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ななもりside

ソ連兵

降りろ

ななもり

ここって…

さとみ

…収容所か

莉犬

そんな…

ジェル

俺たち…ホンマに帰れないんや…

ころん

そ、そんなのいやだよ!いつか絶対みんなで帰れるよ!

るぅと

そう…ですよね

ななもり

うん…何も信じないよりマシだね

ななもり

それに、俺たちはここまで生き残っまたんだよ?

ななもり

今回も6人で力を合わせれば大丈夫だよ!

莉犬

なーくん…

さとみ

…だな、せめて希望は持って生きよう

ジェル

せやな!

俺たちは毎日木の伐採や鉄道の整備などをやらせれた

だが、ここはシベリア

マイナス40℃の気温の中、すきま風が吹き込む粗末な小屋の中で折り重なるように寝た

るぅと

寒い…寒いよ…

ななもり

るぅちゃん頑張って…

ころん

もっとみんなでくっつこうよ

さとみ

そうだな…寒すぎる

暖房は薪ストーブが1つだけ

俺たちの体力は凍てついた空気にどんどん吸収されていった

今日も木の伐採作業

ソ連兵

早く運べ!

ジェル

ハァ…ハァ…

ジェル

うっ…ヨロッ

ソ連兵

何をしているんだ!

ソ連兵

バチン!

ジェル

う"あぁっ!

さとみ

ジェル!

ジェル

っ…ポロポロ

ジェル

大丈夫…

ジェル

ほら、早くしないとさと兄も叩かれちゃう…

さとみ

っ…そう、だな

作業が遅いとムチで叩かれた

年下のころちゃんやジェルくん、るぅとくんは体力の消耗が早く、よくムチで叩かれていた

まだ体も成長しきっていないから仕方がない

ななもり

(せめて俺が力にならないと…!)

ななもり

ジェルくん!

ななもり

ほら、俺が少し持つよ。
バレないようにね

ジェル

なな兄…ありがとう!

莉犬

疲れたあ…

るぅと

そうですね…

ジェル

お腹すいた〜

俺たちのご飯は殻付きの雑穀米

精米機がないため、ガサガサの米を食べるしかなかった

酷い時にはその辺の草だって、虫だって食べた

そうしないと、生きていけないから

そんな生活を続けていくうちに、みんな段々と栄養失調になっていった

毎日抑留者たちの健康状態を管理する女性におしりをねじられて、それで引っ張った部分が元の形に戻ったらどれだけ痩せ細っていても働かされた。

莉犬

さとみくんどうだった?

さとみ

俺は今日も仕事だわ…

莉犬

俺もだよ…

さとみ

ころんは?

ころん

僕、戻らなかった…

莉犬

えっ…

ころん

だから、今日は休むね!
明日頑張るよ

さとみ

そうか…ゆっくり休めよ

ころん

ありがと!

ころん

行ってらっしゃい

ななもり

疲れた〜

るぅと

今日はやることが多くて大変でしたね

ころん

みんなおかえり〜!

莉犬

ころちゃん!ただいま

ジェル

体調は大丈夫なん?

ころん

うん!全然平気だよ〜

さとみ

そっか、よかった

今日もいつもどおりみんなでベッドの上で並んで今日の成果などを話していた

ころん

さとみくん、今日はどうだった?

さとみ

ん〜木の伐採はいい感じだけど鉄道の方がな…

さとみ

多分明日は俺ところんは鉄道のほうだと思うぜ

ころん

まじかぁ…あれもめんどくさいんだよな…

さとみ

わかる…

ころん

仕方ない…頑張ろうね!

さとみ

おう

ころん

……

さとみ

……

さとみ

なあ、ころん

さとみ

ここから出られたらさ…

ころん

……

さとみ

ころん?

さとみ

おーい

ころん

……

さとみ

お、おい

さとみ

ころん!

さとみ

っ…………!?

ななもり

さとみくん!?どうしたの?

さとみ

ころんが…

さとみ

死んでる

ななもり

えっ…

ジェル

は?

莉犬

ころ…ちゃん…?

るぅと

ころ兄…?

いつもどおりベッドの上で胡座(あぐら)をかいたまま、ころちゃんは息絶えていた

たった

たったのさっきまで生きていたのに

さとみ

嘘だよな…

さとみ

おい!ころん!

もう固く目をつぶったまま、ピクリとも動かない

こうした事例は周りの兵士たちにも起こっていた

理由は疲労と栄養失調だった

莉犬

そんな…ころちゃん…ポロポロ

ジェル

逝かないでやぁッ…

るぅと

ころ兄!ころ兄…!目を開けてよ…ポロポロ

ななもり

っ………

助けられなかった

俺、長男なのに

さとみ

ころん…ころん…ポロポロ

さとみ

うぁぁぁっ…ポロポロ

ななもり

さとみくん…

ころちゃんと1番仲が良かったさとみくんはどれほど無念だろう

さとみ

俺が…

さとみ

俺がもっと気遣っていれば…!

ななもり

っ…

ななもり

さとみくん…ごめんね…

さとみ

なな兄は悪くないって…

さとみ

ころん…ごめんなぁ…

その夜、さとみくんはころちゃんの亡骸を抱きしめながら寝ていた

もう二度とおはようと言うことのない彼を

しっかりと包み込んでいた

ジェル

んん…

るぅと

おはようございます…

莉犬

おはよ…

ななもり

ななもり

みんな

莉犬

ななもり

さとみくんが死んでる

るぅと

……!

ジェル

そんな…

莉犬

うそ…

ななもり

生きる気力を失ったんだろうね…

ななもり

ころちゃんと1番仲良かったもん

莉犬

そんな…ポロポロ

ジェル

さと兄…さと兄…!ポロポロ

るぅと

なんで…こんなことに…ポロポロ

ななもり

っ…ポロポロ

みんなで生きて家に帰りたかった

ごめんね、ころちゃん、さとみくん

2人のぶんまで生きてみせるよ…

穴を掘って2人の亡骸を入れた

ただでさえこの寒さの中、衣服も足りていないため服は脱がせないといけなかった

死者に失礼なことは知ってる

せめて、2人は暖かくしたまま見送りたかった

でも、俺たちだけそうする訳にはいかない

みんな生きるのに必死だから

幸い兄弟だからという理由で服は取られなかった

他の人が亡くなったときは服はみんな奪い合いだった

理性なんてない

「明日死ぬかもしれない」

そう考えると、まともになんて居られなかった

莉犬

……

重く、冷たい空気

目を離した隙に誰か死んでるんじゃないか

そう思ってはみんな顔をあげ、また俯いての繰り返しだ

ジェル

(俺も死ぬんかな…)

るぅと

(お兄ちゃんみたいに…あっけなく…)

莉犬

(でも、そのほうが苦しくないよね)

莉犬

(いっそのこと)

るぅと

(このまま)

ジェル

(死ねたら)

楽なのかな

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