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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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あの夏の日、僕は君に恋をした。

夏の日の夜中。

君は誰よりも輝いていた。

線香花火が落ちる前に、

伝えられていたら

この気持ちが、楽だっただろうから。

悠真

今年の夏もまじ暑すぎー。

悠真

てか、琉唯、最近彼女とどうなの?

琉唯

どうって、普通だよ

悠真

いいよな〜、恋人がいる奴って

悠真

碧はまだいないよな?

いないけど

その言い方は傷つくな

悠真

ごめんって〜

語り口調で悠真が喋る。

悠真

青春もできねぇ夏なんて
まじつまんねぇな。

悠真

青春といえば夏なのに。

そうだな…

琉唯

青春できないのはドンマイだけど

琉唯

花火持ってるから、花火する?

悠真

いいんすか!したいっすよ!

琉唯

碧は?

したい。

青春ができない僕達の恋人は 友達と花火をすることだった。

琉唯

じゃあ今日の夜、
公園に集合な。

悠真

はーい!

了解

悠真

碧ー!遅いぞー?

ごめん

線香花火が丁度あったから

持ってきた

悠真

おっ!まじ!?

琉唯

線香花火はいいじゃん、ありがと

花火に火をつけては、消えて。

繰り返すうちに、琉唯が持ってきた 花火はすぐに失くなった。

線香花火へと手をつけ、 火をつける。

悠真

誰が長く保てるか勝負な!

いつもの通りの勝負を投げかけ、 線香花火の勝負が始まった。

琉唯

悠真の長いんじゃね!?

悠真

絶対長いって!

あ、終わった…

悠真

またお前が負けだなw

琉唯

どんまい。次だよ

また僕が負け。 これで何回目だろうか。

と、心の中でそう思った瞬間──。

線香花火に火がついた。 なんと、復活したのだ。

嘘…だろ…

悠真

線香花火の復活、かよ…

琉唯

人生最大の凄さ…

誰もが騒ぐこの状況。

碧の目の前に、 ふわっと何かが飛んだような気がした。

何かと思い、 周りをきょろきょろ見る。

月の丁度真下。

ロング髪の茶髪の少女が 宙に浮かんでいた。

あれ…見ろよ…

悠真

ん?

琉唯

どうした?

少女のいる方を指さす。

悠真

何?

見えないのか…?あそこに…

ほら、女の子が空を…

悠真

何言ってるんだか。

琉唯

目の錯覚とかじゃない?

見えてないのかよ…!?

悠真

とうとう頭がおかしくなっちまったか?

まじかよ…

どうやら見えているのは僕だけ。

見えているのは

空に浮かぶ少女なのに。

その場は"冗談だ"と言い、 話を終えた。

そして解散をし、 それぞれ家へと足を進めた。

だが、その後ろには

少女がついて来ていた──。

 

無視しないでよ

 

ねぇ。

 

ねぇってば…

声が消えかかる

な、何…?

答えたらいけないような気もしたが、

どうにもできず、言葉を投げかけた。

 

あれだけ声かけたのになぁ…

ごめん

あの、なぜ僕だけ…

 

私の姿が見えるのは君だけ。

 

もちろん、声が聞こえるのも君だけ。

 

だから私は声かけたんだよ

現れたのはなんで…

 

月が綺麗だから、かな?

月…?

 

ほら、夜の月って綺麗じゃん

それだけで…?

 

それだけって言うな〜!

ごめんって、!

少女は足を交互にばたつかせる。

落ち着いてって!

少女は突如明るい顔を見せる

 

じゃあ、今日からここに住ませてもらいまーす!

は?

 

別にいいよね?

 

君にだけしか見えてないんだし

そういう問題じゃなくて

君と話してるとこ見られたら変な人って思われるだろ?

 

元から変な人なんだし

 

良くない?

は?

 

怒んないでよー!

この少女はなんなんだ、 と心の底から思った。

別に怒ってないけど

 

良かったー!

ねぇ、そういえば

名前は?

 

私に名前なんてないよ?

そうなんだ、

 

あっ!そうだ!

 

君が私の名前考えてよ!

僕が?

 

私名前ないし。

 

ね、お願い!

じゃあ…

変人って呼ぶわ

 

変人!!?

急に現れて、急に住むとか言い出して

当たり前変な人じゃん。

だからピッタリかなぁって

 

変人は辞めてよ!

 

他の名前にして!

わがままさんだなぁ、

じゃあ、透明は?

