君になりたくて

ー第2セットー

一颯がトスをあげる。

優成がバァンッとスパイクを打った。

そのスパイクは千紘のブロックをかすり、

蒼汰はそれを上へとあげた。

光はギュッと拳を握りしめる。

克樹があげたトスを陸はスパイクをした。

15 ｰ 17

サーブもブロックも全部マークされて

スパイクも全部拾われて……

優成はパンッと自分の両頬を叩いた。

あの様子じゃ大丈夫そうだな…

優成はトスを呼ぶ。

一颯とパチッと目が合うのを確認し、

優成はスパイクを打つ体制に入った。

何度も何度もブロックされて

何度も何度も何度も蒼汰にスパイク拾われて

頭がおかしくなりそうなくらいイライラする

でも冷静にここで1点決めないと

俺がチームに迷惑をかけてしまう

一颯は優成にトスをあげた。

優成は助走をし、飛び上がる。

目の前に2枚のブロックが立ちはだかる。

その時、

ゾワッ……

嫌な寒気が優成を襲う。

ブロックの隙間からスパイクをじっと待つ蒼汰と目が合った。

また

拾われる

無意識に優成のスパイクはブロックの指先を狙って打った。

ボールは指先をかすめることなく、コート外へ落ちてしまった。

20 ｰ 23

俺

今、なにした？

もしかして＿＿

ビビったのか？

蒼汰に＿＿

蒼汰にビビったことなんかなかったのに

今はあいつが……怖い

でもここで逃げたら

負ける。

克樹のサーブ。

陽真がBパスを返した。

一颯はパチッと目が合った。

決める

決める決める決める！

綺麗な弧を描き、優成の元へトスが舞い降りる。

優成は飛び上がり、スパイクを打つ体制に入った。

絶対、

決めなきゃ

バァンッ……

ボールは千紘のブロックによって、ドシャッと床に突き刺さった。

サッ…と血の気が引いていく。

20 ｰ 24

優成は唇をかみ締め、強く拳を握りしめていた。

ドシャッと優成のスパイクがブロックされた。

20 ｰ 24

志保くんはいつも冷静な判断を下してくれる

そんな人がすごくメンタルやられてる場面、

みんなどんな声をかければいいのか分からなくなってる……

あのフォロー上手な倉見くんだって、何を言い出せばいいか考えてるみたい……

ピッ…とホイッスルが鳴る。

克樹のサーブは優成の元へ飛んでいく。

優成は綺麗にレシーブを返した。

尾瀬先輩は誰にあげる？

キャプテンとのクイック？

凌くんのバックアタック…それとも倉見くんのアタック

……いや、ここは

やっぱり＿＿

尾瀬先輩はきっと志保くんに＿＿

一颯はフワッとトスを上げた。

トスを上げた先にいるのは＿＿

凌は少し驚いた様子で助走をし、後衛からスパイクを打つ。

しかし、スパイクはコート外へ外れてしまった。

ピッピー！

20 ｰ 25

明里と光は選手たちにドリンクやタオルやらを差し出した。

陽真はパチンッと手を叩いた。

光はお守りを優成の目の前に差し出した。