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中村美和の母

えっ

中村美和の母

美和ちゃんどうしたの!?

中村美和の母

手足が泥だらけじゃない!?

中村美和

わかんない

中村美和

朝起きたらこうなってた……

中村美和の母

夜中に家を出たの?

中村美和

何も覚えていないの……

中村美和の母

うーん

中村美和の母

とりあえず今日は学校をお休みして

中村美和の母

病院に行きましょ

中村美和

分った……

医者

うーん

中村美和の母

先生 どうでしょう?

医者

まあ 夢遊病でしょうね

中村美和の母

どうしてまた……

医者

何か、強いストレスを感じたとか

中村美和の母

どうなの?

中村美和

…………

医者

とりあえず

医者

精神を安定させるお薬を出しときますので

医者

それを飲んでしばらく安静にしていてください

医者

それで様子を見てみましょう

中村美和の母

分りました

中村美和の母

ありがとうございます

医者

お大事に

しかし

その後も

朝になると中村美和の手足は土で汚れていた

中村美和の母

困ったわ

中村美和の母

あなた なんとかならない?

中村美和の父

そう言われてもな

中村美和の父

次が休みの日ならともかく

中村美和の父

一晩中見張っているわけにもいかないしな……

中村美和の母

気をつけてはいるのだけど

中村美和の母

いつの間にかいなくなっちゃうのよね……

中村美和の父

そうだ

中村美和の父

次の休みに ちょっと工作して

中村美和の父

美和の部屋を外から鍵をかけられるようにしてみよう

中村美和の母

まあ

中村美和の母

いいのかしら? そんなことして……

中村美和の父

夜の間だけさ

中村美和の父

勝手に出回ると いろいろ危ないだろ?

中村美和の父

せめてそれだけは避けたいんだ

中村美和の母

仕方ないのかしら……

津田未来

あの日から中村美和はずっと学校を休んでいる

津田未来

それがコックリさんの呪いのせいなのか

津田未来

どうしても確かめたい……

津田未来

すいませーん

中村美和の母

はーい

中村美和の母

どちらさま?

津田未来

あ あの 私、美和さんのクラスメートのものなんですけど……

中村美和の母

ああ 美和のお友達?

中村美和の母

ごめんなさいね

中村美和の母

美和はお医者さんから安静にしてろって言われていて

中村美和の母

お友達にも会わせられないの

津田未来

えっ そんなに悪いんですか?

中村美和の母

ああ そういうわけではないの 安心して

中村美和の母

もう少しよくなってから またお見舞いに来てやってくださいね

津田未来

あ はい

津田未来

失礼します

津田未来

……………

津田未来

なんか 隠してる感じ

津田未来

でも これ以上はどうしょうもないな……

その夜

津田未来

なんとなく家を抜け出して中村美和の家の近くまで来てしまった……

津田未来

なにやってんだろ 私

津田未来

もう帰ろうっと……

中村美和

…………

津田未来

あっ

津田未来

あれは中村美和では?

津田未来

中村さん! ちょっと中村さんてば!

中村美和

…………

津田未来

ねぇ中村さん!

中村美和

はっ

中村美和

津田さん?

津田未来

こんなところでどうしたの?

中村美和

分らないの

中村美和

気づいたらここにいて……

津田未来

とりあえず どっかで話を……

津田未来

でも中村さんは寝間着で裸足だし店には入れないな……

津田未来

そうだ!

津田未来

この近くに人が住んでない家があったはず

津田未来

勝手に入るのはよくないけど あそこなら隠れられそう

津田未来

ええっと 貝間さんって家だっけ

津田未来

中村さんこっち

中村美和

あっ うん……

津田未来

よし ここなら……

津田未来

ね 中村さん 何があったのか話して

中村美和

私もよくわからないの

中村美和

気づいたら 夜 勝手に出歩くようになっちゃって……

津田未来

それってもしかして

津田未来

コックリさんに呪われた日から?

中村美和

…………

津田未来

やっぱりそうなのね!

あんたが疑うから……

コックリさんを

いいえ

私の占いを疑ったからだ!

そんなやつは

呪 わ れ て し ま え ば い い

津田未来

きっとコックリさんの呪いだわ!

中村美和

ひぃ

中村美和

ど どうすればいいの?

あんた 信じてなかったんじゃないの?

まあいいわ

私が呪いを完成させてあげる

津田未来

安心して

津田未来

私が呪いを解く手伝いをしてあげる

津田未来

まずはね……

中村美和の父

よし完成だ

中村美和の父

これで夜の間は鍵をかけておくことが出来る

中村美和の父

もう勝手に家の外には出ていけないだろう

中村美和の母

でも

中村美和の母

夢遊病そのものが治ったわけじゃないわね

中村美和の父

そうだな

中村美和の父

だけどそっちは焦らず治療していくしかないな

しかし

奇妙なことに

翌朝も中村美和の手足は土で汚れていた……

中村美和の父

いったいどうなっているんだ!

津田未来

あら

津田未来

窓から出られるようになったのね

津田未来

いい感じで お狐様が降りてきているようね

津田未来

今も四つん這いで歩かせたいけど

津田未来

さすがに目立つから公園に行ってからだね

中村美和

…………

津田未来

さあ お狐様 こっちだよ

津田未来

今日はこの公園にしようね

津田未来

さあ美和 あそこのベンチに行って

津田未来

いつものように 獣としてふるまいなさい!

中村美和

うぅ…………

津田未来

あはははは

津田未来

だいぶ 獣としてふるまうのも板についてきたね

津田未来

次は何をやらせようかしら?

津田未来

ねずみでも食わせる?

津田未来

最終試験では 裸で街を走らせてやろうかしら

津田未来

そしたらもう立派な獣ね!

と、そのとき――

今よ!

カシャ カシャ カシャ カシャ ……

津田未来

な なに?

津田未来

やば

津田未来

逃げなきゃ!

津田未来

はぁ はぁ……

津田未来

美和置いてきちゃった

津田未来

ま いっか

津田未来

私は写真撮られてないよね?

津田未来

たぶん気づかれてないはず

津田未来

でももうあの公園には行けないな

津田未来

どこか他にいい場所は……

津田未来

そうだ

あそこ はどうだろう――?

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