テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
アルミ
616
246
7,037
#カントリーヒューマンズ
ねがてぃぶろっこりー
1,195
コメント
1件
ああ、面白かった!特にグループ分けでソ連とペアになれた時の日帝の「ソ連っ!!!!信じてたぞ!!」の心の声、思わず笑っちゃいました(笑)。でもその後の「頼っていいからな」→「急に何 こわ」の流れは、日帝の真剣さが空回りしててちょっと切なくもあり…。ナチスとの相談で「それは怖いわ」って冷静にツッコまれてるの、めっちゃ分かる。最後の笑い合いのシーンは、このメンバーの仲の良さがじんわり伝わってきて良かったです。次が気になります!
16日目 午前8時
日帝
廊下に集まった生徒を数え終えた。
518人を5人ずつ部屋に入れていった結果、 3人余ったので6人部屋が3部屋できた。
俺のグループを除き、使う部屋は102部屋。
1日に30人ほど来てもらうため、 A、B、Cを部屋ごとに振り分けた。
102部屋を3グループに分ければ、 だいたい1グループが30部屋になる。
部屋ごとに1人ずつ来てもらえば 1日に30人ほど来てくれる、という事だ。
日帝
廊下に響く声で言い、ドアを指さした。
今日探索する棟のドア。
日帝
生徒が開いたドアの向こうに入る。
列になってくれているようだ。
最後の生徒が入った後……振り返った。
日帝
日帝
ナチス
はぁ、とため息が出る。
俺の部屋のメンバーの中で……
今日誰が探索するのかまだ決まっていない。
アメリカ
イギリス
ナチス
その横でソ連が俺の肩を揺らす。
日帝
全員行きたいらしい。
日帝
俺も生徒が気になるから行きたいのに……
アメリカ
ナチス
日帝
咳払いして全員を見た。
日帝
そう言った途端、4人の視線が俺に集まった。
一瞬だけ時が止まる。
アメリカ
アメリカが静かに言った。
日帝
アメリカ
アメリカが口を開けて固まったあと……
飛び上がった。
アメリカ
アメリカ
アメリカがドアに向かって走り出した。
日帝
変わらずすぐに行ってしまう。
ナチス
ナチスが腕を組んで笑い、歩いてアメリカに続く。
そんな事を言いながら、 ナチスも嬉しさを抑えきれていない。
ソ連はイギリスを少し見て、 逃げるようにナチスのあとを追った。
イギリス
俺とイギリスが廊下に残る。
日帝
2人きりである事を良いことに、そう問った。
横目でイギリスの顔を見る。
イギリスは、ここを気に入ったから 探索する意味がないと言っていた。
昨日探索していたのは、 単に俺を口論で負かすためだっただろうが……
今日はそのような理由が無いはずだ。
イギリスも俺を見る。
変わらない笑顔。
イギリス
また曖昧な返答。
日帝
イギリス
イギリスはそう答えた後、先に棟に入っていった。
その背中をぼんやりと見る。
これじゃ、溝が深まるばかりだ。
何を考えているのか、教えてくれればいいのに。
それなら疑うことなんて無いのに。
妨害者を探さないと…
……
……いや、まだ疑うのは早い。
そんなに浅い理由で疑うのはだめだ。
日帝
少し下を見ながら、棟に向かって歩いた。
アメリカ
アメリカが10mほど先で手を振っている。
アメリカ
反対色かどうかは、ナチスが判断したんだろうか。
皆ドアに集まっている。
走ってそのドアの前に行った。
アメリカ
アメリカがドアノブを握り、ドアを引いた。
部屋に入った。
今まで見てきた部屋とは異なる。
前には大きなスクリーンが広がり、 部屋中に鼠色の机が並んでいる。
机の上に置かれているのは、比較的小さなPC。
