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放課後。
チャイムの音が、 やけに遠く聞こえた。
教室のざわめきの中で、 俺は立ち上がる。
さとみ
返事は、 すぐ隣から聞こえた。
ころん
当たり前みたいに、 隣にいる。
それが普通。
……俺にとっては。
教室を出るとき、 視線を感じた。
クラスメイトたちが、 小声で何かを話している。
でも、 聞こえないふりをした。
ころん
さとみ
ころん
さとみ
ころん
その声に、 少しだけ笑う。
……こんな時間が、 ずっと続けばいいのに。
玄関を出る。
夕方の空は、 少しだけ赤く染まっていた。
家に帰ると、 靴が二足増えていた。
さとみ
リビングから、 聞き慣れない声がした。
???
???
扉を開ける。
そこにいたのは、 見知らぬ二人だった。
ななもり。
ななもり。
ジェル
莉犬
二人は、 楽しそうに振り返る。
さとみ
ななもり。
ななもり。
ぷちぷち
ひなこ
軽く頭を下げる二人。
ころん
ころんが顔を近づけて 覗き込んでいる。
当然みたいに。
でも——
ぷちぷちの目が、 一瞬だけ動いた。
ころんを、 見た気がした。
さとみ
違和感が、 ほんの少し残る。
ひなこは、 何も言わずに部屋を見回していた。
そして。
リビングの棚の前で、 足を止める。
そこにあったのは、 一枚の写真立て。
三人で並んで写っている写真。
俺と、 ころんと、 るぅと。
笑っている。
何も知らなかった頃の顔で。
ひなこ
ひなこは、 写真を見たまま言った。
その声で、 全員が振り向いた。
ひなこ
空気が、 一瞬で止まる。
さとみ
言葉が、 喉で止まる。
ころん
隣を見る。
ころんは、 いつも通りそこにいる。
笑ってる。
なのに。
誰も、 その名前を言えなかった。
その瞬間——
莉犬
明るい声が、 無理やり空気を切り裂いた。
ジェル
ななもり。
話は、 途切れた。
……いや、 途切れさせた。
ひなこは、 ゆっくり振り返る。
まっすぐ、 俺を見ていた。
その目は——
ひなこ
何かを理解したみたいに。
でも、 それ以上は何も言わない。
ぷちぷちは、 軽く笑っていた。
ぷちぷち
その言葉に、 なぜか少しだけ寒気がした。
ころん
さとみ
写真に、 もう一度目を向ける。
三人で笑っている。
あの日のまま。
変わらない。
……はずなのに。
なぜかその写真が、 少しだけ遠く感じた。