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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで

佐々木 尚太

おはよう、ぐっちー

溝口 圭一

おはようございます

溝口 圭一

遅刻ですか?

佐々木 尚太

まさか!

佐々木 尚太

そこで上司に捕まってたんだよ!

佐々木 尚太

んで?

佐々木 尚太

なんか収穫あった?

溝口 圭一

ありません

佐々木 尚太

そんなはっきり言わなくても…

溝口 圭一

これまでの事件とほぼ一緒です

溝口 圭一

目撃者も無く

溝口 圭一

監視カメラに何も映っていない

溝口 圭一

現場に犯人と思われる痕跡も

佐々木 尚太

無い

溝口 圭一

そういうことです

佐々木 尚太

飯島結子(いいじま ゆうこ)の件は?

佐々木 尚太

あの部屋で何人もの人を拷問にかけてたんだろ?

佐々木 尚太

拷問が趣味ってのも……

佐々木 尚太

ねぇ?

佐々木 尚太

時代錯誤もいいとこだな

溝口 圭一

彼女から暴行を受けていた人物にも

溝口 圭一

聞き込みしましたけど…

佐々木 尚太

口を開くわけ無い、か

溝口 圭一

”罰が下ったんだろう”

溝口 圭一

皆さんそう言ってましたよ

佐々木 尚太

ご自慢の拷問部屋で亡くなったんだから

佐々木 尚太

そう思われてもしょうがない、か

溝口 圭一

はい

佐々木 尚太

被害者の共通点は?

溝口 圭一

ありません

佐々木 尚太

はぁ〜…

佐々木 尚太

こうも何も出ないと

佐々木 尚太

動きようが無いなぁ

溝口 圭一

鑑識はなんと?

佐々木 尚太

人が残しそうな痕跡一つ見つからないってさ

溝口 圭一

そんなことあり得ますか?

佐々木 尚太

現状、有り得ているから

佐々木 尚太

鑑識の皆さんは頭を抱えてるんだよ

佐々木 尚太

結局、俺ら下っ端は

佐々木 尚太

一生懸命聴き込みするぐらいしかないのかもな

溝口 圭一

……そう、ですね

佐々木 尚太

女子校の聴き込みって無駄に緊張する……

溝口 圭一

そう、ですね

佐々木 尚太

こういうのって絶対同性の方がいいと思うんだけど

溝口 圭一

はい

佐々木 尚太

あれ?ぐっちー

佐々木 尚太

もう疲れちゃった感じ?

溝口 圭一

あ、いえ…

溝口 圭一

まだ大丈夫です

溝口 圭一

次はどこに行きましょう

佐々木 尚太

うーん…

佐々木 尚太

あ、あそこ

佐々木 尚太

学校の近くにある花屋さん

佐々木 尚太

この前来た時は臨時休業してたけど

佐々木 尚太

今日は開いてるな

溝口 圭一

じゃ、聴き込みに行きます?

佐々木 尚太

……

溝口 圭一

佐々木刑事?

佐々木 尚太

上司からの着信……

溝口 圭一

え…

佐々木 尚太

悪いけどぐっちーだけで行ってきてくれる?

溝口 圭一

わかりました

花屋の店主

不審な人物ですか?

花屋の店主

いえ、その日もお店は開けてましたけど

花屋の店主

そんな人は……

溝口 圭一

そうですか…

溝口 圭一

あの、念のため監視カメラの映像を確認させて頂いても?

花屋の店主

構いませんけど

花屋の店主

映っているのは店先なので

花屋の店主

あまり意味は無いかと…

それでも形ばかりに確認する。

花屋の店主が言う通り、

監視カメラは店先しか映っていなかったが

お店の前を通る人たちの姿も映っていた。

とはいえ、

学生や配達業者、常連客、

ごく普通の通行人など。

挙動の怪しい人物は映っていなかった。

花屋の店主

あ、そういえば

監視カメラの映像を止めて、

ふと店主が思い出したように言葉を発した。

花屋の店主

たぶん、その日だったと思いますが

花屋の店主

すぐそこの角で

花屋の店主

被害にあった子と男性が話しているのを見ましたよ

溝口 圭一

え…

溝口 圭一

それ、何時頃ですか?

花屋の店主

えーっと…

花屋の店主

17時半過ぎ…だったと思います

花屋の店主

お客さんを見送るため店先に出てたとき見たんです

花屋の店主

そうそう

花屋の店主

背の高い、男前な雰囲気の男性でしたよ

溝口 圭一

何歳ぐらいの方でした?

花屋の店主

うーん…

花屋の店主

僕より少し若い感じだったかな

花屋の店主

大学生っていうよりかは

花屋の店主

社会人みたいな

花屋の店主

曖昧ですみません

溝口 圭一

いえ

花屋の店主

ただ、男性の前髪が長くて

花屋の店主

顔が隠れてたからよくわからない

花屋の店主

っていうのが本音です

溝口 圭一

顔が隠れてたのに男前?