 

透…明…?

うん

なんか、すごい消えそうだから

 

…いいね!

 

めっちゃいいじゃん!

 

気に入った!

じゃあ今日から透明で

これからよろしくな、透明

 

はーい!

少女は碧の家に住み始めた。

時間が経つにつれ、 不快な思いはなくなった。

だんだんと仲良くなり、

どこへ行くのも "2人"という形だった。

恋人が居る訳でもなかった碧は

その少女を彼女のように接した。

ノリノリな碧を見て、 周りは彼女ができたのかと想像している。

そんな中でも 少女と碧は一緒だった。

あれから1年。

季節は夏という、 少女と初めて出会った季節だ。

悠真

そういえば、もう夏だなぁ

悠真

今年も花火するかー!

琉唯

おっ、いいね

花火…か。

悠真

今日の夜にでも花火しよーぜ!

悠真

準備は去年と同じ、琉唯で!

悠真

線香花火は碧が持ってこいよ!

自分で持ってこいよ

琉唯

ほんとほんと

琉唯

花火用意するのが俺とか

琉唯

意味わかんねぇ

悠真

いいじゃんかよ!

悠真

頼むぜ!?

まぁわかったよ

琉唯

はいはい、

悠真

線香花火持ってきたか!?

持ってきたよ

悠真

よっしゃー!

悠真

じゃ、やろうぜ!

去年も見たような景色。

同じ季節の日に、同じ時間帯に。

まるで去年をやり直しているかのようだ。

1つ変わったことがあるとすれば、

少女がいることだろう。

悠真

あれ、もう花火ない感じ?

琉唯

あれだけしたんだから

琉唯

ある訳ないだろう?

悠真

じゃ、線香花火するかー!

線香花火ね、

はい、どうぞ

1人ずつに線香花火を配った。

悠真

誰が長く保てるか勝負な!

去年も聞いたような言葉。

同じやり取りを繰り返し、 線香花火も丁度ラストになった。

悠真

琉唯ってほんと線香花火得意だよな〜

琉唯

線香花火に得意とかあんのかよ

悠真

あるんじゃね?

悠真

あ、てか!俺の!

悠真

まだ続きそうな感じ!

こっちはやべぇけど?

琉唯

相変わらず碧は負けそうだねぇ、

その時、嫌な予感がした。

負けるだとか、そういうのじゃなくて。

まるで、何かが消えそうな雰囲気だ。

その"何か"がわからない。

琉唯

碧、何ぼーっとしてんの?

琉唯

線香花火なら碧の落ちたよ?

…あっ、…ほんとだ…

線香花火を水につけようとした。

すると、なんと線香花火は復活した。

去年と同じだ。

"普通の"ではなく、 とても小さく、消えかかりそうなままで 火がついた。

琉唯

また…復活…?

悠真

お前…すごすぎだろ…

だが、答えるような、 そんな余裕はなかった。

嫌な予感が胸中に彩られ、 落ち着けなかった。

 

碧くん…

透明…!?

少女はいつもの通り宙に浮かんでいたが、

少女は悲しい顔をしていた。

それと同時に、 声も体も消えかかっていた。

なんで…!!

あまりにも衝撃的な内容で、 大声しか出なかった。

琉唯

碧、どうした…?

琉唯

近所迷惑だよ、静かにしよう?

こんな状況で"静かに"なんて できる訳がない。

 

線香花火が次落ちれば、

 

もう私はこの世からいなくなる。

なんでってば!

 

そろそろ線香花火落ちそうだね、笑

 

会えなくなっちゃうね?

だから、どうしてってば!

 

ごめんね

"ごめん"じゃないから!

だんだんと線香花火の火は薄くなり、

 

月、綺麗だね

 

ばいばい──。

線香花火と同時に、

少女は消えた──。

透明…!?

透明…!

透明…?

今日の日は月なんて出ていない。

なんなら星も出ていない。

真っ暗すぎる空だ。

不思議に思い、調べた。

"言葉の意味"を。

たくさんの意味が出てきた。

だが、全部似ている意味で その中でも1番多かったのが、

『あなたを愛しています』

あの夏の日に

気づければ、知っていれば、

きっと、きっと。

歩む世界が違っただろう。

自分の気持ちを

線香花火が落ちる前に

伝えられていたら 消えなかったかもしれないのに。

今、自分が君に言葉を贈るなら

『死んでもいいよ。』

線香花火が落ちる前に。

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