優利
美羽さんは星泣き病なんだっけ…?

優利
でも…美羽さんが泣くところ、あんまり見たことないから想像つかない…

優利
大丈夫かな…?

優利
もしも皆が僕より先に病気で死んでしまったら僕はどうなってしまうんだろう?

優利
生きる希望を失ってしまうんじゃないか?

込み上げる不安と同時に、悪魔病の症状が悪化してきた。
翼
優利くん…?大丈夫…?

優利
僕は、きっとまた独りになるんだ…

優利
嫌だ…せっかく僕を受け入れてくれる人に出会ったのに…

翼
僕達は君を置いていかない!大丈夫だよ!

優利
そんなの、分からないだろ!?

優利
僕を受け入れることは意図的にできたって

優利
病気の進行を意図的に遅らせることなんて不可能じゃないか!

そのとき、翼さんの頬に僕の爪が当たって傷が付いた。
優利
…!ごめん…

翼
いいよ、誰だって心が不安定なときはこうなるんだから。

優利
真っ赤な蝶…?

翼
血漿変蝶病の症状だよ

優利
綺麗な蝶…

翼
そう言ってくれるのはここで一緒に暮らしてた人達と君くらいだ

優利
暮らしてた…?

翼
僕は生まれつき奇病があったから、物心ついたときにはもうここにいたんだ

翼
親の顔も知らない

優利
そうだったんだ…

翼
一緒に暮らしてた患者が僕より先に亡くなってしまうのを何度も見た

翼
それでも僕は今、こうして皆と幸せに生きてる

翼
安心して

翼
仮に僕らが君より先に死んでも、きっと君を受け入れてくれる人がまたここに来るさ

翼
そのときは、僕らが君を歓迎したように、患者達に優しくしてあげてね

優利
わかった…

優利
なんだか、少し安心した
ありがとう…

翼
僕こそ、話を聞いてくれてありがとう

優利
明日、美羽さんのお見舞いに行こうかな…

翼
美羽ちゃんも喜ぶと思う

それなら、せめて悔いのないように短くても幸せな人生を歩もう。