僕は最近この町に引っ越して来たばかりだ。
慣れない環境の中、新しい学校へ向かう。
(まったく、引っ越しなんて、こりごりだよ……。)
新しい友達ができても、また、すぐに引っ越しをすることになる。
だから、学校では誰とも話さない。
学校なんて、嫌いだ。
行きたくもない。
それでも、お母さんは「新しい学校では、友達を作るのよ!!」
って言うけど、僕は友達を作る気は一切ない。
お別れが、悲しくなるくらいなら、誰にも誰からも覚えられず、知らない間に引っ越したい。
そんなことを考えているうちに、いつの間にか学校に着いていた。
校門を通り、校舎ヘ入る。
廊下は、シンとしていて、静まり返っていた。
各教室から、先生の声が聞こえてくる。
長い廊下を歩いていると、ちょうど真ん中辺りに階段があった。
その階段を、一段ずつ、ゆっくりと登っていく。
2階につくと、左側職員室、校長室、急騰室、茶室、図書館
右側コスモス学級1、コスモス学級2、コンピューター室1、コンピューター室2、1年生東階段使用と書いていた。
左に曲がり、校長室ヘ向かう。
最初に図書館が見えた。
次に急騰室、茶室、職員室とみえ最後に、校長室が見えた。
校長室のドアをコンコンとノックし
校長室に入る。
秋本晃太
秋本晃太
秋本晃太
秋本晃太
挨拶をし、頭を下げる。
校長も
林田校長
林田校長
と、頭を下げた。
校長としばらく会話を繰り返し、クラスを聞いてそのクラスに向かった。
階段を登って、4階で左に曲がる。
そのまま真っ直ぐ進み、2年7組のクラスを探す。
2年10組
2年9組
2年8組
と、廊下を歩き
2年7組の扉の前で立ち止まる。
すると中から、先生の声がした。
野田先生
野田先生
(これって…、俺が入っていくタイミング?)
ガラッ
背筋をのばし、緊張感の中教卓の前まで歩く。
先生が黒板に名前を書き
野田先生
秋本晃太
秋本晃太
秋本晃太
秋本晃太
これでよし。
そう思っていた。
なのに……。
坂上竜也
坂上竜也
秋本晃太
秋本晃太
今まで、こんな質問されたことが無かったので、つい、声が出てしまった。
何を答えたらいいのかも、よく分からないまま
口を開けた。
秋本晃太
秋本晃太
秋本晃太
秋本晃太
前の学校で、バスケ部に入っていたので、そう答えた。
そうしたら
坂上竜也
坂上竜也
坂上竜也
坂上竜也
坂上竜也
初対面の人にいきなり呼び捨てにされ、少し驚いた。
こんなこと、初めてだ。
僕に声をかけてくるやつなんて、今まで一人もいなかったから。
意外なこと過ぎて、今日の事はほとんど覚えていられなかった。
意識が戻ったのは、家についてからだった。
秋本晃太
秋本江美
秋本江美
えみは、僕の姉だ。
茶髪のセミロングの髪に、長いまつげ、いつも髪は巻いていて、出掛ける用事もないのにおしゃれをしている。
ずっと前の学校では、男子からとてもモテたらしい。
でも、姉は今では不登校だ。
原因は、クラスの女子による集団いじめらしい。
男子からとてもモテた姉を恨んだ一人の生徒が、いじめをしようと名乗り出て、はじまったと聞かされている。
姉は、本当なら高校生だ。
でも、いじめの事が今でもトラウマらしく、学校へ行くことを嫌がる。
まぁ、その気持ち、分からなくもない。
僕も、保育園の頃、いじめを受けていたから。
今はもううすっらとしか記憶にないが、覚えてはいる。
当時僕は、今よりもっと引っ込み思案で、人と話すだけで、拒絶反応が出たしまう年頃だった。
話しかけられても、すぐに返事ができないため、無視した、などと言いがかりをつけられ、いじめられた。
僕が今、普通に学校に行けるのは、記憶が少ないからだ。
でも姉は、はっきり、そしてしっかりと記憶に刻まれている。
行きたくないと言うより、恐怖感のほうが強いと思う。
2度といじめられたくないと思うのは、普通のことだ。
僕がもし、姉と同じ立場にいたら、同じように間違いなく不登校になっていたかもしれない。
数ヵ月後
僕は下を向いたまま、トボトボ歩いていた。
すると、突然後ろから
坂上竜也
坂上竜也
坂上竜也
坂上竜也
茶髪の短髪の髪に、くしゃくしゃの制服。
見るからに、ヤンキーって感じの男の子。
(だらしなさそうとか、やる気無さそう、なんて思われているんだろうなあ。)
そう思いながら、彼を見る。
すると、彼もこちらを向いてきて、にっこり笑った。
歯には、銀歯があって、日に照らされて、キラリと光った。
暑い、暑い日差しの中、学校への道を二人無言で歩く。
乾いたコンクリート、水色っぽい空。
(夏だなあ。)
そんな、のんきなことを考えながら歩く。
こんな気持ちになったのって、初めてだ。
今までは、登校中に「あぁ、夏が来たなあ。」なんて、思ったこともなかった。
この、坂上竜也って人、少し気になるなあ。
(これからも、ずっと一緒に居たいな。)
初めて、そう思った。
この夏、1つの友情がうまれる。
少しだけ、そんな気がした、登校時だった。
学校に到着し、4階で左に曲がり、7組の教室に入る。
何も言わなくても大丈夫。
前の学校でも、何も言わなくたって、誰も何も文句を言ってはこなかった。
平気な顔で、自分の席へと向かう。
なのに……。
城波結香
城波結香
城波結香
秋本晃太
城波結香
こう言うしつこい奴は苦手だ。
肩ぐらいまで切った少し明るめの茶色の髪。
ぱっちりとした目、前髪が少し目にかかるくらいある女の子。
確か、名前は……。
「城波結香(しろなみゆか)だっけ?」
クラスではおとなしいほうで、あまり目立たない存在だ。
それでもクラスの子と、仲良くしているのだから凄い方だ。
でも、僕からしてみるとあまり馴染めているようには思えなかった。
無理して友達に合わせる必要なんてないのになあ。
僕なら絶対関わらないのに。
城波結香
これでいいんだ。
中途半端な気持ちで友達を作っても、嬉しくないだけだ。
この人にも。
関わる必要のない人には、関わらない。
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