ああしていれば。
こうしていれば。
後悔って、誰でもありますよね。
けど。
後悔の大きさま人それぞれ。
他人が、こんなことかって思っても、
自分では、思いつめたり。
色々あるよね。
今から話す後悔は、
.....。
私にとって、かけがえのない...。
大切な...、
思い出したく無い、記憶。
ザワザワとする廊下を、
一直線に走る彼。
そして、私の目の前で...。
碧唯
そう言う。
春
さっきまでザワザワしていた廊下は、
静まり返った後、
私達へのザワザワへと変わった。
春
碧唯
春
この人は碧唯(あおい)さん。
後輩。
ガックリと肩を落とし、
トボトボと帰る。
え、なんか悪い事したな...。
そう感じてしまうほど、落ち込んでいる。
これが、彼との出会い。
一度出会ってしまうと、
どうしても視界に入ってしまうもので。
碧唯
春
昨日の落ち込んだ感じとは打って変わり、
元気な後輩へと戻っていた。
碧唯
春
昨日と同じセリフ。
返事は変わらない。
春
碧唯
唇をとんがらせ、拗ねている。
一体なんなんだろう。
その会話が、毎日繰り広げられ、
いつしか恒例の芸となっていた。
しかし、
彼はいつの間にか、姿を消していた。
何処を探しても見つからない。
蒼兎
春
部活の後輩の、
蒼兎(あおと)くん。
蒼兎
蒼兎
春
碧唯くんと蒼兎くんって、
兄弟だったんだ...。
蒼兎
春
蒼兎
蒼兎
春
病院に居るのか。
場所が分かっただけで安心した。
"安心した"だけで、行かなかった。
プルルルル
プルルルル
電話がかかってきた。
蒼兎くんから。
春
蒼兎
蒼兎
碧唯くんが、死ぬ?
春
蒼兎
蒼兎
春
蒼兎
今の私には、
向かうという選択肢しか無かった。
電話しっぱなしのケータイ、
家の鍵、
上着を持って家を出た。
春
走って病院へ来た。
看護師さんに何か言われたが、
聞き取れ無かった。
春
蒼兎
無我夢中で走り、
エレベーターへ駆け込んだ。
春
蒼兎
8階のボタンを押す。
この待ち時間が鬱陶しい。
蒼兎
蒼兎
蒼兎
春
後10秒?
間に合う訳ない...。
なんていう考えは無くて。
陸上部の全力を出し切る勢いで。
845号室へ走った。
5
4
時間が脳内を過ぎる。
3
後少しっ!
2
着いたっ!
1
ガラララッ
ピーーーーーーという、
無機質な音が響いた。
春
春
蒼兎
私、気づいてしまったよ。
碧唯くんの事、好きなんだって。
絶望したよ。
自覚したのが、死んだ後なんてさ。
コメント
4件
世の中にはそういうのもあるよ...←お前はいつも何様なんだ
え?天才?