テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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銃口の先のエンディング

第116話 - 仲間、人、ならざる者

380

2025年01月09日

#一次創作

#ファンタジー

#冒険

#殺し屋

#人間関係

#日常

四阿朧

シャーウ

あはははははっ…。

シャーウ

あ゙───…最高だ

シャーウ

僕はこれで、お前の人生の汚点になれる！

シャーウ

君が僕をどうしようと思ってたのか知らないが────

シャーウ

君はずっと人を殺した過去を抱えて生きていく！

シャーウの声は段々と掠れていく

血に塗れたシャーウはその手をテヘルの頬に押し当てる

シャーウ

最期にその顔が見れて…本当に、ほんと────に…幸せだ…！

アイザックはその言葉に顔を歪め、テヘルに駆け寄った

アイザック

テヘル！

振り返ったテヘルのその顔は

テヘル

…

テヘル

行くぞアイク。止まってる暇ない

テヘル

ミュールたちん…とこ。

既にいつも通りのその顔で

アイザック

（…っ）

アイザック

（分かってるんだ。今じゃないって…今するべきことは他にあるって）

アイザック

（クソ、なんで間に合わなかったんだ！いやでもコイツがまさか死のうとするなんて──！）

アイザックはひどく、この殺しを止められなかったことを悔やんだ

アイザック

…っ、テ、ヘル

アイザック

だいじょぶ…だから。一緒に行こう。

アイザックはテヘルの頬を軽く拭う

アイザック

（…っ俺には今、こうすることしかできない）

それから、同じく血に濡れたテヘルの手をぎゅっと掴む

アイザック

（大丈夫）

アイザック

（俺がぜったい、お前を独りにしないから）

アイザック

（テヘルの気持ちの半分は、ぜったい…俺が抱えるから。）

ミュール

………

ミュール

…っ

ミュールは震えた手で、銃を投げ捨てた

アメリア

…なぜ、そうした？

ミュール

なん、…っ

アメリア

理由がわからないか？

アメリア

それがお前の、心だろ

アメリア

まあ私はこんな捨て身の戦い方する気はなかったが…

アメリア

テヘルに影響されたかな

アメリアはただ、談笑するように話し続けている

ミュール

（…どうして）

ミュール

（私の体は主様のために動くはずで）

ミュール

（私の心は、主様のもの、なのに、なのに…）

ミュールの頭に浮かぶのは、仲間だったアメリアたちの記憶ばかり。

みんなで食べたり呑んだり遊んだり。

そんな時間はミュールにとっても───…。

テヘル

ミュール

！

ぽんと肩を叩かれて振り返る

ミュール

血…？

ミュール

（彼がこんなふうになるのは珍しい…）

テヘル

終わった

テヘル

シャーウは…お前の主は死んだよ。

テヘル

お前が選ぶんだ、もう一度…どうしたいのかを。

ミュール

！

ミュール

ああ、そう、だった…

ミュール

（…あなたたちは、私にずっと…ずっと、自由と暖かさを、くれる）

ミュール

（不良品だと罵られてばかりだった私の想いを──受け入れてくれる）

ぼろ。ミュールは、それが自身から溢れた涙だと気づくまで数秒を要した。

そしてミュールは、気づいてしまう

自分に湧き上がっていく、"感情"というものに。

ミュール

（主様が亡くなったと聞いて…気づいてしまった）

ミュール

（私は、その時を待っていた。）

ミュール

（私がアメリア様たちにとって敵になってしまってでも…欲しかったのは）

ミュール

（この人の、死。）

ミュール

（私は最低だ。この人たちを裏切って誘き出して、あわよくば自由にしてもらおうなんて）

ミュール

────アメリア様

ミュール

図々しいのを承知で…私のことを殺してください。

ミュール

（だから、せめてものけじめを───。）

ミュールは頭を下げ、アメリアに向かう

アメリア

…

アメリア

…え、やだよ。

ミュール

…っそれは分かっていますが──！

アメリア

いや、だから

アメリア

私はお前を殺さないし

アメリア

まだ仲間だと思ってるよ

ミュール

…っ！

ミュール

なぜ、そんな…優しくしてくれるのですか！？

ミュール

私はあなたたちを殺そうとしたのですよ！！

アメリア

…でも、私を撃たなかった。

アメリア

それだけで…十分だよ

アメリア

なぁ？

テヘル

…あぁ。

アイザック

なんでもいいよぉ

メラ

当然！アメリア様がいいって言ってるんだし！

ミュール

でも私は人間じゃない！主様の作った…"人造人間"なのですよ！？

メラ

えっと…それは、よくわかんないんだけど

メラ

ミュールは、メラたちのことが1番なんでしょっ？だったらいいよ、それで！

ミュール

…っうう

ミュールはしゃがみ込み、顔を覆った

ミュール

（主様は私のことを、不良品だと言った。）

ミュール

（私も──人のように、何か欠けている存在じゃダメなんだと思ってしまった）

ミュール

（でもそうではなくて、私の大切な仲間は）

ミュール

（理論じゃない、感情でしか得られない大切なものを知っている）

ミュール

（私も、それを享受していいのなら───）

ミュール

………ッ、あ、の…

ミュール

本当に…ごめんなさい……さっきよりももっと…虫のいいことを、言います

ミュール

…私、ミュール

ミュール

アメリア様にもう一度…忠誠を、誓います。誓わせてください…っ

ミュール

信頼を取り戻すため尽力いたしますので────！

ミュール

（…本音を言うと、主様のつけたミュールと言う名は好きじゃなかった）

ミュール

（だけどこの名は…仲間がたくさん呼んでくれた、大切なものだ）

ミュール

（だから今は…堂々とその名を、皆に───！）

アメリア

好きにしろ

アメリア

ミュール。お前はずっと、私たちの仲間だよ。

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最期までテヘルくんの絶望する顔を望んだシャーウくん……本当にテヘルくんのことが嫌いだったんだ、って伝わってくる…… そして主様がいなくなったミュールさんはこれからどうなるんだろう、って心配してたけど、もう一度…いや、今度こそ仲間としてアメリアさんに忠誠を誓って共に進むことを選んで良かった、って思った😌💭 ミュールさんにも感情はある。そして仲間は再びミュールさんを迎え入れた。最高すぎて

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