テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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夢々、君へ揺れ

第8話 - 夢と憂い

302

2024年01月25日

#一次創作

#ファンタジー

#夢

#理想

#運命

#青春恋愛

四阿朧

夢なんて、見たことがなかった

睡眠は体の休憩で、それ以上でもそれ以下でもない

今でもそう思っている

…だけど

俺もあいつらみたいな夢が見れたら

…見れてたら

もう少し他の人に興味を持てたのかな。

芽生

嘘、だよね、好きって、誤魔化すための

雪城くん

…

愛吹が少し困惑して言う

雪城くん

（…なんて答えるのが正解なんだろ）

子供の頃から人間関係に悩む姉を見ていて

俺にはそれが愚かに見えて

だから俺は人とあまり関わってこなかった

雪城くん

（だからっていうか…関わり方が、分かんないや）

雪城くん

…分からない

芽生

え？

雪城くん

さっきも言おうとしたけど

雪城くん

…俺、愛吹と初めて話したときさ

雪城くん

愛吹のことがよく分かんなくて

芽生

分かんないって？

雪城くん

…ふつうならいつも俺と話す人は

雪城くん

かっこいいって言ってくる人とか、冷たくてうざいとか言ってくる人ばかりで

雪城くん

そういうの、態度でも分かってた

雪城くん

でも愛吹はなんか…ふつうだなぁって思った

芽生

まあ実際何も考えてなかったし…

雪城くん

うん、そんな愛吹だったから、ちょっと興味持って

雪城くん

柄でもないのに人と過ごすことをしてる

雪城くん

けど人を好きになったことがないから…好きなのかは分からない

芽生

…そういう……

愛吹はなんだそれとでも言うように微笑んだ

雪城くん

（…そういう、穏やかなのに芯が強い感じが）

雪城くん

（見ててすごく落ち着く）

誰かが恋愛は楽しくてドキドキしてわくわくすると言った

雪城くん

（それならこれは好きとかじゃない）

雪城くん

（だってどれだけ見てたって、自然に笑顔になりそうなくらい心境穏やかで）

雪城くん

（ずっといっしょにいたいくらいだ）

芽生

（よく分かんないな、この人）

芽生

（でもいい人だし嫌いじゃない）

芽生

（ていうかむしろ───）

芽生

雪城くん

ん？

芽生

雪城くんがどれだけ冷たいって言われても、私は雪城くんをいい人だと思うよ

芽生

見た目なんかじゃない、雪城くんは優しい人だもん

雪城くん

…そっか

雪城くん

ありがと

それから毎日雪城くんと待ち合わせて登校して、学校でもよく話すようになった

雨莉ちゃん

めおめおぉ、言文のノートの課題とかやってたりしない？

芽生

あ、やってるよ

雨莉ちゃん

写させてくださいぃ！

芽生

いいよー、てかむしろこの前雨莉ちゃんの写させてもらったし

雨莉ちゃん

ああ、そんなこともあったね…

芽生

雪城くんノート書けた？

雪城くん

うん

芽生

じゃそれ次雨莉ちゃんにあげて

雪城くん

雨莉？

雨莉ちゃん

あたしだよ！！！！

雪城くん

ああ、どうぞ

雨莉ちゃん

で、唯兎はいいのー？

ガタンと身を乗り出して隣の家のベランダを覗き込む

唯兎くん

…何がー

唯兎くん

つーか、危ないよ雨莉

雨莉ちゃん

あの2人、めちゃくちゃ仲良いじゃん

雨莉ちゃん

あれやばいよね結構お互い惹かれてんじゃん？

唯兎くん

分かってるけどさー…

唯兎くん

正直顔も身長も性格も負けてる気がすんだよね

雨莉ちゃん

何、珍しいねそんな態度

唯兎くん

そりゃまあ…芽生ちゃんは俺を救ってくれた人だから

雨莉ちゃん

なにそれ

唯兎くん

夢でくれた言葉の1つ1つが大切なんだ

唯兎くん

俺にはない考え方しててさ、俺はいつもそれに救われてる気がしてる

唯兎くん

だからね、現実でどんな芽生ちゃんだろうと

唯兎くん

その根本はあのめおちゃんと同じだって分かってるから

唯兎くん

好きにならずにはいられない

唯兎くん

同時に…俺なんかで、隣にそぐわないんじゃないかな、とか

雨莉ちゃん

…推しと同じだ

唯兎くん

ん？

雨莉ちゃん

もう崇拝しちゃってんじゃんね、それ

雨莉ちゃん

…でもさー

雨莉ちゃん

そんなこと言いながら、あんたは雪城に少なからずムカついてるでしょ

唯兎くん

………んん、まあ、ね

唯兎くん

でも嫉妬とかダサいし…まずちゃんと芽生ちゃんに好きになってもらうこと考えなきゃ

唯兎くん

俺に、できることで

雨莉ちゃん

…ふーん

雨莉ちゃん

応援したげるからさー…ちゃんと自信持ちなよ

雨莉ちゃん

めおめおが夢の唯兎が好きだったことは事実なんでしょ

唯兎くん

…さあ、どうだろう

唯兎くん

ただの都合のいい逃げ場だったのかも

雨莉ちゃん

そんな卑屈じゃ好きになってもらえるものもなってもらえないぞー

雨莉ちゃん

なんでそんなウジウジするわけ？初恋の人だから？

唯兎くん

…まあ、分かってはいるんだけどさ…なんていうか

唯兎くん

夢と現実は、違うから

雨莉ちゃん

…変なの

雨莉ちゃん

（まだ夢とかよく分かってない小さな頃は、唯兎とあたしが結婚の約束なんてしてたなあ）

雨莉ちゃん

（…ほんと、変なの）

めおめおのことを考える唯兎の横顔に

あたしはまったく映ってないってこと

知ってたはずなのに、胸がチクチク痛むような気がしたのは

ただの気のせいで、あってほしい。

夢々、君へ揺れ

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いやいや、あなた達それ恋だから！？「ずっと一緒にいたい」ってそれはもう恋に入りかけてる人間が思うことよ！？「胸がチクチク痛い」ってそれは恋して苦しんでる証拠よ！？でも、四角関係…か……しかも2人は恋してることに気づいてない、気づかないフリをしてるなんて……。これ、芽生さんが唯兎くんと雪城くん、どっちを選ぶかで結末が大きく変わりそうな気がする……😵‍💫😵‍💫