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君を見ていたから解る 。
只管に見つめていたから 、
茉 陽
晴 哉
晴 哉
茉 陽
笑い乍注意してみる 。
息切れをしていた晴哉くんは 笑いで其れを隠す 。
君は隠す時も 、 嘘を吐く時も
手は首に回っている 。
そして今も無意識に 手は首に回される
君は何を魅せないの 。
欲望が溢れ出て 、 頭が回らなくなる
全て知りたいんだけどな 、
夕日が私を照らす放課後
息苦しい監獄のような 教室から出て 、
軽い足取りで廊下を歩いた 。
無意識に晴哉くんの 教室を見つめてしまう 。
もし晴哉くんが居たら 独りの帰り道を誘おうか
なんて妄想を繰り広げ乍 君の席に目をやる 。
其処には椅子の上で 蹲る晴哉くんが居た 。
其時 、頭は機能を停止していて
身体が君へと近付いてゆく 。
茉 陽
晴 哉
其の晴哉くんは 少しの熱と苦しさを交えていた 。
私も苦しくなりそうだ 。
茉 陽
晴哉くん分のバッグを 空いている肩に掛け 、
呻く君の手を掴み 、 歩幅は君に合わせる 。
共に帰る口実が 出来たけれど 、
君が苦しかったら 嬉しさも何も無い 。
只管に辛くて 、苦しい 。
家迄ずっと付きっきりで歩いた 。
其れ也に遠くて晴哉くんの 体調の心配は深まるばかり 。
別れを惜しむ暇も無く 掴む手は離れた 。
茉 陽
なんて頼り無い言葉なんだろう 。
でも私には 其れしか出来ないの 。
君の影が伸びる 。
私は背を向けて 、歩き出す 。
其れ以来 、君が 学校に来ることは無かった 。
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