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美紀

あー……

美紀

やる事ねーな…

私は毎日死んだような時間を過ごしてた

決まった時間に起きてご飯を食べ仕事に行き帰ってきたら風呂に入って寝る

平日はこのサイクルで休日は仕事が無い分家でただボーッとしてるだけ

私は大した娯楽を得られずなんのために生きてるのかさえ見失っていた

そんな時だった…それが現れたのは

死神

よぉ?

美紀

ん〜?

ベッドで寝ている私の顔を覗き込むようにして私をソレは見てきた

美紀

どちら様でひょ〜か?

死神

俺は世間一般で言うところの死神だ

美紀

ほ〜

美紀

死神さんですかー……

美紀

美紀

えぇ!?

美紀

あんた今死神って!?

寝ぼけた頭で適当に返事をしていたが死神という言葉により脳が覚醒した

そして少し経って私が落ち着き現れた理由を彼に聞いてみた

美紀

あの〜?

美紀

今日いらっしゃったご要件は?

死神

んなもん決まってるだろ

死神

あんたの魂を貰いに来た

美紀

ですよね〜

死神

1週間後あんたは死ぬ

死神

死因は過労死ってやつだ

美紀

まぁでしょうね

美紀

ありえないくらい私働いてますから

死神

で、死ぬ運命からは逃れられない

死神

だが、死ぬのが分かったのならその前から何か願いを叶えることは出来るな

美紀

そっすね〜

美紀

死んでからアレやりたかったとか後悔するのはちょっとね〜

死神

流石にそれは可哀想だと思ってな

死神

せめて何かやりたい事をさせてから死んでもらおっかな〜と

美紀

なるほどね〜

美紀

でも、私特にやりたいこともないし

死神

え?

美紀

え?

死神

いやいやなんかあるでしょ?

美紀

なんにもない

美紀

もう私自身も何やりたいのか分かんないもん

死神

あら〜…

死神

これ俺どうしよっかな〜

美紀

あ!じゃあさ

死神

ん?

美紀

あんた私の遊び相手になってよ!

死神

え?

美紀

これといって特別な事やりたいと思わないし

美紀

それなら変わらない日常をそのまま送りたいじゃん?

美紀

だからあんたは私の遊び相手になるの!

死神

ほんとにそんなのでいいのか?

美紀

私がそれでいいって言ってるじゃん!

美紀

じゃあ早速だけどこのゲーム一緒にやろ!

死神

お、おぉ……

死神が来てからの1週間それは今までの10数年が霞むほど濃い時間だった

ただ一緒にゲームしたり私の愚痴を聞いてもらったり

ちょっと特殊なことをしたならば死神の背に乗って空を飛んだくらいだ

そのどれもが私は楽しかった

最近失ってきていた笑顔もその時は帰ってきてくれたのだ

そんな楽しい時間は過ぎていき運命の時

私の魂が失われる時が来たのだ…

美紀

さぁ!過労死の代わりにあんたが私の魂の狩るんでしょ?

美紀

やること全部やったし悔いは特にないよ

美紀

この魂さっさと持ってきな

死神

…………

美紀

どうした?持ってかないのか?

死神

いや……あのだな……

美紀

ん?

死神

ものすごく申し上げにくいのだが…

美紀

なんだよ

死神

俺お前に恋したかもしれないから魂いいや

美紀

あえ?

死神

いや、うん…

死神

そうなるよね

美紀

それほんとに言ってんの?

美紀

私みたいな女でいいの?

死神

ここ1週間一緒に居て楽しかったし

死神

全然アリかな〜って…

美紀

あっ……そうなのね………

こうして失われるはずだった私の魂は失われることはなくなったのだ

美紀

おぉー!めっちゃ綺麗じゃね?

死神

ものすごく綺麗だな

美紀

いや〜この時期はだいたい私家にいたから外がこんなに飾り付けられてるの知らんかったな〜

死神

俺はもう全部が新鮮だよ

美紀

買い物も済んだしこのあとどうする?

死神

それはお前に任せる……

死神

あ!なぁなぁ!アレなんだ!!

美紀

アレって?

死神

あの白くて巻かれてていかにも甘そうなあの食べ物だよ!

美紀

あ〜…アレはソフトクリームね

死神

そうとくりーむ!

死神

俺あれ食いたい!

美紀

じゃあ食べよっか

私と彼の関係はそれなりに続いていた

今ではかなり仲良くなっていて私は彼の事をシニーと呼んでいる

死神だからシニー…

安直かもしれないが呼びやすいし本人も気に入ってくれたから良しでしょう

ちなみにだがシニーは他の人には見えない

なので私の話し声は他の人から見れば独り言にしか見えないだろう

まぁこれもとっくの昔になれている

シニーは私以外に見えないのでシニーの持ってるものは全部宙に浮いてるように見えてるのだろう

物珍しそうに私のことを見る奴らが居るがそんなヤツらなんて私の眼中にはない

私はシニーと話してる時が楽しいし好きだからそんな人の目なんて気にするわけが無い

ソフトクリームを食べながら私はそんな事を思っていた

死神

これ超上手いじゃん!

美紀

だしょ!?

美紀

ちなみに沢山味あったけどバニラでいいの?

死神

美紀がそれなら俺もそれにする

死神

まぁ俺が見た時食べてた人もそれだったし

死神

それが美味そうに見えたからな

美紀

あっそう…

美紀

他にも抹茶とかチョコとかあったんだけどね

死神

それはまた今度だ!

美紀

そうしよっか!

