TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

純玲 スミレ

…誰?

琴葉 コトハ

い、いや……此方の台詞なん…ですけど?

透明な硝子細工のように 脆く儚げな雰囲気に 合わない言葉遣いは 更に混乱を招き入れた

渚紗 ナギサ

ぇ……えっと……

純玲 スミレ

…もしかして……貴方が
"琴葉"?

琴葉 コトハ

な、なんでうちの名前を知っとるん…ですか?

純玲 スミレ

それは_

水彩 スイサイ

この本に登場する
琴坂 琴葉さんと 魁人さんを救出してください

そう言いながら彼女は 一冊の本を私達に見せた

純玲 スミレ

琴坂 琴葉と…魁人?

水彩 スイサイ

はい
この本の主人公達です

水彩 スイサイ

この本の本来のあらすじを簡単に説明致しますと…

水彩 スイサイ

主人公の一人 琴葉さんがとある剣士と恋をするというのが本来のあらすじでした

渚紗 ナギサ

本来のって…どういう意味ですか?

星風 セイカ

実はね…この本は一度
メルト・ステラに盗まれた本なんだ

純玲 スミレ

そうなの?

渚紗 ナギサ

ぬ、盗まれたって……

星風 セイカ

メルト・ステラの事だろうから一応何かしらと変な魔法とか能力を使用してないかっていう検査みたいなのはしたんだけど…

水彩 スイサイ

検査結果が 外面は正常
内面は 腐食中という矛盾した結果が出たんです

純玲 スミレ

矛盾…?

渚紗 ナギサ

つじつまが合わない事を
矛盾って言うんです

渚紗 ナギサ

…例えば純玲さん
林檎とか葡萄って好きですか?

純玲 スミレ

…食べた事がないから分からない

星風 セイカ

え?林檎と葡萄…を?

純玲 スミレ

うん

彼女は信じられないとでも言うかのように 此方に驚愕の視線を向けた

渚紗 ナギサ

…まぁ……何方も果汁がたっぷりで甘くて何処かすっきりしている美味しい果物なのですが…

純玲 スミレ

…(何の事を言ってるのかよく分からない…?)

渚紗 ナギサ

ぁ…今 純玲さん
何の事を言ってるの?って思いましたね?

彼は 少しだけ怒ったかのような表情を見せてから ビシッとかつ 鋭く私に人差し指を向けた

純玲 スミレ

ぇ…なんで分かったの?

私が声色も変えずにそう尋ねると

水彩 スイサイ

渚紗さんは
人の心を読めるんです

彼女が 丸眼鏡についた埃をハンカチで拭き取りながら 簡潔に詳細を説明してくれた

純玲 スミレ

人の心を?

水彩 スイサイ

はい

水彩 スイサイ

まぁ…人の心を読むというのは超能力の一つでもあり 奇術の一つでもあります

純玲 スミレ

どういう事…?

私は首を傾げながら 胸の中に蹲る好奇心という''感情''に負け 彼女にまた尋ねた

水彩 スイサイ

…そうですねぇ…この説明よりも先に 渚紗さんの矛盾という言葉の解説を聴いた方が良いような気もしますが…

純玲 スミレ

すっかり忘れてた

渚紗 ナギサ

純玲さん ダダ漏れですよ

純玲 スミレ

え? また心を読んだの?

水彩 スイサイ

口に出してましたよ

純玲 スミレ

え?

そうだったんだ…

純玲 スミレ

…それで 矛盾っていう意味の説明の…続きお願い……

渚紗 ナギサ

ぇ……ぁ……まぁ はい

渚紗 ナギサ

林檎と葡萄は 形も味も違います

渚紗 ナギサ

それで 林檎を葡萄と言ったら 矛盾していますよね?

水彩 スイサイ

まぁ……そうですね

純玲 スミレ

…よく分からないけど…貴方達がそう言うのなら…そうだと思う

水彩 スイサイ

そうですね
それで…お話に戻るんですけれども

水彩 スイサイ

内面が腐食中という意味は、物語の軸自体が壊れてきていると言う意味ですね

純玲 スミレ

…(あれ…?渚紗の能力についての説明は…しないの…?)

