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収穫は芳しくなかった
新城賢太郎の容疑は薄くなったものの あの男……佐久間浩樹の残した言葉の数々によって、謎は膨らむばかりだ
佐久間が僕に接近する理由が 僕自身を守るためだって?
そして、その理由について尋ねると 何者かに口外を禁止されている
それも、脅迫まがいの口止めによって
何が目的で佐久間はここにいるのか 口止めをしているのは誰なのか そして目的は何なのか
分からない
何度、この言葉を口にしただろう
理解しようとしても、本当に分からない
いまの僕は、あまりに情報不足だ
"謎を解く鍵を、既に貴方は何度も目にしてきているのです"
"貴方は何も分かっていない"
加賀春樹
加賀春樹
加賀春樹
"貴方の買った本の内容に何かヒントになることがあるかもしれませんねえ "
"あの少女達に積極的に関わってみてはいかがです?"
あの男はそう言っていた
しかし、アドバイスの二つとも 事件解明に向けてそれほど重要なことになり得るのか?
買った本を読んでみろだって?
そんなものが いまこの状況において、何の役に立つ?
少女に何かを聞いてみるにしろ 物腰は大人びているが、まだ年端も行かぬ子供なのだ
そんな子達に何を期待すればいい?
加賀春樹
加賀春樹
加賀春樹
加賀春樹
食堂にいる者たちに話を聞くのは まだ難しいだろう
出来れば 冷静になっている人がいいのだが…
考えながらも 無意識に足は1階へと向いていた
執事の新居あたりが良いかもしれない
あの人なら、少しは話が聞けそうだ
そう決めて 客室の前にある部屋に行こうとしていると……
金田直斗
加賀春樹
金田直斗がいた
金田直斗
加賀春樹
金田直斗
加賀春樹
昨日の新城聡太郎の話に この男はかなり動揺していたように思う
新城家に今もあるという財宝
その財宝について、執着しているのか
注意深く観察しながら 僕は質問した
加賀春樹
金田直斗
加賀春樹
金田直斗
金田直斗
金田の声色が暗くなった
加賀春樹
金田直斗
金田直斗
加賀春樹
金田直斗
金田直斗
金田直斗
加賀春樹
加賀春樹
金田直斗
舌打ち
そして、感情は溢れ出す
金田直斗
ホール内に咆哮がこだまする
金田は攻撃的な目になった
金田直斗
金田直斗
金田直斗
加賀春樹
物凄い剣幕であった
お金
大事なのは分かる 生きる以上は、どこにでもついて回る問題なのだ
しかし 加賀は金に対する執着心が薄かった
欲しいものはあるし してみたいこともある
その度にお金は必要だ
それでも 命や尊厳をかけてまで、金を得ようとする人間心理には疎かった
だから
いまのこの男に、とても嫌悪した
"殺したい"
いや、何を言っている
殺すだって?
