亜希
遅くなっちゃった
亜希
最近この辺りで不審者が出たとか聞いたなぁ
亜希
こわっ。早く帰ろ
唯
サエコ!
亜希
?
唯
サエコってば!!
亜希
え?
唯
サエコ無視しないでよー。唯、悲しいー
亜希
え、私?
唯
久しぶりだねー。元気ー?前に会ったのいつだっけ?ミエちゃんたちと遊んだ時だから、もう3ヶ月になるかなぁ?
亜希
いや、私…
唯
今仕事帰りー?駅ここだっけ?偶然だねー。あたしここ最寄り駅じゃないんだけど、たまたま用事があってねー
亜希
いえ。あの、人違いかと…
唯
?
唯
やーだー
何言ってんの?
何言ってんの?
唯
サエコ
亜希
いや、私サエコさんじゃないです
亜希
唯
どうしたの?様子が変だよ。体調悪い?疲れてる?大丈夫?疲れてる時はやっぱり睡眠大事よー。ご飯はちゃんと食べれてる?あれ、ちょっと痩せた?
亜希
いえ、そうじゃなくて…
唯
あ、もしかして、前のことまだ怒ってる?ごめんねー。ミエちゃんも悪気があったわけじゃないと思うの。でも、あの時サエコ許してくれてると思っちゃってた。
唯
ほんと、ごめんね。許して
亜希
いや
唯
ごめんってー。今度から気をつけるね。ミエちゃんにもそれとなく伝えとくね。あ、ミエちゃん最近会った?髪の色、結構明るくしててね、可愛かったよー。あたしもそろそろカラーしたいなぁ。ちょっと毛先も傷んで来たから、思い切って短くしようかなぁ。どう思う?
亜希
(いやいや、話聞いてー。あたし、サエコさんじゃない )
唯
ねえ、一緒に帰ろー。
そういや、ルイたちの話聞いた?また彼とケンカしちゃったって、夜中の3時に電話来てさー、もう勘弁してよって感じー
いっつも夜中なんだよね。こっちは寝てるっつーの。
そういや、ルイたちの話聞いた?また彼とケンカしちゃったって、夜中の3時に電話来てさー、もう勘弁してよって感じー
いっつも夜中なんだよね。こっちは寝てるっつーの。
亜希
あのっ
唯
でさー、それから3時間よ!もう、あたし、仕事だから寝なきゃいけないからーって、何回言っても、うんうんごめんね、それでさって、話が延々と続いちゃってー、まじ勘弁
亜希
(なのなの、この人。)
亜希
いえ、わたし、サエ
唯
あ、そういや、前に行きたいって言ってたあのお店、今度行こうよ。いつがいい?あたしは来週の土曜日か、再来週の金曜日が都合いいかな。あ、他にも誰か誘う?
亜希
(聞いてくれない。話す隙がない…)
亜希
あの
亜希
(もしかして、この人)
亜希
(最近ここら辺にいるっていう不審者…?)
唯
あのお店もいいけど、前に雑誌で見た素敵なお店があってねー。そこにも行ってみたいんだよね。
あ、そういえば、あたし最近ジム行き始めてさ。仕事終わってから疲れてるんだけど、汗流すとすっきりして気持ちいいの。次の日の仕事頑張れるー。
あ、そういえば、あたし最近ジム行き始めてさ。仕事終わってから疲れてるんだけど、汗流すとすっきりして気持ちいいの。次の日の仕事頑張れるー。
亜希
(だとしたら、変に刺激しないほうがいいかな)
亜希
(適当に話合わせてやりすごそう)
唯
それでさー、そのジムって24時間営業なんだけど、前に夜中に行ってみたんだよね。誰もいないだろうと思ってたら、結構お客さんいてね。キャバ系のオネエさんとか、IT系の社員さんとか…
亜希
(それにしても、よくしゃべるなぁ)
唯
あー!あたし、財布落としたみたい!やばーい!ちょっと、そこの交番付き合って!
亜希
あ、はい
亜希
(良かった)
亜希
(交番でこっそりおまわりさんに話して助けてもらおう)
唯
おまわりさんっ!!!
唯
助けてください!!!
亜希
ほっ
唯
あの、すみませんでした。
亜希
(ん?さっきまでと、様子が違う)
唯
びっくりされましたよね。急に知らない女性に話しかけられて。
亜希
えっ?
唯
私、サエコなんて友だちいません。さっきの話しの内容、ぜんぶ、でたらめです
亜希
はあ…あの…?
唯
とっさにあなたの友だちのフリをしたんです。
亜希
?
唯
あなたの後ろを男性がつけてるのが見えたんです。
亜希
えっ!
唯
その男性、ナイフを出したり隠したりしながら、あなたの後ろを付いて行ってました。
唯
おまわりさん、その男はあの電柱の影に隠れています。