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ぶくしつ!
ブクマ&マイリスト失礼します!!🙇🏻♀️
乙🍛🍛! あああぁ…やっぱ神だったよ、、 最高すぎたんですが⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅ )⁝ やっぱ毎回神作品!!!! 続きタノチミにしてマッスル💪
夜は更けて
病院も
消灯時間を過ぎ
時折電流のように光る
外からの目が痛くなるような光だけが
僕たちの顔を照らす
いっそのこと
真っ暗になればいいのに
雷なんか
もう
止まってしまえ
元々
嫌な予感はしていた
居眠りした授業中に
見た夢
そこに初めて
彼が出てきた
悪いことの予兆なのか
それとも
本当にその時にいたからなのか
わからなかった
でもまさか
こんなことになるなんて
...考えていなかった...?
僕は
...いや
違う
知らなかったわけじゃない
痛いほど
身をもって知っているはずだ
日常は
いとも簡単に壊れること
𝑅.
心配そうに
隣から呼ぶ声がする
𝐶.
ずっと握っている
ベッドの柵
寒さのせいで冷たかったはずなのに
今は生ぬるい
𝑅.
返事は聞こえてこなかった
この無言の瞬間は
あえて
作られているのか
それとも
ただ
かける言葉がなくて絶句しているのか
きっと後ろの彼の顔に 書いてあるんだろうけど
目を合わせたくなかった
それどころか
指の先さえも
動かしたくなかった
このまま時間なんて止まってしまえ
首を締めきれない縄のような
この重苦しい空気も
忘れないように
それでも
無言の空間の痛みに
音を上げたのは僕のほうで
𝐶.
𝐶.
顔をも動かさず
からからに乾いた口だけを動かして
𝑅.
𝑅.
𝐶.
𝐶.
ありえないお願いをする
せめて
僕が与えてしまった痛みを
一部でも
理解するために
𝑅.
彼が
右目の視界の端に移動してきて
左手を振り上げたのが見えた
痛みを覚悟して
ぎゅっと目を瞑る
ぱぁん!
確かに右耳に響いた
高い、皮膚同士がぶつかる音
なのに
右頬に衝撃はない
とうとう
痛覚まで狂ってしまったかと
恐る恐る
目を開ける
そこでは
自分の左手の本気の平手打ちを
自分の右手の甲で受け止めた兄が
こちらに笑いかけていた
𝐶.
つい数分前のように思い出す
僕が傷つけた人にした問いを
懲りずに
目の前の彼に問う
𝑅.
𝑅.
𝑅.
𝑅.
𝐶.
𝐶.
本当に本気で叩いたのか
元が白いせいで
余計に赤みがよく分かる 彼の手を握る
𝑅.
𝑅.
𝐶.
思いがけない言葉に
顔を歪める
だって
釣り合ってない
僕は
言葉と
力で傷つけたのに
音だけ、なんて
僕の前髪をかきあげて
耳にかけながら
彼は
とても寂しそうな目で
微笑んだ
𝑅.
𝐶.
𝑅.
𝑅.
𝑅.
喉がきゅぅっ、と締まる
あぁ、ダメだ
これ以上
優しくされたら
僕は
𝑅.
𝑅.
𝐶.
𝑅.
𝑅.
完全に無自覚だった
驚きを隠せず
固まる僕から目を逸らし
言い聞かせるように言った
𝑅.
𝑅.
𝑅.
𝑅.
𝑅.
𝑅.
𝑅.
違う
明らかに僕は
怒りという曖昧な理由で
笑ってた理由も知らずに
どんな気持ちで ひとりで待っていたのかも知らずに
彼を傷つけたんだ
間違ってないなんて言わないで
𝑅.
𝑅.
𝑅.
𝑅.
平然と
まるで
当たり前のことを言うように
目の前の彼は
簡単に言ってのける
𝑅.
𝑅.
そう言って笑う兄の影は
母さんを映した投影機のようで
その面影が
頭にちらつく
気を抜いたら
堪えているものが
自分から溢れてしまいそうで
視線を
眠っている彼へと戻す
ああダメだ
やっぱりダメだ
僕の中のダムは
すでに壊れていたのかもしれない
ぴかっ、と
一瞬だけ照らされた病室
反射して
小さな海のように光った
僕から落ちた透明なしずくは
一滴や二滴じゃ済まなくて
寝ている兄を
起こしてしまいそうなほどの
後悔の
しょっぱい
水滴
隣にいた彼は
なにも言わずに
抱き寄せてくれた
こんなことを
したかったんじゃなかった
ただ
彼の仮面が剥がれなくて
僕は
少しだけでも
その仮面を
こんな時だけは
外してほしかったんだ
なんて
身勝手な理由
彼が
仮面を着けてしまった理由も
外さなかった理由も
外せなかった理由も
なにひとつ
知らない
知ろうともしなかったくせに
これじゃ
あの時と
お母さんを傷つけた時と
なんにも変わってない
こんな子供のわがままみたいな理由で
逃げ場がないお兄ちゃんを
追い詰めてしまった
傷つけてしまった
もう最低だ
許されるべきじゃない
真っ暗な視界の
濡らしてしまった兄の胸の中で
問うように呟く
誰に問うているのかすら分からず
𝐶.
𝐶.
自分が怪物みたいで
醜い醜い気持ちだけの塊みたいで
もうこのどうしようもない
自己嫌悪を
どこに捨てればいいのか
僕は知らない
そして
彼もまた呟いた
誰の問いに答えているのかも わからないような口調で
𝑅.
𝑅.
𝑅.
僕は
ちゃんと自分が望んだなら
変われるのかな
曇った空から降る
黒い雨と
光った稲妻は
まだ
夜を騒がしく飾っている
𝑡𝑜 𝑏𝑒 𝑐𝑜𝑛𝑡𝑖𝑛𝑢𝑒𝑑...