雛花
雛花
雷兎君……
私は鳥谷 雛花
かれこれ一年、
彼女をやっています
私が好きなある人のね
……ですが、最近
その人がお友達とばかり
遊んでいるというか……
いっその事、籠の中にでも
閉じ込めて……なんて。
……いやっ、勿論
浮気をする様な人では
ないんですよ!絶対
ですが、何と言うか、
フレンドリーというか、
誰にでも優しいというか…
………あまり、
一人の人に固執
しない人なんです。
それもその人の
性格ですし、それが
あの人なんです。けど
雛花
……寂しい……
雛花
……今日は…
雛花
…雷兎君…っ
雷兎
ん?何?
銀志
らいとっち帰ろー
拓斗
後、今日遊べる?
雷兎
うん、遊べる!
銀志
じゃあいつもの
所集合な!
雷兎
うん、オッケー
雛花
雛花
……あの、雷兎君…
銀志
…あっ、ごめん
銀志
お邪魔だったな
拓斗
まぁ、最近ずっと
俺らとばっか
だったしな。
銀志
じゃ、帰ろ
心絆
あっ、私らも
帰っていい?
桜
よかったら…
銀志
あっいいぞ
拓斗
じゃあ行こー
心絆
うん
雛花
雛花
…あの、
ごめんなさい
雷兎
え、うん、
いいよ?
気にしないで
雛花
…ありがとう
相変わらず
雛花
優しいんだね
雷兎
いやいや、別に
雛花
雷兎
…あっ、それと
ごめんね、最近
一緒に帰らなくて…
雛花
………ううん。
雛花
雷兎君には、
ああいう沢山の
お友達がいるから
雛花
…だから、ね
雛花
仕方無いよ。
私とは、全然
違うんだから…
雷兎
そんな事無いって!
雷兎
だって、雛花
可愛いし優しいし
大人しくてワガママ
一つ言わないじゃん!
雛花
雷兎
寧ろ尽くして
くれる方だし、
関わって損は
一つも無いだろ?
偽りも虚しい気遣いも
欠片として無い口調
こうやって優しい言葉を
かけてくれる私の彼氏…
雛花
…ありがとうっ
雷兎
ううん、
当たり前じゃん
雷兎
自分に自信持ちなよ
…なんて無責任な
励まし言わないけど
雷兎
さっ、早く帰ろ
雛花
ふふふっ…
雛花
雛花
…やっぱり、
君といると…
幸せだな
雷兎
有難う!俺もだよ
そう言って
にっこりと明るい
笑みを浮かべる雷兎君
雛花
……………
雷兎
……どうしたの?
雛花
雛花
……ううん、何でも
雷兎
…そっか…
雛花
……………
雷兎
何かあったら、
絶対俺に言ってよ!
雛花
…!……
雷兎
溜め込まない事、
俺相談乗るの割と
好きだからさ!
雛花
……そう、か…
雛花
雛花
……ねぇ、雷兎君…
雷兎
…ん?どうしたの?
雛花
……私の事、好き?
雷兎
…へっ?
ぽかんとした顔の
雷兎君。何処か幼気で
人を魅せる様なその表情
雷兎
……もしかして
雷兎
悩みって、俺の
浮気とかかな?
雛花
…!?……
雛花
雛花
いやっ!そんな、
そんな事無いッ
雷兎君が、浮気…
雛花
そんなのなんて、
無いッ…‼‼はず……
雛花
……あるはず、
雛花
ない……
雛花
雷兎
…大丈夫?
落ち着いて、
雷兎
俺は雛花が思う程
多情じゃない!
雷兎
俺が好きなのは、
雛花だけ。
雷兎
信じられないと、
思うだろうけど…
雷兎
だから、焦らないで
雛花
……っ……
あまりに真っ直ぐで
真摯な声と気迫に
少し驚いてしまった
雛花
……ごめんなさい
雛花
私、酷い勘違いを
してたみたいだね。
雛花
雛花
ありがとう。
雷兎
…よかった…
雷兎
雷兎
……あっ
雛花
…ん?
雷兎
あっー!!
雷兎
銀志達と遊ぶ約束
してたの忘れてた!
雷兎
やばいやばい…
雛花
…あっ、なら
早く帰った方が…
雷兎
うん‼‼
雷兎
じゃあ、バイバイ!
後ごめん、一緒に
帰れなくて……
雛花
……ううん、
いってらっしゃい
雷兎
…うん、いってきます‼‼
そう慌ただしく告げて
雷兎君は雷の如く
走り去っていきました
雛花
……今日も、
拓斗
おっそいなぁ…
銀志
らいとっち
何してんだろ…
雷兎
ごめーーん!!
銀志
あっ来たっ
拓斗
珍しいなぁ
お前が遅刻とか
雷兎
いやさ、雛花と
ちょっと話してて
銀志
ノロけ?