コンピューター室だ。
入った瞬間からナチスが駆け出していた。
1番手前の机の前に行き、コンピューターを触る。
ナチス
ナチスがキーボードを指でバチバチ叩く。
操作に慣れているようだ。
アメリカ
と言いつつ、アメリカもPCしか見ていない。
落ち着きがないのはどっちだ。
俺は奥の机に歩いていき、机の中を調べる。
何も無かったり、白紙だったり。
PCは操作できない。
技術の授業で操作を習ったが、理解できていない。
日帝
机を覗きながら、少し大きめの声で聞く。
アメリカ
ナチス
アメリカ
ナチス
アメリカとナチスで盛り上がっていく。
PCに関してはナチスを頼れるな……。
PCにヒントがある場合も考えられる。
日帝
ナチス
声が段々と小さくなっていった。
遊んでいたんだろうなぁ……。
調べてくれればいいが。
端の机を調べ終え、次の机に移る。
椅子がなくて調べやすい。
机の引き出しを開け、奥を覗く。
紙があったので、取って表裏を確認したが やはり何も無い。
紙にヒントが書かれている場合もあるから…
白紙だろうと思っても、裏を見なければ。
紙を机の上に置き、引き出しを閉めた。
ふと後ろを見ると、 イギリスとソ連がドアの近くで向かい合っていた。
イギリスは貼り付けた笑みを浮かべ、 ソ連はメモ帳を広げて険しい表情をしている。
揉めているようだ。
こんな時までやめてくれ……
すぐに立ち上がって、2人の方に向かった。
5mほど近くに来た時、ソ連が俺を見て…… 走って飛びついてきた。
日帝
両肩に手を置かれて前後に揺らされる。
日帝
日帝
そう宥めると、ソ連の腕が止まった。
代わりにメモ帳を広げて何かを書き込む。
その間にイギリスが歩いてきた。
イギリスに聞く。
日帝
イギリスのことだ。
多分少し捏造して言うだろう。
……と予想したが、イギリスは何も言わない。
急にしゃがんで俺を見た。
日帝
嫌な予感がする……
イギリスは顔の下に握った手を添えた。
イギリス
日帝
へっ!?!?
怖い!!!!
怖い怖い!!!!
すると、ソ連もしゃがんでこちらを見た。
手をハートマークにして、両頬に添える。
両者とも完全な上目遣い。
日帝
イギリスがぴょこぴょこ移動して 足元に近づく。
イギリス
日帝
ソ連が女々しく口を尖らせた。
日帝
日帝
アメリカ
アメリカ
アメリカとナチスが俺の隣に来て、 イギリスとソ連が正座させられている。
2人に反省の色は無い。
ソ連がメモ帳を広げて見せた。
イギリスが見てくるから集中できなかった
何の悪気もなく座っている。
自分が正しい、と言うようなドヤ顔。
アメリカ
イギリス
即答。
イギリス
日帝
ソ連を信じたい所だが……
ソ連が嘘をついていることもあるよなぁ……
ナチス
ナチスがすっと手を挙げた。
ナチス
アメリカ
ソ連がすごく大きく頷いた。
確かにそれがいいな……
そもそもこの2人を一緒にするのが駄目だ。
日帝
ナチス
ナチスがぐっと両手を握った。
にこりと笑っている。とても嬉しいようだ。
ソ連とイギリスは分けるとして……
俺とアメリカとナチスがどう分かれるか。
正直、俺達の分かれ方は関係ない気がする。
日帝
ソ連とイギリスに目を移した。
2人は顔を見合わせる。
日帝
グー同士、パー同士のグループで組む。
どちらと組むことになるか分からない。
アメリカ
ナチス
3人で片手を出した。
アメリカ
右手をぐっと握り込む。
アメリカ
ナチス
日帝
俺はグー、アメリカとナチスはパー。
俺は2人組になるのか。
イギリスとソ連、どちらかとペアになる。
ソ連がいい……!!
イギリスは1人じゃ手に負えない……!