星風 セイカ

…ねぇ~水彩~

水彩 スイサイ

はい?

星風 セイカ

渚紗くんの能力についての説明は…しないの?

水彩 スイサイ

…まぁ その内 ''浮上してくる''ので…

星風 セイカ

…なるほどね
分かった!

水彩 スイサイ

……それで話を戻しますが…内面が腐食中の場合は、物語の軸自体を作り直さなければいけません

水彩 スイサイ

そして 作り直す場合は 物語で登場する登場人物(キャスト)を一度別世界に移動させ、その修復中は物語に近付けないようにします

純玲 スミレ

なんで 移動させるの?

星風 セイカ

いい質問だね~!
純玲ちゃん!

水彩 スイサイ

そうですね…
作り直すという"行為"は 敵味方関係なく"全て"を改変させていきます。
その為 登場人物(キャスト)も改変させてしまうという事例が既に存在しておりまして、その可能性が零という可能性がないという事から考えて登場人物(キャスト)を別世界に移動させているのです。

渚紗 ナギサ

どうやって"改変"させているんですか?

星風 セイカ

そこは企業秘密☆

渚紗 ナギサ

な、なるほど…

渚紗 ナギサ

……つまり簡単に言えば 琴葉さんも魁人さんも作り直す際にこの世界に居れば 改変してしまうという…事ですね?

純玲 スミレ

そうなの?

水彩 スイサイ

はい

渚紗 ナギサ

改変とは…
一体何なのですか?

星風 セイカ

…それは…ねぇ……

水彩 スイサイ

簡潔に申し上げますと
本来は変えられない筈の人の性格や脳の中に記憶してある記憶を"上書きして変える"などという事ですね

純玲 スミレ

人の性格や…

渚紗 ナギサ

記憶を変える…

渚紗 ナギサ

ほ、本当に敵味方関係ありませんね…

渚紗 ナギサ

か、完治方法は…

水彩 スイサイ

今の所 存在していません

水彩 スイサイ

ですが "改変"は"私達"
本屋の店主にしか受け継がれていない為

水彩 スイサイ

使用出来る方は…
殆ど居ないかと

渚紗 ナギサ

それなら…安心ですね

星風 セイカ

いやぁ~?安心するのは
まだ早いよ 渚紗くん!

渚紗 ナギサ

え?ど、どういう意味ですか?

星風 セイカ

改変っていうのは 他にも種類があって…
双子葉類で簡単に説明すると…改変っていう主根があるとします!で!その主根から枝分かれしているのが 側根っていうのは知ってるよね?

渚紗 ナギサ

ぇ……まぁ はい

純玲 スミレ

なんの事?

水彩 スイサイ

まぁ…すぐに分かりますよ

星風 セイカ

その枝分かれしている側根が 例えば…私が使用する事が出来る「flowery」とかの"洗脳能力"なんだ

渚紗 ナギサ

洗脳…能力?

星風 セイカ

うん!

星風 セイカ

まぁ…
滅多に使わないけど!

水彩 スイサイ

洗脳能力は 簡単に言えば相手に強く思い込ませる手助けの様な物でもあります

水彩 スイサイ

その為 この能力に"支配"されてしまった方は強い記憶や感情で元に戻す以外手段がありません

純玲 スミレ

そうなんだ…

純玲 スミレ

だったら…早く その世界に行って 外に出してあげないと…

渚紗 ナギサ

そうですね…

水彩 スイサイ

……もしもの場合を考えて先にお二人にお伝えしておきます

純玲 スミレ

何を?

水彩 スイサイ

"葵"

水彩 スイサイ

この名前の人物が現れたらすぐに逃げて下さい

渚紗 ナギサ

葵…?

星風 セイカ

メルト・ステラの
手下の一人だよ

星風 セイカ

鋭い剣術
恐ろしい程の殺傷力

星風 セイカ

そして一番怖いのは
【能力者】っていう事だね

純玲 スミレ

能力者…?

渚紗 ナギサ

何の能力を使用する方なのですか?

水彩 スイサイ

触れた物体を変形させるという能力です

星風 セイカ

鉄パイプとかも〔ぐにゃ〕って変形させれるもんね!

