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クラスメイト
その言葉を何回聞いただろう。
篠﨑來空は、教室の窓際で小さく笑った。
篠﨑 來空 シノザキ クア
もう癖みたいに返す。
生まれつき身体が弱かった。
少し走るだけで息が切れる。
季節の変わり目には熱を出す。
体調を崩せばすぐ入院。
だから周りはいつも気を遣った。
"來空ちゃんは無理しちゃ駄目"
"保健室行く?"
"重たいもの持たなくていいよ"
でも時々、
息が詰まりそうになる。
まるで"普通"にはなれないって、何度も言われているみたいで。
体育祭の日。
來空は教室からグラウンドを見ていた。
みんな楽しそうに笑っている。
笑って、
転んで、
大声で応援して。
その輪の中に自分はいない。
クラスメイト
友達が声をかける。
篠﨑 來空 シノザキ クア
笑う。
でも、ほんとは少しだけ羨ましかった。
"普通に"参加してみたかった。
その日の放課後。
廊下を歩いている途中、急に視界が揺れた。
息が苦しい。
耳鳴りがひどい。
篠﨑 來空 シノザキ クア
足元がふらつく。
誰かの声が遠くなる。
次の瞬間、
來空の身体は床へ崩れ落ちた。
目を覚ました時には、病院の白い天井が 広がっていた。
消毒液の匂い。
規則正しい機械音。
母
母が安心したように駆け寄る。
母
父も心配そうな顔をしている。
來空は小さく「ごめん」と呟いた。
まただ。
また迷惑をかけた。
また心配させた。
その感覚が、胸に重く沈む。
入院生活は退屈だった。
でも一番苦しかったのは、周りの視線だった。
"可哀想"
"辛いよね"
"大変だね"
そう言われる度、來空はちゃんと笑った。
大丈夫だよって。
でも本当は、"病弱な自分"として見られることが苦しかった。
夜。
眠れなくて廊下に出る。
静かな病院。
窓の外には淡い月。
その時。
朝比奈 悠真 アサヒナ ユウマ
突然声がした。
振り返ると、点滴スタンドを押した少年が 立っていた。
同い年ぐらい。
少し細い身体。
でも目は妙に明るい。
篠﨑 來空 シノザキ クア
來空が答えると、少年は笑った。
朝比奈 悠真 アサヒナ ユウマ
彼は近くの椅子に座る。
朝比奈 悠真 アサヒナ ユウマ
篠﨑 來空 シノザキ クア
朝比奈 悠真 アサヒナ ユウマ
短い会話。
でも、不思議と居心地悪くなかった。
朝比奈 悠真 アサヒナ ユウマ
少年がぽつりと呟く。
朝比奈 悠真 アサヒナ ユウマ
來空は少し目を見開く。
朝比奈 悠真 アサヒナ ユウマ
心臓が跳ねた。
分かってくれる人なんていないと思っていた。
篠﨑 來空 シノザキ クア
來空がゆっくり頷く。
朝比奈 悠真 アサヒナ ユウマ
少年は小さく笑った。
篠﨑 來空 シノザキ クア
その笑顔は、どこか寂しそうだった。
朝比奈 悠真 アサヒナ ユウマ
窓から月明かりが差し込む。
來空は初めて、自分だけじゃないって思えた。
苦しいのは自分だけじゃない。
ちゃんと同じように悩んでいる人がいる。
篠﨑 來空 シノザキ クア
來空が聞くと、少年は少し照れたように笑った。
朝比奈 悠真 アサヒナ ユウマ
篠﨑 來空 シノザキ クア
朝比奈 悠真 アサヒナ ユウマ
それだけなのに胸の奥の重さは、少しだけ軽くなった気がした。
夜の病院は静かだった。
でも、
一人じゃないと思えたその夜だけは、
少しだけ呼吸がしやすかった。
#ご本人様とは一切関係ありません