日帝
日帝
視線が2人に集まる。
頼む。こればっかりは。
……イギリスとソ連が手を出した。
アメリカ
ナチス
ソ連が……手を握っている。
日帝
ソ連っ!!!!
信じてたぞ!!
ナチス
ソ連と目が合う。
ニヤつかないように力を入れる。
ここで喜んだらイギリスが可哀想だ。
ナチス
ナチスがその場にしゃがみ込んだ。
そうか……ナチスはグループ唯一の1年か……
声がくぐもっている。
何かしないと拗ねそうだ。
アメリカ
イギリス
一方アメリカは何も思っていないようだ。
変わらずイギリスと話している。
ナチスの心の支えになれそうだ。
このグループでうまくやってほしい……。
ナチスの肩をぽんぽんと触る。
ナチス
ナチスが顔を上げた。
ナチス
ナチス……っ!
アメリカ
アメリカが口を尖らせた。
イギリス
ナチス
ナチスがイギリスを睨みつけた。
日帝
日帝
アメリカ
アメリカがにぱっと笑った。
アメリカ
アメリカが机の方に向かう。
ナチス
ナチスも渋々探索を始めた。
それに合わせて俺も調べていた机に戻る。
よかった……
イギリスとのペアは免れた……。
アメリカ
ヒントの紙が見つかり、皆で部屋を出た。
ナチスがすごく顔を顰めている。
アメリカ
アメリカ
アメリカが手を振り、グループが分かれた。
ソ連は大人しく後ろをついてきている。
アメリカ達のグループが廊下を曲がり、 見えなくなった所でソ連が隣に来た。
横を向くと1番にソ連の肩が見える。
こう見ると本当に大きい。
日帝
ソ連
こくりと頷いた。
この調子なら普通に静かだが……
たまに変なスイッチが入るんだよな……。
肩を揺するときもそうだし、
さっきの上目遣いも…
……いや、思い出したくない。
廊下を見渡し、反対色のドアに向かって歩く。
ソ連も俺に合わせて迷わず歩く。
反対色のドアを分かっている様子だ。
探索に小慣れている。
指示を出さなくても動いてくれるのは本当に助かる。
ドアの前に着いた。
ソ連がドアノブを握り、ドアを引いた。
いつも通りの、家の一室。
よく掃除されたリビング。
しかし、この部屋はキッチンの面積が圧倒的に広い。
ダイニングキッチンだ。
日帝
何か隠されていそうな場所が沢山ある……。
こんなに広いキッチンを調べるのは初めてだ。
ソ連
ソ連が冷蔵庫を見て、とてとてと走っていく。
ドアを離れ、キッチンに入る。
冷蔵庫の前に立ち……
冷蔵庫の扉を全開にした。
日帝
何をしているんだ。
ソ連は開いた冷蔵庫の前で仁王立ちしている。
俺もソ連の隣に来た。
当たり前のように冷気が漂っている。
寒いのが好きなのか……?
ソ連は俺を横目で見たあと、冷凍庫も開けた。
立方体の型が所狭しと並んでいる。
アイスメーカー。
水を入れたら普通に氷を作れそうだ。
ソ連はアイスメーカーを取り出し、 銀色のシンクに持っていった。
水道の蛇口をひねって水を出す。
アイスメーカーに水が溜まっていく。
しかし、型の半分くらいまで水を入れて止めた。
日帝
というか、なぜ氷を作っているのかも分からない。
ただの好奇心か?
日帝
ソ連
小さく頷いた。
じゃあ何のために……
日帝
ソ連はアイスメーカーを冷凍庫に入れてから、 メモ帳を取り出して書き込んだ。
メモ帳を覗き込む。
食べる
日帝
ソ連
食べる……?