拓斗
よし、お前今日
帰っていいぞ。
拓斗
それと明日から
話しかけんな。
銀志
おい、妬みが
酷いだろw w w
雷兎
いや、それが
真剣な話だったから…
銀志
…まさか浮気疑惑?
雷兎
当たり!何で
分かったんだよ?
銀志
いや、だってお前
浮気とまでは到底
言わないけど…
拓斗
フレンドリーって
言うか、誰にでも
優しいみたいな?
銀志
…まぁ、悪く言えば
馴れ馴れしいんだよな
雷兎
悪く言うなよ!
拓斗
まぁそれが、
彼女さん的には
不安なんじゃない?
銀志
それな、だって
雷兎お前…
心絆
雷兎じゃん!
て言うかお前らも…
……何かやだね桜
銀志
俺らは邪魔か?
拓斗
扱いが明らかに
違う件について。
雷兎
おう、桜、心絆
心絆
あんたらどうせ
暇でしょ?なら
私達も入れてよ
桜
出来ればで
良いんですが…
銀志
別にいいぜ
拓斗
俺もオケ
桜
有難うございます…
桜
桜
それと、雷兎君
雷兎
ん?何?
桜
今週の日曜日、
お暇ですか?
桜
もし良ければ、
一緒にお出かけして
貰えませんでしょうか
心絆
ちょ、桜っ…‼
心絆
抜け駆けなんて
卑怯な子っ…‼‼
桜
ごめんなさい、
心絆ちゃん‼…
桜
私が上手く、
途中で心絆ちゃんと
合流するように
仕向けるからっ!…
心絆
まぁっ、お得意の
シナリオ制作をっ…
心絆
じゃあ分かった、
それで成立…!
雷兎
……おーい?
雷兎
…さっきから
小声で何話してんの?
雷兎
…陰口とかじゃ
無い…よな?…
桜
無いですよッ‼‼
心絆
ある訳無いじゃん‼‼‼
銀志
(わぁ大きい声…)
拓斗
(と言うか殆ど
丸聞こえだったろ…)
桜
そう言う事
ですから、よろしく
お願いしますね
心絆
よろしくねっ!
雷兎
………??何で
心絆まで言うんだ?
心絆
…っ、いや、
桜が言うからつい
言っちゃったの
桜
いつも一緒に
居るものですから…
心絆
…!?ちょっと桜、
アンタも大概
天然ちゃんだね!
桜
えっ…?そうかな…?
心絆
あー無自覚!!
心絆
もういいわ!
じゃあ取り敢えず
何かしようよ
拓斗
仕切っといて
無計画かよ!
心絆
知るかんなこと。
拓斗
うっわ辛辣。
雷兎
じゃあ、どっかで
適当に雑談しようよ
心絆
いいねっ!それ!
桜
私も賛成ですっ…!
銀志
扱い……
拓斗
もう黙ろう、
銀志。俺達には
どうにもならん
銀志
そうだな…
拓斗
つか、雑談なら
そこら辺でよくね?
心絆
じゃあ、ここらの
ベンチ座ろ。
桜
そうですね…
銀志
うん、賛成
拓斗
拓斗
よっこらしょ…
銀志
じいちゃんかよw
心絆
あっそれなw w w
その後雷兎君は
いつものメンバー達と
他愛の無い話を続けて
いました。ずっとね。
雛花
…私と居る時より
楽しそう……
……………………
見張っていたんじゃ、
無いんですよ?
雷兎
雷兎
ただいま〜
雷兎母
あっ、おかえりぃ
雷兎母
それと、雛花
ちゃん来てるよ
雷兎
あっ、そうなの?
雷兎母
うん、今雷兎の
部屋にいるよ
雷兎
そっか、分かった
雛花
雛花
お帰りなさい。
雷兎
うっ、うん
雷兎
雷兎
どうしたの?
何か落ち込んでる?
雛花
……………
雛花
そうですね。…
雷兎
やっぱり、
何か悩みあるん
でしょ?
雷兎
ほら、座って
雛花
雷兎
……?……
雛花
…態々部屋に
上がり込んだけど
私の部屋で話が
したいの。
雛花
だから、今から
行こう?ねぇ
雷兎
う…ん。
雷兎
でもやっぱり雛花
何かあったの…?
雛花
雛花
人気者で、
嫉妬の苦しみと
縁の無い君には
分からないよ。
雷兎
…???……
雛花
さぁ、早く……
雛花
行こう?
雛花
雷兎
…うん…
雛花
さぁ入って。
雷兎
うん、お邪魔します…
雛花
じゃあ、そこの
ソファにでも
座ってて。
雛花
私、飲み物
持って来るから
雷兎
うん、分かった
雛花
雛花
雛花
お待たせ。
持って来たよ
雷兎
うん、ありがとう
雛花
早速、どうぞ?
