主
mmm注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 二次創作
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第85話『試練の影』
光のない空間に、音がなかった。
ただ、自分の呼吸と鼓動だけが、世界の輪郭をつくっていた。
いるまは、ゆっくりと目を開ける。
白と黒しか存在しない、曖昧な空間。
地平線すらない。
それでも“足元”という感覚だけはあった。
重力がある。
つまり、ここは完全な夢ではない。
いるま
呆れたように吐き出す。
いるま
その言葉に、黒が微かに揺れた。
闇の中から姿を現したのは、自分と瓜二つの男――影だった。
いるまの影
影はゆっくりと歩み寄りながら、冷ややかに笑った。
いるまの影
いるまは肩を竦め、鼻で笑った。
いるま
いるま
影は薄く目を細める。
いるまの影
いるま
いるま
返す言葉に、影は笑わなかった。
代わりに、静かに右手を掲げた。
空間が波打つ。
黒い鏡のようなものが出現し、そこに映ったのは“いるま”だった。
ただし、そこに映るのは、過去の姿。
――怒りに満ちた目。
――らんを守れなかった夜。
いるま
いるまの声が低くなる。
影は静かに言った。
いるまの影
いるまの影
いるまの影
いるまの影
“らん”という名前が出た瞬間、胸が締めつけられる。
心臓の奥に、痛みが走った。
いるま
いるま
いるまの影
影はゆっくりと歩み寄り、距離を詰めた。
いるまの影
いるまの影
いるまは視線を逸らした。
影の言葉が、耳ではなく胸に突き刺さる。
いるま
いるまの影
いるまの影
影の声が低く落ちた。
いるまの影
その一言に、空気が裂けた。
記憶が一気に蘇る。
あの日――らんの身体が倒れた瞬間、自分の足が動かなかった。
助けに行けなかった。
恐怖で、何もできなかった。
いるま
震える声で否定する。
いるま
いるま
いるまの影
いるま
叫ぶように吐き出す。
いるま
いるま
言葉が途切れる。
喉の奥が焼けるように痛い。
影はその沈黙の中で、初めて微笑んだ。
いるまの影
いるまの影
いるまは息を荒げ、拳を握りしめた。
影は歩み寄る。
距離が一歩、二歩、詰まる。
いるまの影
いるまの影
いるまの影
いるまの影
いるま
いるまの声は掠れていた。
いるまの影
影は目を細める。
いるまの影
いるまの影
静かな言葉だった。
けれど、その瞬間、世界が大きく震えた。
足元が割れ、黒い裂け目が生まれる。
いるま
影がその裂け目の向こうに立つ。
まるで境界線のように、白と黒の狭間。
いるまの影
いるまの影
いるまは歯を食いしばり、一歩踏み出した。
裂け目の中から吹き出す冷気が、皮膚を刺す。
息が詰まるほどの圧力。
いるま
呟いて、もう一歩。
視界が揺れる。
足元の黒が、まるで生き物のように足を掴む。
それでも、いるまは前へ進んだ。
いるま
いるま
その言葉に、影の瞳が初めて揺れた。
瞬間、黒が弾けた。
空間が閃光に包まれる。
音もなく、世界がひっくり返るような感覚。
――次に気づいた時、いるまは床に倒れていた。
目を開けると、そこは自分の部屋。
窓の外には、朝焼けが滲んでいる。
息を吐き、天井を見上げた。
心臓はまだ早鐘を打っている。
手のひらに、黒い線のような痕が一瞬だけ浮かび、すぐに消えた。
いるま
小さく笑う。
いるま
その瞬間、頭の奥でかすかな声がした。
いるまの影
いるまは眉をひそめ、空を睨むように呟いた。
いるま
いるま
それでも、声の奥に“安堵”の気配を感じた。
影が完全に消えたわけではない。
けれど、もう敵ではなかった。
窓の外で、朝の光が揺れている。
いるまは立ち上がり、カーテンを少しだけ開けた。
眩しい光が、部屋の中へ差し込む。
いるま
呟く声が、柔らかく響いた。
影の気配も、今は静かに沈黙している。
長い夜は、ようやく明けた。
第85話・了
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡130
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コメント
4件
マジで神作、、!
📢くんよく頑張ったよぉ〜😭続き楽しみにしてます!!!