今宵、満月の日に会いましょう。
Story.6
セト
…紬?
永瀬 紬
…ひ、久しぶり…だね!
セト
そうだね
永瀬 紬
あ、あの
セト
なんでここに来たの?
セト
ここに来るなって言ったよね?
セトは怒った顔で私を見た。
永瀬 紬
で、でも
セト
…言ったよね?
永瀬 紬
…
セト
ていうか、なんでこの森に入ってこれた?
セト
見えないはずなのに。
永瀬 紬
(…見えない?)
永瀬 紬
それって、どういう…
セト
あのさ、
セト
もう
セト
俺と関わんない方が良いよ
永瀬 紬
…なんでそう勝手に決めつけるの?
永瀬 紬
私の気持ちはっ!?
セト
絶対、後悔するから。
永瀬 紬
…しないっ!!
永瀬 紬
勝手に決めつけないでっ!!
叫ぶと同時に涙が溢れ落ちた。
セト
…
セト
あ…
トキ
セトッ!
永瀬 紬
…!!?
大きな木の上の枝に
一人の女の子が座っていた。
セト
…トキ
永瀬 紬
(…トキ…、セトのお姉さん?)
トキ
…話すの?
セト
…うん。
セト
もう黙ってても仕方ないや…
トキ
そう…
トキ
後悔しないでね。
セト
分かってるよ、姉さん。
永瀬 紬
…?
トキさんは私に微笑み
消えた。
永瀬 紬
…あの、話すって?
セト
…まだ俺の事、見えるんだね。
永瀬 紬
…どういう事?
セト
俺は人間じゃないんだ。
永瀬 紬
…え?
セト
…
セト
妖怪って知ってる?
永瀬 紬
うん
セト
俺は妖怪…
セト
おかしいでしょう?
セト
俺は背も顔も声も
セト
この14年間…何も変わってない。
永瀬 紬
…!
永瀬 紬
(…確かにそうだ。)
永瀬 紬
(セトは何も成長してない…)
セト
妖怪は大人になると完全に見えなくなる。
セト
子供の頃は霊感が強いって良くあるけど
セト
大人になったら見えなくなる。
セト
そう言うの、聞いたことない?
永瀬 紬
…ある。
セト
…だから、紬も
セト
いつか、俺の事見えなくなる日がきっと来る。
セト
だから、もうここには来るなって言ったのに。
永瀬 紬
(あの時、森が見えなかったのは)
永瀬 紬
(私の霊感が弱まってきているから?)
永瀬 紬
(それじゃあ、もうセトには……)
永瀬 紬
…ぅ"う"…、ぁぁあぁあぁ…!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
永瀬 紬
…嘘っ。
涙がこぼれ落ちる。
無数の涙が永遠に。
永瀬 紬
(もう、二度と会えなくなる日が来るの?)
永瀬 紬
(…そんなの、嫌だ。)
永瀬 紬
(嫌だ、嫌だ。)
嫌だ…。
セト
だから、もうこれ以上
セト
お前とは会えない。
永瀬 紬
…
永瀬 紬
(…どうして、あなたは)
妖怪なの?
永瀬 紬
(私、あなたが何になろうが)
永瀬 紬
(何て言われようが)
永瀬 紬
(何をしようが)
あなたの事が
好きだわ。
セト
さぁ、
セト
家にお帰り。
永瀬 紬
…
セトは深い森へと私に背を向けて歩いていく。
永瀬 紬
…待って…!
永瀬 紬
待ってっ!!!!!!
私はセトの服を掴んだ。
セト
…早く
セト
帰ってくれないか…?
永瀬 紬
…っ!!
永瀬 紬
セト
永瀬 紬
どうしてあなたが
永瀬 紬
泣いてるの…?
ーto be continuedー







