその時
居間の引き出しに隠していた地下室のマスターキーを盗み
どうやって戻ったのか
昼食のためじいさんが地下を出た隙に侵入
盗んだ鍵で扉を開け
勝手にこの機械を操作した
この地下室の鍵はとても特殊なもので
大量の同じ形の鍵の中に紛れ込ませ隠していた
無数の鍵の中からどうやって本物を探し当てたのか
見つかるとは思っていなかったじいさんは
地下室に侵入していた明日夢の姿に驚き困惑したようだ
直ぐに明日夢を戻そうとパソコンを操作したが
改良中で不完全な状態だったからなのか
戻すことはできなかった
丈太郎
作造
丈太郎
作造
作造
丈太郎
作造
じいさんにとっても予想外の展開だった
明日夢の真意を悟ったじいさんは
明日夢を止めるために元々、予定していた改良作業を早めた
そうすれば明日夢は諦め
作業が終わる頃には冷静に判断ができるようになると思った
作造
作造
作造
丈太郎
その時、地下室の電話が鳴りじいさんが受話器を取る
この電話は一階に繋がる内線電話で
奥さんからの連絡だったようだ
作造
作造
受話器を置いたじいさんが嘆息を漏らす
作造
作造
丈太郎
明日夢は家を出るふりをして隠れていた
彼女を助けるために……
明日夢
明日夢
丈太郎
明日夢は本当に
無事に戻ってこれるのだろうか……