私はこの非現実的だが何気ない彼との時間がずっと続くと思っていた

だがやはりそうはいかないようだった……

ある日のことである

何気ない話をしている時に私らの間に謎の亀裂が入りそこからこの世のものとは言えない者が現れたのだ

大臣

見つけたぞ427‐死神

死神

大臣……

美紀

は?

大臣

人間の小娘よ少しこいつと話がしたいがいいか?

美紀

それはいいけど…

大臣

では問題ないようだから話させてもらう

大臣

427-死神

大臣

お前は法を破ったよな?

死神

……はい

大臣

その中で一番罪の重たいものだよなこれは?

死神

おっしゃる通りです

大臣

これをするという事はお主は消えることを意味するのだぞ?

死神

覚悟の上での行動です

美紀

待って待って!

美紀

シニーが何したって言うのよ!

大臣

いいか小娘!

大臣

お前はそもそもあの時死ぬはずだった人間だ

大臣

そして427-死神はその時お前を殺し魂を回収するはずだった

大臣

だがそれをせずあろうことか人間と関係を築いてしまったのだ

大臣

死を司る者があるまじき行為をしたのだ

大臣

冥界ではそれをしたものには【侍魂断罪】という処罰を受けるのだ

美紀

何よそれ…

死神

簡単に言えば俺の魂は無に帰す

死神

無になると輪廻転生の輪から外れて二度と生き返ることが出来なくなるというもの

大臣

無に帰す前にはその死神の生きてきた年数と狩りとってきた魂の数

大臣

それらを足した年月この世のものとは思えない苦痛を味わってもらう

美紀

そんな…

大臣

閻魔様はお怒りになられている

死神

直ぐに行きます

美紀

行かないでよ!

死神

ごめんな美紀…

死神

こうなる事は承知の上だったんだ

死神

君と居た数ヶ月とても刺激的で楽しかったよ

死神

無に帰ってもこの思い出だけは手放さないから…

最後にそう言い放ち2人は亀裂に入りもう二度とその亀裂が現れることは無かった

美紀

そんな………

美紀

そんな…

美紀

シニー……

美紀

シニーー!!

大臣

これより大罪を侵した死神の侍魂断罪を行う!

大臣

罪人よ最後の言葉を放つがいい

死神

………

死神

俺は人間と関係を築いたさ

死神

だがそれの何が悪い!

死神

なぜ我々死神は人間を愛すことも許されないのか!

死神

俺はこの冥界の狂った法を改正する

死神

俺が今ここで侍魂断罪を受けたとしても

死神

俺の事最期の演説を聞いた誰かがこの冥界を変えてくれると俺は信じてる

死神

俺が言えるのはここまでだ…

大臣

覚悟は出来たな?

死神

とっくにな……

大臣

では侍魂断罪を……

ちょっと待てやぁぁぁぁぁぁぁ!!

冥界全域にその声が木霊する

そしてその声の主が処刑台をずんずん上り大臣にガンを飛ばして処される死神の方にと歩いていく

死神

み、美紀!!?

美紀

何カッコつけてくれてんの?

死神

まさかお前自ら……

美紀

あぁそーだよ

美紀

もともと私の命はないものだしな

美紀

それに私は決めてたことがひとつあるからな

死神

え?

美紀

私はあんたとずっと一緒に居るってことよ

美紀

あんたが消えるなら私も消えるさ

死神

それは…

美紀

好きな人がいない世界になんて未練なんてねぇよ

美紀

それなら好きな人と最後の最後まで一緒に居れた方が幸せだろ?

大臣

お、お主正気か!?

美紀

うるせぇなコノヤロウ!

美紀

おいそこの偉そうなおっさん!

美紀

私もその何とか断罪受けてやる

大臣

え、閻魔様……

閻魔

……良かろう

美紀

ありがとよ

死神

お前ってやつは…

死神

とんだ無茶をするんだな

美紀

あんたが居たからこんな行動にも出れたんだよ

大臣

で、では!

大臣

2人の侍魂断罪を開始する!

こうして2人の魂は無に帰すことになった

数千年後 冥界

子供

ねーせんせー!

先生

どうしましたか?

子供

この石像なぁに?

先生

それは人間と死神が許されざる恋をしたものを模した像だよ

先生

数千年前あるひとりの死神はひとりの人間に恋をした

先生

しかしそれは冥界では禁忌とされておりその死神は一番刑の重たいものを受けることになった

先生

その時その死神が恋した人間も冥界に訪れてその死神と共に一番刑の重たいものを受けた

先生

この死神は己の魂を賭けてまで冥界の明日を私達に託したのだが

先生

虚しくそれらは叶うことは無かった

先生

そして二度とそんな行為をされぬようにと作られたのがこの像なんだよ

子供

そうなんだ……

子供

この死神さんはお馬鹿なんだね!

先生

あぁ……

先生

とんでもないお馬鹿だと先生も思うよ

右側に人間の女性が立ち左側にはその女性よりも大きな死神がその女性を抱きしめて

その2人を大きな剣が彼らを射抜くような形で作られている

像の名前は【慈愛の2人】

現代

女性

買い物終わったしこのあとどーする?

男性

ハイハイ!

男性

ソフトクリーム食べに行きたいです!

女性

暑いからね私もそれに賛成

男性

やったぜ!!

お題に挑戦シリーズ

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コメント

4

ユーザー

サムネの花はスターチス(またの名をリモニウム)です 花言葉は【変わらぬ心】【途絶えぬ記憶】だったと思います 死を超えてなお変わらぬ心とその想いも持ち続けてみたいですね

ユーザー

とても面白いですね!よかったら、私のも見てください!

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