た、食べるのか……。
日帝
日帝
ソ連
2回頷いて、 調理器具や調味料がある引き出しに向かった。
俺は食器や非常食がある棚を調べる。
引き出しを開けると、 花の画が施されたお洒落な皿が重なっていた。
艶があって高級感が溢れている。
皿を一枚ずつ取り、 何か隠されていないかを確認していく。
5枚ずつ重なった皿のセットが10個ほど。
それでもこの視界で飽きることはない。
こんな皿で食事してみたいものだ。
しばらくその棚を調べた。
最後の皿を取ってみた時、冷凍庫から音がした。
パキッ
パキッ
皿を見て戻し、棚を閉める。
ソ連を見ると、もう冷凍庫の前にいた。
目がキラキラしている。
次の棚を調べる前に、それを見届けよう。
ソ連が冷凍庫を開けた。
ソ連
冷凍庫を覗き、小さく跳ねた。
冷凍庫の中に手を突っ込み、 小さな氷を大量に手掴みで取る。
俺に背を向けながら冷凍庫を閉めた。
ソ連が反対を向いているせいで手元が見えないが、 ボリボリと砕ける音が聞こえる。
氷を食べている。
日帝
いいなあ……
俺も食べたい……
食べさせてくれるか分からないが。
16日目 午前10時21分
ナチス
イギリス
イギリス
ナチス
イギリス
ナチス
アメリカ
アメリカ
イギリス
ナチス
ベッドを調べるアメリカがぺろっと舌を出す。
このチームから早く抜け出したい。
自己中と自己肯定馬鹿。
2人とも先輩なんてありえない。
絶対に俺の方が大人びている。
アメリカは優しいからまだしも、 イギリスはかなりの捻くれ者だ。
タイマンするのに頭と体力を使う。
その上、必ず口論で負けるから イギリスが探索のために動いてくれない。
振り回されてばかり。
日帝と一緒だったらよかったのに。
本当にろくな事がない。
ナチス
イギリスを見て呟くが、本人は首を傾げる。
イギリス
ナチス
わざと言ってるなこいつ。
自分が捻くれ者だと認めない……!
こいつはもういいや。
直そうとする時間が無駄な気がする。
ナチス
アメリカ
ナチス
アメリカと頑張ろう。
これに限る。
日帝
棚を調べながら呼ぶ。
ソ連
ソ連が俺の方に向く。
「何」とでも言いたげに小首を傾げた。
さっき作ったハーフサイズの氷を、 1個分の大きさに作り変えるらしい。
余ったハーフサイズの氷がある型に、 水道水を注いでいる。
日帝
皿を見ながら呟く。
ソ連
アイスメーカーを冷凍庫に入れる音がした。
日帝
ソ連
視界の端で首を横に振られる。
日帝
……そうだよな。
どうしてもそうなる。
ソ連とイギリスを分けたら、 単独行動を避けるためにグループを分けなければならない。
そうなると、イギリスを最大2人でしか 見られなくなる。
仕方ないけど……問題だな。
日帝
ソ連
ソ連はメモ帳を取り出して書き込み、 見せに来た。
やばい奴って噂は聞いてた
日帝
それはそうか。
1日共に過ごしただけで、 大体の性格や考え方が分かるくらいだ。
あんな曲者が噂にならないわけがない。
日帝
日帝
すぐに書き込んだ。
少しの期待も込めてメモ帳を見る。
いなさそう
……
……やっぱそうだよな……。
日帝
お礼だけして、また新しい皿を取る。
……まずい。
これから一緒に過ごす仲間なのに、 その素性が全く分からない。
ソ連も含めて。
日帝
イギリスはすごく捻くれているし……
ソ連は喋らないし……
2人が心を開いてくれる日が 来ない気がしてきた。
