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佐和子
部屋に入るなり、私は広い方の部屋のドアを開く。
和真
和真
佐和子
佐和子
自分の事は棚に上げて、当たり前とばかりに言い放った和真に軽くキレる。
和真
和真
和真
和真
佐和子
佐和子
どちらも引く気配もなく、話は平行線のままでらちが明かない。
人の事は言えないが、和真の頑固さに苛立ちを感じていると
サラリと耳を疑うような言葉を口にした。
和真
和真
和真
佐和子
佐和子
怪訝そうな顔で和真を見る。
和真
和真
和真
佐和子
呆れた声を上げる和真に、悔しいけど納得させられてしまった。
結果、仕方なく広い部屋を和真に譲り
私はというと6畳の部屋にベッドとソファーを置き
前のアパートよりもプライベートスペースが狭くなってしまった。
おかげで荷物は溢れる始末。
入りきらなかった服たちは、ひとまず和真の部屋のクローゼットの一部を間借りして収め
何とか落ち着くことができた。
和真
部屋を軽く見渡して和真が安堵のため息をつく。
佐和子
疲れ凝り固まった身体をほぐすように思いっきり伸び上がる。
和真
申し訳なさそうに謝る和真に
佐和子
佐和子
答えながら窓を開け放ち部屋の空気を入れ替える。
当初、私が和真のアパートに転がり込むということになっていた。
だけど、せっかく新婚なんだからと
将来の事も考えて広い部屋に引っ越しなさいと和真のお母さんに言われ
急きょ少し広めの部屋に引っ越すことになったのだ。
和真
和真
ソファーに並んで座り、缶ビールで乾杯。
今日は引っ越し祝いと称し
スーパーで買ったおそばとお惣菜で夕飯を済ますことにした。
佐和子
佐和子
慣れない呼び方と、何より相手が相手だけに落ち着かない。
和真
和真
からかうようにワザと左手の薬指に光る指輪を私に見せる。
佐和子
軽くそっぽを向き、蕎麦を頬張る私に
『本当に分かってるのかよ』と笑う和真。
私はどこまでも余裕な和真が面白くなかった。
和真相手に緊張しているつもりはないけど
同棲とかしたことなくて。
何度か雑魚寝をしたことあるといっても
それは酔っぱらっていて記憶もない状態。
だから、こういう風にシラフの状態で
というのはさすがにちょっと緊張してしまう。
和真
和真
和真
和真
和真
佐和子
佐和子
佐和子
さすがに下着類とかは和真の目に止まる脱衣所とかには干せないし
プライベート空間だけはきちんと確保しなきゃ。
和真
和真
和真
和真
和真
いつのまにか蕎麦を食べきった和真が眠そうに大きな欠伸をして
重い腰をゆっくりと上げる。
佐和子
和真につられる様に立ち上がると和真がテーブルの上を片づけだす。
佐和子
佐和子
佐和子
和真
和真
部屋を出る間際、和真が冗談交じりに私に言い放つ。
佐和子
佐和子
予想もしないことを言われ動揺し
少し声を荒立てる私に和真は楽しそうに笑いながらリビングを出て行った。
和真が自室に入っていくのを見届けてから
私は深いため息と共にソファーに項垂れるように腰を下ろした。
──何か疲れた…
すべてが慌ただしくて息つく暇がなかったせいか
引っ越しが終わり一息ついて、やっと落ち着くことができた気がした。
でも…
佐和子
部屋をぐるりと見渡し、今さらだけど少し不安が横切ってしまった。