蓬
....

蓬

蓬
どうして避けるんだ?

茉莉
逆に大人しく突っ立っている方が疑問だと思うんだが

蓬
はぁ...君は分かってない

蓬

蓬
これは“救済”なんだよ

茉莉
救済...だと?

蓬
俺は君がここから安全に帰れるようにしたいだけなんだ

茉莉
人を殺すことが救済か...頓珍漢なことを言うもんだな

茉莉
お前がどういう弱みを握られているのかは知らん

茉莉
だが、その気持ちをあっしに向けるな

蓬
俺は...いずれ会社を継ぐつもりだったんだ...

蓬
でも何もかも彼女のせいで、めちゃくちゃだ‼︎

蓬
このままじゃ“あの情報”が世界に流出される...

茉莉
あの情報?

茉莉
何のことだか一層分からんが、世界に流出するのはあり得ないだろう

茉莉
あと8日で世界は終わるんだぞ

蓬
...君達は気楽でいいな

蓬
隕石によって滅びる...俺も“そんな未来がよかったよ”

茉莉
どういうことだ...?

蓬
話は終わりだ...

蓬

蓬
どうして避けるんだ...俺は君を救ってあげたいだけなのに‼︎

茉莉
相変わらず情緒不安定なことを言うもんだな...

彼が銃を撃つ中、
あっしは上手く背後に
回り込み彼の首を
腕で締め上げた。
蓬
うぐっ...‼︎は...なせ...‼︎

茉莉
黒星の両親の場所を言え、そうすれば気絶で済ませてやる

蓬
な...何だ...うぐっ‼︎

茉莉
早くしろ、こんなところで油を売っている時間はないんだ

蓬
くっ...がぁ...

気のせいかと思い再び彼に
問いただそうとした時、
体が妙に熱くなった。
茉莉
何...だと...

よく見ると腹部から
大量の赤い液体が
流れ落ちていた。
茉莉
ああ...ッ‼︎

体中が感電したように痺れ
あっしは床に倒れ込んだ。
茉莉
いっ...‼︎お、お前...

蓬
いやあ...成功してよかった

茉莉
なっ...

よく彼を見てみると
服の左脇下付近に穴が
空いていた。
蓬
君にやられてる時に持っていた拳銃を左脇下に持っていき、後方に向けて撃ったんだ

蓬
あんなに弾を避けていたのに最後は避けられないんだね...

蓬
あ、最後じゃなくて最期か

蓬
まあ、いいよ。これで君も安心して眠れるね

茉莉
こ...の...

ダメだ...視界が...
景色...が...薄れ...て...
蓬
あれ?死んだ?

蓬
いや救ったの方が正しいか

蓬
君達がただ終末を受け入れるのは気に食わない...

蓬
俺の苦しみなんて誰も理解してくれない

蓬
だからこうすることで俺の苦しみを知ればいいんだ‼︎

蓬
はは...はははは...

蓬
俺は...何も間違っ

蓬

蓬
へっ...?

突如、室内に響き渡った
銃声に困惑していると
体中が熱くなっていた。
蓬
な...何で...俺...が撃た...れ

蓬
だ...誰だ...一体...何...のた...めに...

するとコツコツと
ハイヒールの音が
こちらに来るのが分かった。
蓬
だ...誰...

???
そんなこと気にしなくていいのよ

???
もうすぐアナタも救われるから

蓬
はあ...?

???
言ったじゃない、俺は君を救いたいんだって♡

???
だから私もアナタを救ってあげることにしたの

???
おやすみなさい♡

蓬
な...ん...

???
あら?もう眠った?

???
じゃあ、そんなアナタにこの花をプレゼントするわ♡

???
レンギョウよ、そうねぇ...花言葉は

???

???
豊かな希望、言いなりになる

???
さて、別のところも行かなくちゃいけないんだったわ

???
ああ、忙しい忙しい