2年の心が鉄壁すぎる。
こちらなりに努力しているが、 絶対的な効果があるとは言い難い。
これ以上なにか出来るわけでもない。
純粋に仲良くしたいのに。
どうすればお互い生きやすいんだ……。
20分程が経った。
非常食の棚を調べている時、 中から容器が出てきたのだ。
ノリを入れるような容器の形。
その中に、粘度が高い透明の液体が 入っていた。
明らかに食べ物じゃない。
容器の側面に、 「ゲーム開始から半年以内に使うこと」 と書かれた紙が貼られていた。
ヒントだろうと2人で判断し、 部屋を出た。
日帝
ソ連
ソ連が液体をじっと見ている。
興味津々だ。
「ゲーム開始から半年以内に使うこと」。
その表記も気になるし、
何の液体なのかも知りたい。
危険なものかどうかは判断できないが。
ソ連がポケットから氷を取り出し、 俺から顔を背けて口に入れる。
また前を向き、ボリボリと砕く。
日帝
……食べたい……。
言おうとするが声にならない。
口が開いて、また閉じる。
とても言いづらいが……
言わないと溶けてしまう。
ダメ元でお願いするんだ……。
日帝
ソ連がモゴモゴ口を動かしながら こちらに向く。
日帝
ソ連
ソ連はポケットを覗いてから、 氷を取って俺に差し出した。
半透明でつやつやしている。
氷の中に灰色が映った。
日帝
氷を受け取って口に入れる。
口に入ると、冷たい氷が舌に触れて溶け、 少し甘さのある水が溜まる。
舐めたいところだが、 喉に詰まらせたくないため噛み砕く。
冷たい。でも美味しい。
噛み砕いて小さくし、 破片が水になったので飲み込んだ。
ソ連
ソ連がメモ帳を取り出し、 あるページを開いた。
便所
日帝
使い回せるページは 残しておいているんだろう。
言葉があまりにもストレートだが。
日帝
ついでに行けば効率が良い。
確か、トイレが付いている部屋が あったはず。
日帝
探索前に行きたくなって、 おそらくここで用を足した。
ソ連
ソ連が部屋に爆走していった。
ドアを開け、閉めずにそのまま 音速で部屋の中に消える。
隣から少しの風を感じた。
日帝
……そんなに我慢してたのか。
早く言ってくれ……。
……いや。
言えないほど頼りない先輩なのか…… 俺は……!!
頑張らないと!
1人でぐっと両手を握った。
ソ連が出てきたあと、俺も用を済ませた。
また並んで廊下を歩く。
日帝
ソ連
ソ連がゆっくりと俺に向いた。
瞼が少し下がっている。
ちょっと眠そうだ。
日帝
しっかり目を合わせた。
日帝
日帝
ソ連が僅かに眉をひそめた。
熱意が伝わっているといいが……。
日帝
ソ連
ソ連が俺を見たまま固まる。
廊下が静まり返る。
何も反応されない。
メモ帳を出す気配も無い。
日帝
反応がいつも以上に無い。
ソ連がようやくメモ帳を取り出し、 ペンを軽く握ってさっと書いた。
急に何 こわ
日帝
……あ……。
確かに……急かもしれない。
16日目 午前10時53分
機械音声
機械音声
日帝
妨害放送。
日帝
日帝
日帝
遠くをぼんやりと視界に入れながら、 言葉を選んでいく。
日帝
ソ連はまたペンを握り……
メモ帳に短く何か書いた。
日帝
ソ連の顔を覗き込む。
それと同時に、 ソ連が目の前にメモ帳を突き出した。
日帝
ほんとにこわい 何
日帝
何故だか胸が痛い。
怖い……?
確かにいきなりかもしれないが、 怖いというのは……?
俺は……怖いのか……?
