コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
証言通り 侵入するのは容易だった
鍵はかけられておらず 誰もいない
ドアを開けてすぐに、リビングボードが見える
前に進むと その隣にツインベッドがあった
丁寧にベッドメイキングがされていて 部屋自体が綺麗だった
埃の一つも見当たらない
清潔ではあるが どこかそれだけに無機質だ
生活感がまったくない
そのなかでも目を引くのは 大きなワークデスクであった
机上には大量の本や紙束がある
パッと目を通してみても さっぱり意味のわからないものばかりだ
……
加賀春樹
こんなことは、許されないだろう
そう
僕はいま、新城夫妻の部屋にいた
許可など取っていない
無断で部屋に侵入したのだ
そして 新城賢太郎の机を調べている
これもすべて 疑念からくるものだった
あの冷静な推理に 立ち去る際の不穏な笑み
どうしても、信用ができない
いや、信用したいからこそ 今のうちに容疑から外れてほしいのかもしれなかった
加賀春樹
どちらにせよ もう後戻りはできない
そう決め込んで 開き直って徹底的に調査した
机上に乗った書籍や資料の見出しに目を通す
難しい内容のものばかりで 特に異変はない
他には 小さな時計や鏡が置かれていたり ペン立てが置かれていたり コースターが置かれていたり
写真立てが置かれていたり
加賀春樹
写真の中には 笑顔の新城賢太郎と秋穂が写っている
もう一つの写真立てには 無表情の例の双子が写っていた
見惚れるほど 写真の中の人物達は皆綺麗だった
僕はそれを見ると 途端に自身が汚らわしく思えた
ここは荒らしてはいけないのだ
この家族達だけの神域
そっとしておくべき場所……
加賀春樹
加賀春樹
加賀春樹
納得……
出来ればよかった
やはり、引っかかる
本当に調査は十分なのか?
やるからには、徹底的に
そう決めたはずだ
しかし 良心が痛むという現実がある
……
……ならば
加賀春樹
加賀春樹
加賀春樹
ワークデスクの引き出しに手をかけた
鍵はついていない
別荘だからか 本当に新城賢太郎は警戒していなかった
加賀春樹
ゆっくりと、引き出しを開けていく
手には汗が滲んでいた
心臓が脈打つ音が聞こえる
何を緊張しているのだ
大丈夫
何もないはずだ
自身にそう言い聞かせて 今度は勢いよく引き出しを開けた
カラカラカラ
難なく開いた
そこにあったのは……
加賀春樹
加賀春樹
一枚の紙片が裏返っている
他にも雑多な物が入っている
別に 何かを隠しているような気配でもない
なんて事はなかったのだ
加賀春樹
加賀春樹
そう言いながら その裏返った写真をめくって見てみた
次の瞬間 僕の脳内に電流が走った
加賀春樹
加賀春樹
加賀春樹
加賀春樹
その写真に写っていた人物
それは……
???
加賀春樹
???
そう
新城賢太郎と著名人との会合写真 その脇に映る男
それが、この男だった
そして僕はこの男のことを……
???
???
加賀春樹
加賀春樹
加賀春樹
???
加賀春樹
加賀春樹
佐久間浩樹
橘財閥会長・橘真(たちばな まこと)の秘書を務めているのが、この佐久間浩樹という男の正体だ
新城賢太郎と橘真は以前から交友があり 新城賢太郎の弟子のような立場にある僕も何度か顔を合わせたことがある
しかし 先程この男自身が言った通り、特別な関わりはなく、ただ面識はある程度の仲である
僕の名前を知っているのはまだしも なぜ僕の部屋に侵入していたり、関わりを持とうとしているのか
そもそも この男は今の事態を把握しているのか
いや
すっかり思い込んでいたのだが 新城家側が佐久間を公的に招待して今この場にいることを把握しているのか
ことの男について 考えれば考えるほど、分からなくなった
謎は膨らむばかりだ
佐久間浩樹
加賀春樹
加賀春樹
佐久間浩樹
加賀春樹
佐久間浩樹
加賀春樹
加賀春樹
佐久間浩樹
佐久間浩樹
加賀春樹
佐久間浩樹
加賀春樹
加賀春樹
佐久間浩樹
加賀春樹
佐久間浩樹
佐久間浩樹
加賀春樹
この男が誰かに脅迫されている?
一体、誰に、そして何故?
佐久間浩樹
加賀春樹
加賀春樹
佐久間浩樹
加賀春樹
佐久間浩樹
加賀春樹
佐久間浩樹
佐久間浩樹
加賀春樹
加賀春樹
佐久間浩樹
加賀春樹
加賀春樹
佐久間浩樹
「はっはっはっは!!」
佐久間は大笑いをした
そして馬鹿にしたように 顔と指を横に振って否定した
佐久間浩樹
加賀春樹
佐久間浩樹
佐久間浩樹
佐久間浩樹
加賀春樹
佐久間浩樹
佐久間浩樹
加賀春樹
佐久間浩樹
加賀春樹
佐久間浩樹
佐久間浩樹
加賀春樹
佐久間浩樹
加賀春樹
加賀春樹
佐久間はニヤリと笑った
そして、こんなことを言った
佐久間浩樹
佐久間浩樹
佐久間は寝室の窓を開けて 枠に足をかけて登った
ご丁寧にも後ろ手で窓を閉め そのまま飛び降りた
2階とはいえ ここはかなりの高度がある
生身で落ちれば、無事では済まない
慌てて駆け寄るが、結果は同じだった
加賀春樹
加賀春樹
また、あの男は消失していた