淡い夢を見ていた
確か君が泣いてた気がする
……でも、あんまり覚えてないや
私は目を開く
光莉
目を開けるとそこは真っ暗闇
床は冷たく音は無い
寂しい部屋だった
光莉
光莉
優希、それは私の彼氏の事だった
そんな優希と私はデートしていた真っ最中だった
なのに……
光莉
光莉
光莉
キィ─
頭が混乱している時に 扉の開く音がした
私が振り向くとそこには 少しの光が差し込んでいた
光莉
光莉
そのまま私は扉を出た
光莉
さっきまで暗い場所にいたせいか
目がチカチカする
光莉
私の目の中には 建物なんてひとつもなかった
光莉
光莉
振り向くとそこにはなにもなかった
一体私のいた場所は なんだったんだろう
コツ、コツ
私の足音一つだけ
光があるのに、暗いみたいだ
光莉…光莉…
光莉
何だか声がする、誰もいないのに
しかも、下から
光莉
歩いていると何故か力が抜けていくのが分かった
光莉
そうして私は倒れた
ポタ…ポタ…
光莉
光莉
そこが私が最初にいた場所だ
しかも上から水がポタポタと 1滴1滴降ってくる
光莉
謎は深まるばかりだ
この水も、場所も、あの声も
その時だった
嫌だ!嫌だ!!
死ぬな!死ぬな!光莉!
突然怒鳴り声が聞こえた
光莉
光莉
光莉
私が叫ぶと体が自然にふわっと 浮き上がった
光莉
そのまま私は目を閉じた─
優希
優希
目を開けるとそこには
泣き叫ぶ優希がいた
そしてベッドには─
光莉
光莉
光莉
優希が泣いている顔
それは確か、夢でも見た
光莉
すると優希に医者らしき人物が 近づいてこう言っていた
医者
医者
優希
光莉
光莉
すると色々な記憶が頭に入ってく
光莉
そうだ、優希と2人ででかけているとき、優希が車に轢かれそうになった時、とっさに庇った私が─
光莉
医者
医者
優希
私には優希が手をぎゅっと 握ったのが分かった
優希
その言葉に私は涙が止まらなかった
光莉
そうして私は目を閉じた
意識が遠のいて行く中
私の耳の中で優希のその言葉が
その声が、ひどく優しく響いた─
コメント
7件
交通事故で突然のお別れ…とても切ないですね…優希の言葉はいなくなった光莉にも届いているんですね…✨花咲あむさんの作品もとても素敵です😍大違いとは思えないです!!
「その声が、ひどく優しく響いた」 の使い方がナチュラルで、素敵でした。 ご参加ありがとうございます!
今回は黒腹 みかげさん主催の 創作コンクール参加作品1作目となります。