※ 百 合 自衛お願いします
何時も通りの筈だった
今日も昨日と変わらないあの子を 見るつもりだった
其れなのに
どうして
あの子の机には花が置いてあった
純白の穢れひとつ無い
キ ク ノ ハ ナ
肌伝うものを感じながら携帯を取り出した
聞き慣れた機械音も 今日だけは少し控えめに感じる
唇は弧を描かない
心が空洞になってしまったような
そんな感覚
貴女の後ろ姿がよく見える筈の 自分の席へと向かった
教師の足音が聴こえてはうんざりした
あの子の凛々しい顔はもう無い
白い花弁だけが私の瞳を奪っていた
教 師
静かにしろー
其の口から零れる言葉を聞かない様に 脳がサイレンを鳴らす
其のサイレンを断ち切って鼓膜に 神経を集中させてしまう
教 師
察してる人も居ると思うが
教 師
鈴喜が亡くなった
脳で理解するより先に口の中に 鉄の味が広がった
其れ以降の話は何も頭に入ってこなかった
教師の唇が開いたり閉じたり 魚の口にすら見えた
聴こえない
聴きたくない
何も、知りたくなかった
後ろで泣き出す一軍の女
何処からか聴こえてくる 救急車両のサイレン音
貴女が居ない教室は酷く居心地が悪い
此の何も無い教室にでも 帰って来てしまえば良いのに