16日目 午後7時24分
日帝
今日の探索が終了した。
重い脚を床に広げてくつろいでいると、 日帝が俺を見て迫ってきた。
ナチス
すごく顔が強張っている。
日帝
ナチス
日帝が俺の隣に正座する。
それを見た俺も 何となく脚を閉じて日帝を見た。
日帝
日帝
ナチス
なわけあるか。何でそうなる。
でも大真面目に言っている。
日帝は考えすぎる所があるからな……
何かあったんだろう。
ナチス
まずはそう伝える。
日帝
ナチス
軍帽を突いて、向きを斜めにする。
日帝はすぐに軍帽の向きを整えた。
ナチス
日帝が少しだけ背中を丸める。
日帝
日帝
そんな事かよ……
ナチス
ため息が出る。
何で自分に原因があると思うんだか……
ナチス
ソ連が日帝を怖がっているわけない。
怖がっていたとしても、 便所を我慢する理由にはならない。
あいつなら、誰にだって 思った事をすぐ伝えるはずだ。
日帝
ナチス
日帝
ナチス
便所から出てきて「すぐ頼れ」は 俺だって怖い。
日帝
ナチス
ナチス
日帝
日帝が首を傾げる。
ナチス
ナチス
日帝にこの怖さが伝わるだろうか。
お化けとかの怖さしか分からなそうだ。
別に伝わらなくてもいい。
ナチス
日帝
部屋の隅の収納がぱかっと開いて ソ連が出てきた。
いつものソ連の休憩所。
ソ連
目をこすりながら歩いてくる。
少し不機嫌そうな足取り。
日帝と俺の前に立った。
ナチス
ソ連
首を横に振る。
怖くない。
ナチス
日帝
日帝は黙ってソ連を見つめた。
穴があくほどソ連を見つめたあと、 立ち上がってソ連の前に行った。
日帝
ソ連
ソ連は更に目をこすって頷く。
瞼がほとんど下がっている。
すごく眠そうだ。
日帝
日帝はまた座った。
心なしか 口角が上がっている気がする。
そして、日帝が俺を見た。
日帝
ナチス
少しくすぐったい。
口角を上げたが、 ぎこちなかったかもしれない。
頬が温かくなっている。
慣れないな……。
アメリカ
すぐ後ろからアメリカの声。
日帝
日帝
ナチス
日帝!?
アメリカ
変な掛け声と同時に、 アメリカが隣にスライディングしてきた。
アメリカ
アメリカが親指と人差し指で カメラのポーズをとり、 俺の顔に向ける。
ナチス
顔が一気に熱くなった。
赤くなっているのが自分でも分かる。
アメリカと日帝は 変わらずにこにこ笑っている。
ソ連もしれっと見てるし。
こいつら……!!
ナチス
目の前でおかしなポーズをとるアメリカ。
その後ろで笑う日帝。
ただ突っ立っているソ連。
おかしな光景に 笑いが込み上げてきた。
ナチス
気づけば声を上げて笑っていた。
友達と話す時のような、 雰囲気で笑ってしまう感じ。
下らなくて、 何にも例えられない面白さ。
中身のない笑いと言ってもいい。
それでも何故か笑ってしまった。
日帝
いつの間にか 日帝が正座を崩している。
アメリカも笑いながら その場で大の字になった。
笑い合ったのが久しぶりだった。
生徒の対応やら探索やら、 仕事が多かった。
同じクラスのやつらとも ここに来てから話していない。
部屋のメンバーは他学年で、初対面。
ゆっくり話す機会が 無くなってしまっていた。
こうしていられる時間が貴重だ。
この時間をずっと過ごしていたい。
大切にしたいのに。
16日目 午後9時16分
消灯後。
目を瞑った。
すぐに布団の感触が無くなった。
どこかに落ちていく。
重力に従って溺れていく。
……
……
暖かい……。
居心地の良さだけを、 体中で感じる。
何も聞こえない。
誰もいない。
包み込むようなひどい静寂が襲う。
何もしなくていい。
誰かが全てやってくれる。
自分だけの世界。
自分のためだけにある世界。
あお向けで倒れている俺に、 何かが近づいていく。
ゆっくり、静かに。
静寂を保つために。
暖かい風を受けながら、言う。
お前は、何もしなくていい。
子供をあやすように。
優しく、微笑みながら。
心が解けていく。
首を横に振ろうとする。
もう少しで声が出そうなのに。
暖かい風のせいで、動けない。
力が無くなった俺を見て、 何かがふわりと遠ざかった。
もう大丈夫だよ。