雷兎
…?うん、頂きます
雷兎
雷兎
……うん、美味しい
雛花
そう。よかった
雛花
ところで雷兎君。
雷兎
……ん?何?
雛花
君が仲の良い
女の子って、誰?
雷兎
えっ?
雷兎
…うーん、まぁ
心絆とか桜とか?
雷兎
一番仲良いのは
この二人かな
雛花
雛花
…そうか…そうだよね
雛花
基本あの二人だよね
雷兎
うん、今日も
途中から一緒に
遊んでたし
雛花
そうだね、
”今日も”ほんとに…
雛花
雛花
私と居る時より、
楽しそうだった。
雷兎
……??……
雷兎
雷兎
俺が言う前から、
途中参加してた事
知ってたの?
雷兎
銀志達と遊ぶ、
って事だけ言った
はず…だけど…
雛花
雛花
見てたから。
雷兎
えっ?
雛花
ずっと、
見てたから。
雛花
明らかに雷兎君を
狙う汚い女子達も、
毎日毎日雷兎君を
私から奪う男子共も
雛花
みーんな、見てたから。
雛花
それでね、決めたんだ
雛花
あんな得体の知れない
連中の中に雷兎君を
放っておくぐらいなら
雛花
私がちゃんと、
鳥籠の中で守って
あげなくちゃ。
雛花
君を大空なんかに
逃がすつもりは無い
雛花
外の世界なんて
汚いだけだから。
雛花
もうあんな奴らと
交わる必要
無いんだよ‼‼
雛花
雷兎君…?
雛花
その綺麗な羽は、
あいつらの所に
飛び立って行って
雛花
態々穢される為に
あるんじゃないの!
雛花
確かに君は綺麗で
明るくて仕方無い
雛花
それを独り占め
なんて卑怯かも
知れないよ。
雛花
けどッッ‼‼
雛花
私を置いてそこら中
悠長に飛び回った
君への罰としても‼‼
雛花
考えても
いいよね…?
雛花
凍えそうなくらい
寂しかった私の
思いなんて…‼‼
雛花
君は到底知らない
んでしょ…??
雷兎
雷兎
……雛花…っ…
雛花
雛花
小さな素敵な
鳥籠の中で、
雛花
二人だけの未来を
描けると……
雛花
雛花
思ってたのに。
雛花
……君は……
雷兎
…ごめんな、雛花
雷兎
雷兎
…付き合った当初は
皆気を遣ってくれた
雛花
………………
雷兎
けど、そもそも
雛花は束縛が強い
子だったから、
雷兎
…あいつらも、
何か完全に取られる
みたいで嫌だったん
だと思う。…
雷兎
…自意識過剰だよな…
ほんとにごめん。
雛花
雛花
仕方無いよ。
雛花
それが、人気者の
特権だから…っ
雷兎
………なぁ…
雛花
……何?…
雷兎
雛花、俺の事嫌い?
雛花
………??
雛花
雛花
…えっ?
どういう事?
雛花
何で嫌いなんて
思うの?私
雛花
君の事が好きだから
大好きだから…
他の人に渡したく
無いだけなのに……
雛花
どうしてそんな
考えに辿り着くの?
雛花
雛花
分からない……
雛花
分からないよ……
雷兎
雛花……違う、
そうじゃないよ。
雷兎
俺は雛花の事
好きだけど、……
雷兎
雛花は俺の事、
心の何処かで
憎んでるんじゃ
無いかって……
雛花
どういう事?
雷兎
さっき、雛花が
取り乱してた時
明らかに俺に激怒
してたから…
雷兎
……それが、
本音なんじゃ
無いかなって…
雛花
……………
雛花
…………雷兎君
雷兎
……何?…雛花。
雛花
……ごめんなさい
雛花
私、つい雷兎君に
当たっちゃって……
雷兎
いいよ、全然。
雷兎
寧ろ俺の方こそ、
不安にさせて…
ほんとにごめん。
雛花
…うん、ありがとう
雛花
雛花
……で。
雷兎
……ん?
雛花
そろそろ薬が
効いてきたんじゃ
無いかな?
雷兎
雷兎
……えっ?
凄まじくお久しぶりです
ここまで投稿が遅れるとは…
超不定期投稿の作者ですm(_ _)m
毎度の如く申し訳ありません
今回のお話は単発作品に
しようと思っていましたが
思いの外長くなってしまった
ので、二つに分ける事にしました
最後に、今更感しか
ありませんが、これからは
作品に[長編注意]のタグを
付ける事にしました\_(・ω・`)
お知らせ&毎度恒例の謝罪
は以上ですm(_ _)m
長い作品を読んで頂き
有難うございました(ㅅ´ ˘ `)
それでは( ´Д`)ノ~サヨナラ…