なんてことを思ってるんだ
殺したいなんて思うほど この男はひどい人間ではない
むしろ 金に執着心が薄い者の方が少数派なのだ何をムキになっている
呼吸を讃えて、顔を上げる
金田直斗
加賀春樹
金田直斗
金田直斗
加賀春樹
加賀春樹
金田直斗
金田直斗
金田は両手を挙げた
金田直斗
金田直斗
加賀春樹
加賀春樹
金田直斗
金田直斗
加賀春樹
金田直斗
金田直斗
金田直斗
加賀春樹
加賀春樹
金田直斗
加賀春樹
加賀春樹
金田直斗
加賀春樹
金田直斗
加賀春樹
金田直斗
加賀春樹
こんなものか
あまり関わりのない客人たちと共にいたというなら、アリバイに効力はありそうなものだが、身内と共にいて、ましてやお互いが寝ていたとなるとアリバイの証明は厳しい
そう考えると 全員のアリバイがないと言うことになる
分かったことは増えたが 事件の様相はますます霞がかる
それに……
一瞬、湧き起こった殺意は一体……
金田直斗
加賀春樹
加賀春樹
金田直斗
金田直斗
加賀春樹
金田直斗
金田直斗
加賀春樹
僕たちは会釈して別れた
1階廊下へと訪れた
腕時計で時間を確認する
午後12時30分だった
昼時ではあるが、お腹は空かない
人が殺されたのだから 当たり前か
それほど親しくない相手でも 昨日まで話していたのだ
その人間が、ナイフで殺された
額を貫いて
……気分が悪くなった
加賀春樹
加賀春樹
新居宗介
新城貴恵
新居宗介
新城貴恵
新居宗介
新居宗介
新城貴恵
加賀春樹
そこには新居と貴恵がいた
新居はともかく 貴恵に事件当夜のことについて質問するのは憚られた
どう言ったものか考えていると 貴恵から喋りかけてきた
新城貴恵
加賀春樹
新城貴恵
加賀春樹
新城貴恵
新城貴恵
新居宗介
新城貴恵
本当に殊勝な人だ
今朝、夫が殺されたというのに これからのことについて話し合いを行なっているとは
辛いからこそ 忘れるために張り切っているのかも知れなかった
そう思うと胸が痛むが 今なら大丈夫そうだと判断して 聞いてみることにした
加賀春樹
新城貴恵
加賀春樹
新居宗介
新城貴恵
新居宗介
新城貴恵
新居宗介
加賀春樹
どうやら本当に 貴恵は気を取り直したようだ
僕は安心して話を聞くことにした
新城貴恵
新居宗介
新居宗介
加賀春樹
やはり 聡太郎は夜分遅くまで起きていた
そこでふと 今更ながらに知らないことを思い出す
加賀春樹
新城貴恵
加賀春樹
新城貴恵
新城貴恵
加賀春樹
新城貴恵
新居宗介
加賀春樹
加賀春樹
新城貴恵
そう言って 貴恵はカーディガンのポケットを指す
新居が慌てて口を出す
新居宗介
新居宗介
新城貴恵
加賀春樹
加賀春樹
事件の背景は読めてきた
それにしても この執事は新城家を相当に慕っているらしい
忠実な僕(しもべ)……
その僕によって あの部屋からトラブルの元は持ち去られたということだ
……いや、あの部屋は
加賀春樹
新城貴恵
加賀春樹
新城貴恵
新城貴恵
加賀春樹
思っていた以上に 聡太郎は財宝に執着し、家族さえも信用していなかったようだ
しかし その1000億円もの価値のある財宝とは 一体なんであろうか?
おずおずと質問する
加賀春樹
新居宗介
新居が困ったように言う
新居宗介
加賀春樹
加賀春樹
新居宗介
新居宗介
加賀春樹
加賀春樹
新居宗介
新居宗介
なるほど
それが理由で 遺言書も残さない聡太郎をせきたてて 早急に話し合いをする必要があったのか
財宝に人を近付けさせないのも 遺産を把握するには手強い要素だ
その面で 新居はかなり難儀している
新居宗介
加賀春樹
新城貴恵
加賀春樹
新城貴恵
新城貴恵
加賀春樹
加賀春樹
新城貴恵
誰もがどうしても 財宝を意識する
一族内には軋轢が生まれるばかり
そして今回 新城聡太郎は殺された……
やはり 繋がりがないとは言えないだろう
様々な思いが錯綜するが とりあえず礼を言うことにした
加賀春樹
新城貴恵
新居宗介
新居宗介
新城貴恵
加賀春樹
貴恵と新居はホールの方へと歩き出した
情報を頭の中で整理する
すると 新城家の内部事情はよく分かってきたし 事件に至るまでの背景は見えてきた
しかし 依然、事件自体の謎を解く鍵はない
今のところ 誰にも犯行は不可能なのだ
その壁を壊す情報さえあれば……
加賀は頭を抱えた