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それは地下室にあった
見た目は黒のマッサージチェア
フットマッサージ付きの
高級そうな革張りの椅子
明日夢
明日夢
じいちゃん
頭上に固定された"それ"が
何かの信号を送るらしい
明日夢
じいちゃん
明日夢
じいちゃん
じいちゃん
明日夢
意味がわからなかった
タイムマシーンなんて映画でしかみたことがない
現実にはあり得ないものだと思っていた
明日夢
明日夢
じいちゃんが"それ"を作り始めたのは三十年前
現役バリバリの機械技術者だった頃
俺が生まれるずっと前から
じいちゃんが作り続けている謎の椅子
明日夢
明日夢
信じられないような話だけど
じいちゃんの言葉には妙な説得力があった
じいちゃん
じいちゃん
明日夢
じいちゃん
明日夢
じいちゃん
じいちゃん
じいちゃん
じいちゃんの作っている"それ"は
世間に知られてはいけない秘密だ
タイムマシーンがあったなら
誰だって一度は考えたことがあるはず
未来や過去に行ける夢のようなマシーン
きっとみんな欲しがって
それがいずれ争いを生む
じいちゃんはそう思っているんだ
明日夢
丈太郎
丈太郎
明日夢
明日夢
丈太郎
じいちゃんの家に行くと
おばあちゃんが時々、おかずを持たせてくれる
煮物や佃煮、和え物など
昔ながらの和食なのだが
明日夢
明日夢
それがとにかく旨い
日々の疲れも吹き飛ぶ旨さ
丈太郎
明日夢
じいちゃん
明日夢
明日夢
丈太郎
明日夢
じいちゃん
明日夢
明日夢
丈太郎
明日夢
丈太郎
明日夢
丈太郎
丈太郎
丈太郎
丈太郎
俺が生まれるずっと前
機械技術者だったじいちゃんは
朝から晩まで働いて
休日は地下に籠ることが多かった
その頃には既に"あれ"を作り始めていたんだろう
見た目はパリッとしたスーツが似合いそうな紳士
でもスーツは二着ほどしか持っておらず
そのスーツを着る機会も少ない
雑誌に取り上げられて有名になってもそのスタンスは変わらず
年がら年中、作業着姿で過ごしていた
おばあちゃん
おばあちゃん
おばあちゃん
おばあちゃん
明日夢
明日夢
おばあちゃん
おばあちゃん
おばあちゃん
明日夢
明日夢
おばあちゃん
おばあちゃん
おばあちゃん
ため息をついたおばあちゃんがとても寂しそうに見えた
小さい頃から俺のことを可愛がってくれているけど
俺は隣の家に住んでいるだけで本当の孫じゃない
おばあちゃんはずっと
息子さんや孫に会いたいと願っているみたいだ
明日夢
丈太郎
明日夢
丈太郎
丈太郎
明日夢
丈太郎
丈太郎
丈太郎
じいちゃんは機械が好きで没頭しちゃうんだろうけど
もしかしたら本当は
"あれ"を完成させて驚かせたかったのかもしれない
一番に見せたかったのかもしれない
でも
うまく伝えられないまま息子さんは出ていってしまった
それでもじいちゃんは諦めなかった
息子さんが出ていってから十八年
地下室に籠り作業を続けた
そして作業開始から三十年
長い年月をかけて作り続けた
"あれ"が遂に……
完成した