TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
かくれんぼ

一覧ページ

「かくれんぼ」のメインビジュアル

かくれんぼ

5 - #4 奪われた笑顔

♥

1,134

2022年07月23日

シェアするシェアする
報告する

コツ、コツと、廊下に足音が響く

他より薄暗い廊下

そこを静かに歩く、震えた少女

えむ

………………………………………………ッ

えむはもう 逃げ出してしまいたかった

だが、それは許されるはずがない

えむ

………………

少しでも光が欲しかった

“まだ生きていける”

そんな希望が欲しかった

その欲が、えむの足を動かす

えむ

(もう……みんなが消えちゃうのは、……いやだ)

えむ

(だから、あたしが…)

えむ

(ここから出られる方法を探さなきゃっ)

_カサッ

えむ

っ!?!?

えむが握りしめていた紙が 突然音を立てた

その音が鳴る時、 大抵は良くない事が 起きたということ

えむ

……っ

えむは震える手で紙を広げた

____

かくれんぼ 敗者一覧

·日野森雫

·望月穂波

____

えむ

ッ?!?!

えむ

ほな、みちゃ…

トンッ、トンッ

えむ

っ!?

思わず声を漏らしてしまった と同時に、

廊下の奥の方からもう一つ、 足音が聞こえてきた

えむ

(ッ見つかりたくない……っ)

えむ

(…隠れなきゃ……ッ)

トンッ、トンッ……

えむ

っ…………

どこか楽しげに聞こえる足音に、

えむは身震いした

……と

ふんふんっふふ〜んっ♪

鼻歌が聞こえてきた

えむ

(……この声、誰…?)

えむは更に耳を澄ませる

___っふふ〜っ♪

“今回”は最初っから 知ってる人たちに 会えるなんてな~っ♪

えむ

_………え?

“今回”という単語が、

えむの耳に深く残る

えむ

……“前回”があったってこと……ッ?

えむ

…………………それに、

えむ

…知ってる人たち、って…

えむ

……雫センパイと、穂波ちゃん………?

えむの頭がぐるぐるするのを よそに、

廊下の声は、 独りにしては大きめな 独り言を呟く

_早くクールタイム 終わらないかなぁ〜っ♪

えむ

……………

えむ

…………………くーる、たいむ…?

えむ

…休み時間ってこと……?

_ふふ〜んふ~んっ♪♪

えむの疑問をよそに、足音は 教室の前で止まることなく 過ぎ去っていく

トンッ、トンッ、トンッ、…

軽い足取りは、 これからどこへ向かうのだろう

えむ

…………………………

えむは再び、 静かな廊下に顔を出した

_ガラガラ、……

えむ

……、…………

教室から出たえむは、

たった今自分がいた教室の名前を 読み上げた

えむ

………

えむ

……『実験室』…………、

えむ

…っ……?

えむの背中に 寒気が走る

えむ

………ッ…!!

真っ紅な景色が、

想像したくもないような 残酷な景色が、

えむの目には 見えた気がしたのだ

そのままえむは座り込んだ

えむ

……い…やぁ……っ

えむの隣に誰かがいたなら、

えむは無理をしてでも 笑顔で、

“大丈夫だよっ! 絶対、絶対に大丈夫!”

、なんて言っていただろう

えむ

…だい、…じょうぶ……

ただ、今はここには 誰もいない

えむ

だい…じょ…………、…っ

_だれも

えむ

………ぅぅ…ッ

えむの瞳から 雫が一筋、

頬を撫でるように そっと零れた

えむ

っ…

それを皮切りにして、

ぽろぽろと 涙が溢れ出していく

えむ

……っ、ぅぅう…っ、…ぅぁ、

えむ

っぅぁぁあ……!、…ぅぅ…ッ

えむ

ぅ、…グスッ、……ぅう…っ、

えむ

…ッあたしが……ック、泣いてちゃ、ダメなのに………っ

えむ

ッあたしの…涙……ッ

えむ

止まってよぉ……!

えむ

とまって……、っ

えむ

…グスッ…おねがい…、

えむ

あたしが…、みんなを笑顔に…、…しなくちゃいけないのに…ッ!

えむ

………………ッぁ…

_笑顔

その単語は、 えむの大切な仲間たちを 思い出す鍵となるには充分すぎた

えむ

ぁあ………!ッ

走馬灯のように記憶が走る

繋がって

ぶつかって

泣いて

乗り越えて

歌い合って

踊り合って

喜び合って

_笑い合って

えむ

…ぅぁぁあ……ッ!

えむ

ヒクッ、っみんな……

えむ

………司くん

えむ

寧々、ちゃん……

えむ

………、類くん…

えむは3人もこの悪巫山戯に 会しているのは知っていた

だから分かっていた

_全員、

同じ末路を辿る事を

えむ

………っねぇ、

えむ

…おじいちゃん

えむ

……あたし、どうすればいいのかな

えむ

どうすれば……、

えむ

……みんなを笑顔にできるの…?

その答えが 返ってくることはなかった

ただ薄暗い廊下に、 震える声がこだまするだけ

えむ

…………っもう…

えむ

やだよぉ…ッ

えむ

嫌だよ……っ

……__

えむの嗚咽と共に 廊下に響いたのは、

えむ

……っ、ぅぅ、グスッ、……ッ

えむ

……………ッぅ…、

背後で止まった、

えむ

……っあ

足音だった

この作品はいかがでしたか?

1,134

コメント

2

ユーザー

駄目だ‼えむちゃぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ん( ;;) てか主様のストーリー最高すぎます!!フォロー失礼致します🙇

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