テラーノベル
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結良
樂
一人暮らしのために買った家。
もう2度と、来ることはないだろう。
樂
思い出のない、空っぽの家。
親との思い出も、
弟との思い出も、
ここには一つもない。
数少ない記憶すらも、 残らず、消えた。
1年前──
樂
急に襲ってきた黒いサングラスの 集団。
「若頭が呼んでるからついてこい」 の一点張り。
樂
結良
若い声のその人は、 土足で上がり込んでくる。
染めた様子のない茶髪と、 黄色の瞳。
他の人よりも明らかに若いその人は、 呑気に煙草を吹かしている。
樂
結良
結良
突然鋭く変わったその瞳に、 その場にいる全員の背筋がのびた。
結良
樂
結良
聞いてきたくせに興味なさそうに答える 若い人は、「それよりさぁ、」と 怒りの声色でサングラスの人達に 話しかけている。
結良
さっきよりも暗く鋭い瞳で サングラスの人達を見ている。
怖い。
さっきまでヘラヘラしたのとは違って、 本当に怖い上司感が滲み出ている。
結良
腹部を強く蹴られて一人気絶する。
それを見て皆青ざめをした顔をして 俯いてしまった。
結良
結良
樂
結良
結良
衝撃的な場面を見せられたせいか、 またあの母親に振り回されていると 分かったせいか、
足の力が抜けて壁際で尻餅をつく。
諦めからか、恐怖からか、 足に力が入らない。
あぁ、私ここで死ぬんだ。
結良
結良
その言葉を聞いた瞬間、 全身に鳥肌が立った。 血の気が引いて体が震える。
樂
樂
最後の力を振り絞って 彼の前で土下座をする。
羅都には迷惑をかけた。
施設で楽しく暮らしているんだ。
結良
だからこれ以上、 あの母親のせいで犠牲に なって欲しくない。
結良
樂
私がそう言うと、 彼は一枚の名刺を差し出した。
天城 結良
事務所の住所のような物も 書かれている。
結良
結良
結良
樂
結良
結良
結良
少し、考える。
こんな甘い話があるはずない。
絶対に裏があるはず。
結良
結良
結良
結良
樂
出された名刺を 片手で受け取る。
樂
そう言うと、 にやりと彼は笑った。
その瞳に、光はない。
結良
そこから全員出ていくまでに、 時間はかからなかった。
結良
樂
触れられたくない。
この人が何かをしたわけ ではない。
でも……それでも、
樂
結良
樂
樂
結良
急にこちらを向いて 笑ったかと思うと、
こちらに少しずつ近寄ってくる。
結良
結良
結良
顎を掴まれ、ばっちりと視線が絡む。
黄色い瞳は、 奥底まで透き通っている。
まるで、太陽を眺めているよう……。
結良
結良
樂
樂
結良
結良
コメント
1件
男の方が執着見せそうな感じがちゅき🌝🫰 1年後がたのちみだ!!!