渚紗 ナギサ

ひぇ…そんなの勝ち目がないんじゃ…

星風 セイカ

それは ね…ぇ
まぁ……大丈夫だと思うよ

星風 セイカ

だって…もしもの場合だし

水彩 スイサイ

私も同行しますので,
大丈夫ですよ

渚紗 ナギサ

そ、そうなら大丈夫なんですけど……

水彩 スイサイ

…あと もう一つだけお伝えしておきます

純玲 スミレ

え?

純玲 スミレ

(…でもやっぱりその面から考えると相手にはあんまり知られちゃ駄目…)

渚紗 ナギサ

えっとぉ…

純玲 スミレ

……表の紙で見たから…

琴葉 コトハ

……へ?

純玲 スミレ

表に貴方の名前が張り出されてた…

琴葉 コトハ

ぇ…そ、そうなん…ですか?

純玲 スミレ

うん

琴葉 コトハ

な、なら…まぁ
しゃーないか……

琴葉 コトハ

ぇ……えっと…あんたらは?

純玲 スミレ

私は……純玲

渚紗 ナギサ

ぼ、僕は…渚紗です…

琴葉 コトハ

ほぇ~…
珍しい名前しとんな~

琴葉 コトハ

''江戸''では
滅多に聞かん名前やわ…

純玲 スミレ

江戸…?

琴葉 コトハ

ぇ?…ぁ……そうやけど?

琴葉 コトハ

それに…あんたら…
見た事ない格好しとんな…

琴葉 コトハ

町の奴らに変な目で見られんかったん?

純玲 スミレ

分からない…

琴葉 コトハ

正直で宜しいッ!

琴葉 コトハ

やけど…変な奴らには見えんのよな…

琴葉 コトハ

ぁ~…でも 他の人らに見られたらあかんな…どうしよ

辺りをうろちょろしながら "お母さん"の様な 動きをする彼女の姿を見て 少しだけ頭に痛みが走った

純玲 スミレ

…?(…なんでだろう…)

琴葉 コトハ

よし!しゃーない!
純玲着いてきぃ~や!

純玲 スミレ

ぇ…?私?

渚紗 ナギサ

ぇ……ぼ、僕は……

琴葉 コトハ

待機や!

渚紗 ナギサ

えぇ……

紅い火炎の色をした紅葉の様な傘が何本も

何本も何本も同じ紅色をした敷物を敷いた 椅子の様な場所に立てられていた

純玲 スミレ

…此処は……?

琴葉 コトハ

甘味処やで~!

純玲 スミレ

甘味処…?

琴葉 コトハ

せやな!

純玲 スミレ

(…初めて聞いた名前)

純玲 スミレ

何があるの?

琴葉 コトハ

えぇ~…桜餅とか餡蜜とか…
甘いもんやなぁ~…

純玲 スミレ

桜餅…?餡蜜…?

純玲 スミレ

(何かの専用用語…?)

琴葉 コトハ

…食べた事…ないん?

純玲 スミレ

うん

琴葉 コトハ

よし…今日は 沢山食べや
"琴葉"お姉さんが奢ったる

純玲 スミレ

……?

純玲 スミレ

……凄い…
もちもちの固体が…桃色

純玲 スミレ

糊みたいなのに…甘い

琴葉 コトハ

ほんまに
食べた事なかったんやな…

純玲 スミレ

?…
でも凄く美味しい…

琴葉 コトハ

…あんたら…
江戸の者やないやろ

純玲 スミレ

……

琴葉 コトハ

……その反応は…やっぱり
そうなんか…まぁええ

彼女が 私の頭の上に手を乗せ 優しく撫でた

琴葉 コトハ

うちな…妹が居るねん
今は…行方知らずになってしもうとるけど…

琴葉 コトハ

でも…絶対に見つけるまで諦めん

純玲 スミレ

……妹…

純玲 スミレ

じゃあ…私も一緒に探す

彼女が一瞬だけ 泣きそうな顔をした

そして

琴葉 コトハ

ありがとうな…

目尻に溜まった涙を手袋を外した指で器用に拭き取った

琴葉 コトハ

ぷっはぁ~!
一年分ぐらいの菓子を平らげてしもうた~!