花屋の店主

雰囲気ですよ、雰囲気

花屋の店主

立ち居振る舞いといいますか

溝口 圭一

そう、ですか

溝口 圭一

そのあと、二人はどうしましたか?

花屋の店主

うーん…

花屋の店主

男性の方があっさり彼女に背を向けて歩き出したんで

花屋の店主

ナンパが失敗したのかな?って思いました

花屋の店主

けど

溝口 圭一

けど?

花屋の店主

彼女もすぐ同じ方向に歩き出したんです

溝口 圭一

それはどっちに?

花屋の店主

角を右に曲がって行ったのでそこから先は…

店主は首を横に振る。

溝口 圭一

そうですか…

溝口 圭一

貴重な目撃情報ありがとうございます

花屋の店主

いえ

花屋の店主

先日来た女性の刑事さんにも宜しくお伝えください

溝口 圭一

……女性の刑事?

花屋の店主

はい

花屋の店主

とても熱心な方で

溝口 圭一

その人、名前はなんと?

花屋の店主

霧島希(きりしま のぞみ)さんと言っていましたが…

花屋の店主

もしかして、刑事じゃないんですか?

溝口の表情から何かを察した店主は、

急に不安な表情を浮かべる。

溝口 圭一

あ、いえ……

溝口 圭一

その人にも先程の話しを?

花屋の店主

ええ、しましたよ

溝口 圭一

それで何か言ってませんでしたか?

花屋の店主

え…いや…

花屋の店主

あ、そうだ

花屋の店主

去り際に”そいつが管理人か”って

花屋の店主

はっきりとは聞こえませんでしたが

花屋の店主

そんなことを言っていたと思います

溝口 圭一

管理人…?

花屋の店主

きっと、『何でも相談所』のことですね

溝口 圭一

……都市伝説の?

花屋の店主

ああ、刑事さんもご存知でしたか

花屋の店主

女子高生たちもその手の話しが大好きなようで

花屋の店主

放課後、よくその話しを聞かされます

花屋の店主

なんでも、名前を書き込んだら殺されるとか

花屋の店主

ははっ

花屋の店主

学生が好きそうな話しですよね

溝口 圭一

そうですね

花屋の店主

今のご時世そんなことをしたらすぐに足が付くと思うんですけど

花屋の店主

どうなんでしょう?

溝口 圭一

さ、さぁ?

溝口 圭一

目下調査中ですので

花屋の店主

そうですか

溝口 圭一

また、何か思い出したら連絡をください

花屋の店主

はい、わかりました

溝口は丁寧に頭を下げると、

藤崎花(ふじさき はな)と男性が話していたという場所に行く。

しかし、

そこには監視カメラの類いは無く、

花屋の店主の証言を裏付けることは出来なかった。

佐々木 尚太

お帰り、ぐっちー

佐々木 尚太

なんか面白い話しあった?

溝口は花屋の店主から得た証言を共有する。

佐々木 尚太

若い男性が藤崎さんにねぇ

佐々木 尚太

証言の裏付けが出来ないのが悔しいなぁ

佐々木 尚太

ちょっと地図見せて

溝口 圭一

はい

佐々木 尚太

えーっと…

佐々木 尚太

二人が目撃されたのがこの角…

佐々木 尚太

んで、藤崎さんの遺体の見つかった場所がここ…

佐々木は地図にマークを付ける。

溝口 圭一

直線距離にして三キロ……

佐々木 尚太

歩けない距離じゃない

佐々木 尚太

ってことで

佐々木 尚太

次はこの辺の聴き込みをしてみるか

溝口 圭一

はい

溝口 圭一

あ、その

佐々木 尚太

何?

溝口 圭一

上司からの電話は…

溝口 圭一

もしかして霧島希のことですか?

佐々木 尚太

えっ!!

佐々木 尚太

なんでぐっちー当てちゃうの!?

溝口 圭一

いえ…

そこで溝口はまた花屋の店主の話しをする。

佐々木 尚太

そっか…

佐々木 尚太

ここでも…

溝口 圭一

ここでも?

佐々木 尚太

他の現場にも現れてるみたいで

佐々木 尚太

刑事って名乗ってるわけじゃないけど

佐々木 尚太

ジャーナリストって名乗ってるわけでもないらしい

佐々木 尚太

相手が勝手に刑事だと思って色々喋ってるみたいでね

佐々木 尚太

上からは気を付けろって言われた

溝口 圭一

気を付けろって……

佐々木 尚太

ジャーナリストに遅れをとるなってこと

佐々木 尚太

よし、日が沈む前に聴き込みに行くぞ

溝口 圭一

は、はい!

『何でも相談所』

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