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所長の計らいで
静(じん)さんは事務所に勤務しながら
臨床心理士の資格を取るための勉強を開始
運良く事務所近くのアパートを借りることができた静さんは
朝一番に出勤し
事務所内を徹底的に清掃し
芹沢さんの指導の元
必要書類の作成などをしながら
業務終了後には私と芹沢さんが交代で事務所に残り
勉強の手伝いをしていた
静さんは高校も中退になってしまっていたため
まずは大学に入学するための資格試験を受けなければならなかった
その試験をクリアしたら
今度は大学受験が待っている
これがうまく行っても最低七年は掛かる長い道のり
それでも静さんは真面目に取り組み
事務所での雑務もしっかりとこなし
日々を過ごしていった
元々、静さんは成績がよく
偏差値の高い高校を狙えるほどの実力もあったのだが
少しでもあすみさんのそばにいたくて
あすみさんの学力に合わせて志望校を決めていた
井川静(じん)
井川静(じん)
井川静(じん)
かすみさんはその志望校に難色を示したが
あれこれ理由をつけてなんとか納得させ
後にあすみさんも通うことになる高校に進学
退学と言う結果になってしまったが
その高い学力で高校卒業の資格を得るための勉強と
奨学金取得のための勉強も進めていった
十八歳で高卒認定試験に合格した静さんは
大学にも見事合格し
そこから七年の歳月を経て
無事に臨床心理士の資格を取ることができた
その間も事務所に通い続けて雑務をこなし
奨学金の返済も続けていた
事務所の規定で一年目は先輩について行動していたが
今年で二年目となる静さんは
一人で事件を担当できるようになり
特に少年事件を担当することが多くなった
自身の経験を生かした静さんの言葉は
罪を犯してしまった少年少女達の心に強く響き
担当の弁護士や検事も目を見張る程
静さんは事件を乗り越え成長を遂げたのだ
沢田マリカ
芹沢大和
沢田マリカ
芹沢大和
沢田マリカ
井川静(じん)
井川静(じん)
沢田マリカ
井川静(じん)
井川静(じん)
梶原智香
沢田マリカ
私はこれからも様々な事件と向き合い続けたい
優真さんやあすみさんや静さんのような人達を
私なりの方法で救いたいからだ
梶原智香
梶原智香
沢田マリカ
高城寛貴心理相談室の皆様
お久しぶりです。 三村優真です。
お元気ですか?
コロナウィルスの影響で、お店の売り上げは減っている状況ですが、我が家は家族八人、明るく楽しく生活しています。
先日、名古屋刑務所にいるあすみの祖父、戸坂信二郎さんにお会いしてきました。
あすみが山梨に移り住んで間もない頃、芹沢さんから頂いたお手紙で戸坂さんのことを知り、直ぐに戸坂さんに手紙を出しました。
生まれる前に父方の祖父は他界していて、あすみには祖父母に優しくされた記憶が全くなく……
母方の祖父が生きていると知って、あすみは直ぐにでも会いに行きたいと願っていました。
何年も手紙を送り続けましたが、戸坂さんからの返事がなく、会ってはもらえないと諦めたいたのですが、その後お返事を頂き、会いに行くことができました。
戸坂さんは人伝に、自分に娘がいることを聞いていたそうですが、孫までいることは知らされていなかったようで、僕からの手紙に困惑してなかなか返事を書くことができなかったそうです。
でも戸坂さんは、僕からの手紙を大切に保管してくれていて、会いに来てくれたことが嬉しいと、涙を流して喜んでくれました。
三村あすみ
三村あすみ
戸坂信二郎
三村華音
戸坂信二郎
三村華音
三村優真
戸坂信二郎
戸坂信二郎
同時に虐待のことを知り悲しそうな顔をしていましたが、華音の姿を見て優しく微笑んでいました。
華音も、曽祖父ちゃんに会うのを楽しみにしていて、自分で書いたお手紙を届けてもらい、終始ご機嫌な様子でした。
後日、戸坂さんからお手紙が届き、仮釈放が決まりそうだと書かれていました。
そうなったら一番にあすみに会いに行くと書かれていて、あすみはとても喜んでいます。
こうして大切な家族と幸せな暮らしをしていけているのも、沢田さんや心理相談室の皆様のおかげです。 心から感謝しています。
本当にありがとうございました。
追伸、あすみのお兄さんが臨床心理士になられたと聞きました。 あんなことがあったけれど、あすみは今でもお兄さんのことを気にかけています。
どうかお体に気を付けて。
お兄さんの幸せを祈っています。
三村優真 あすみ 華音
井川静(じん)
井川静(じん)
芹沢大和
井川静(じん)
沢田マリカ
芹沢大和
梶原智香
高城寛貴(所長)
沢田マリカ
その時
事務所の電話が鳴り響いた
井川静(じん)
芹沢大和
沢田マリカ
私達はこれからも
前に向かって進み続ける
沢田マリカ
一人でも多くの事件関係者を救うために