コツ、コツと、廊下に足音が響く
他より薄暗い廊下
そこを静かに歩く、震えた少女
えむ
えむはもう 逃げ出してしまいたかった
だが、それは許されるはずがない
えむ
少しでも光が欲しかった
“まだ生きていける”
そんな希望が欲しかった
その欲が、えむの足を動かす
えむ
えむ
えむ
_カサッ
えむ
えむが握りしめていた紙が 突然音を立てた
その音が鳴る時、 大抵は良くない事が 起きたということ
えむ
えむは震える手で紙を広げた
____
かくれんぼ 敗者一覧
·日野森雫
·望月穂波
____
えむ
えむ
トンッ、トンッ
えむ
思わず声を漏らしてしまった と同時に、
廊下の奥の方からもう一つ、 足音が聞こえてきた
えむ
えむ
トンッ、トンッ……
えむ
どこか楽しげに聞こえる足音に、
えむは身震いした
……と
ふんふんっふふ〜んっ♪
鼻歌が聞こえてきた
えむ
えむは更に耳を澄ませる
___っふふ〜っ♪
“今回”は最初っから 知ってる人たちに 会えるなんてな~っ♪
えむ
“今回”という単語が、
えむの耳に深く残る
えむ
えむ
えむ
えむ
えむの頭がぐるぐるするのを よそに、
廊下の声は、 独りにしては大きめな 独り言を呟く
_早くクールタイム 終わらないかなぁ〜っ♪
えむ
えむ
えむ
_ふふ〜んふ~んっ♪♪
えむの疑問をよそに、足音は 教室の前で止まることなく 過ぎ去っていく
トンッ、トンッ、トンッ、…
軽い足取りは、 これからどこへ向かうのだろう
えむ
えむは再び、 静かな廊下に顔を出した
_ガラガラ、……
えむ
教室から出たえむは、
たった今自分がいた教室の名前を 読み上げた
えむ
えむ
えむ
えむの背中に 寒気が走る
えむ
真っ紅な景色が、
想像したくもないような 残酷な景色が、
えむの目には 見えた気がしたのだ
そのままえむは座り込んだ
えむ
えむの隣に誰かがいたなら、
えむは無理をしてでも 笑顔で、
“大丈夫だよっ! 絶対、絶対に大丈夫!”
、なんて言っていただろう
えむ
ただ、今はここには 誰もいない
えむ
_だれも
えむ
えむの瞳から 雫が一筋、
頬を撫でるように そっと零れた
えむ
それを皮切りにして、
ぽろぽろと 涙が溢れ出していく
えむ
えむ
えむ
えむ
えむ
えむ
えむ
えむ
えむ
えむ
_笑顔
その単語は、 えむの大切な仲間たちを 思い出す鍵となるには充分すぎた
えむ
走馬灯のように記憶が走る
繋がって
ぶつかって
泣いて
乗り越えて
歌い合って
踊り合って
喜び合って
_笑い合って
えむ
えむ
えむ
えむ
えむ
えむは3人もこの悪巫山戯に 会しているのは知っていた
だから分かっていた
_全員、
同じ末路を辿る事を
えむ
えむ
えむ
えむ
えむ
その答えが 返ってくることはなかった
ただ薄暗い廊下に、 震える声がこだまするだけ
えむ
えむ
えむ
……__
えむの嗚咽と共に 廊下に響いたのは、
えむ
えむ
背後で止まった、
えむ
足音だった
コメント
2件
駄目だ‼えむちゃぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ん( ;;) てか主様のストーリー最高すぎます!!フォロー失礼致します🙇