純玲 スミレ

確かに…食べ過ぎた……

琴葉 コトハ

……あ!
せや!

琴葉 コトハ

次は_

彼女の次の言葉を私は待ったけれど

その言葉は とある爆発音と人々の叫び声によって遮られた

琴葉 コトハ

…は?

琴葉 コトハ

な、何が起きたんや……?

そして彼女は 地面に触れてから目を瞑った

琴葉 コトハ

っ…なるほど…
こりゃあかんな

そして彼女は 私の方を向いてから 声には出さず 口元だけで喋った

琴葉 コトハ

「狼が来た」

一人の少年が 社の上で退屈そうに 猿のように騒ぎたてる街を見下ろしていた

…本屋の姿は……なしか

つまんねぇな…

少年は 社の上で御伽噺などに 出てくる騎士団が持ち歩いているような剣を 軽々と指先で回して退屈を誤魔化していた

すると神社の後ろの道から また一人姿を現した

渚紗 ナギサ

はぁ……ッ…はぁッ…!

此方の少年は息を荒らげながら 社の上にいる少年に声を掛けた

渚紗 ナギサ

貴方が…ッ!
"葵"ですね……

少年は 数秒だけ 彼の全身を舐める様に見てから にっと口角を上げながら獲物を見つけた猟犬の様な顔をした

御明答だ

お前が…最近本屋に
保護された別の本の世界に居た奴だな

俺に何の用だよ

渚紗 ナギサ

ッ…町への破壊を辞めて下さいッ!

渚紗 ナギサ

あの町には 純玲さんと琴葉さんが残ってるんですッ!

…なるほどな
っつう事は

本屋も来てるな?

彼が殺気立ったドス黒い声で彼に問いかける

渚紗 ナギサ

…っ!

渚紗 ナギサ

(…身体の震えが止まらない…)

渚紗 ナギサ

(まるで…人喰い狼の前に立っている気分だ…)

渚紗 ナギサ

っ…!

…その目 嫌いじゃねぇぞ

だが…相手を間違えたな

少年が社の上から飛び降り 瞬きをする間に 彼の喉笛に剣を当てた

渚紗 ナギサ

っ!?(速いッ!)

おい…本屋 出て来ねぇと

少年が 彼の喉笛に当てている剣に力を込めると 微かに血液が流れた

此奴 死ぬぞ

琴葉 コトハ

…ん~~…相手は精々"二人"って所…やな

純玲 スミレ

二人…?

琴葉 コトハ

ぇ?そうやけど…

純玲 スミレ

…その…一人は察しがついてるけど……
もう一人がよく分からない

琴葉 コトハ

……そうやな……もう一人は

琴葉 コトハ

…この町の者とは少し違う独特な感じがするんやけど…

琴葉 コトハ

……誰やろか?

純玲 スミレ

…分からない

そんな風に考えていると突然百合の香りがした

純玲 スミレ

百合…の香り?

琴葉 コトハ

え?どしたん?

その香りに違和感を覚えた私は不意に彼女の後ろを見ると

純玲 スミレ

っ……?

沙羅 サラ

御機嫌よう

黒百合の様に優雅な傘をさし

ふんわりとはしているけれど 隙のない不思議な声色

彼女を一つの言葉で表すのならそれはきっと

沙羅 サラ

そして

沙羅 サラ

さようなら

【何かに捕らわれたお嬢様】だろう

𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝

第七話 妖狐に巻き取られた本当の正体

〔メインストーリー〕白昼夢に泳がされて

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

518

コメント

7

ユーザー

上のゆづちゃんのコメントに共感の嵐!! 世界観の作り込みが凄いんですわほんとに…😇😇 葵と沙羅ちゃんは、雑談部屋ではよく見るけど、メインストーリーではどんな風に動くのかな…? 凄く楽しみ✨️✨️

ユーザー

すいちゃのお話って「作品」っていうより「本」って感じがする!!!✨✨

ユーザー

おわぁぁぁ……続き楽しみだわァァァ!!!!!!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