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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

水曜の朝

如月優子

真優奈!

如月優子

早く起きて!!

いつものように二階に向かって娘に呼び掛ける

如月拓篤

朝から大声出すなよ……

如月優子

だったらあなたが起こしてよ

如月拓篤

は?

如月拓篤

それは優子の仕事だろ?

如月拓篤

専業主婦のくせに直ぐサボろうとするのやめろよな……

如月優子

別にサボってなんか……

如月拓篤

だったら早く真優奈、起こしにいけよ!

最近はいつもこう……

夫は私のやることにいちいち文句をつけてくる

如月拓篤

結婚しよう

如月拓篤

俺が優子を支えるから

夫がプロポーズをしてくれた時

如月拓篤

仕事は辞めて家庭に入って欲しい

そう言われて私は勤めていた会社を辞めた

誠心誠意、夫である拓篤に尽くし

二人で幸せになるため

その時の私に迷いはなかった

今はそう決断をしたことを後悔している

家庭に入って欲しいと言ったのは夫なのに

"お気楽な専業主婦"

そんなレッテルを貼って私のことを下に見てくる

楽をしたい訳ではないし楽をしているつもりもない

ただほんの少し手を貸して欲しいだけ

でもそんなささやかな願いさえも

聞き入れてもらえることはなかった

如月真優奈

おはよ~う

如月拓篤

早くしないと遅刻しちゃうぞ~

如月拓篤

まったく!ママがもっと早くに起こしてれば……

如月真優奈

なんで?

如月真優奈

ママだけが悪い訳じゃないよね?

如月拓篤

あ、そろそろ行かないと!

如月拓篤

いってきます!!

如月優子

あ、ちょっと!!

また逃げられた

都合が悪くなると夫は直ぐに逃げる

朝はとにかく忙しい

誰よりも早く起きて顔を洗い

朝食の用意をして夫の着替えを枕元に置いておく

九歳の娘を軽く起こしてキッチンに戻り

出来上がった朝食をテーブルに並べる

あくびをしながら起きてきた夫を洗面所に向かわせ

顔を洗った夫に新品のタオルを手渡す

少し潔癖気味の夫は人が使ったタオルを使うことができず

お風呂も一番でないと入れない

食事も完全に分けなければならず

大皿に盛るような料理を作ると必ず不機嫌になる

如月真優奈

一口ちょうだい!

なんて言葉は通用しない

如月拓篤

お行儀が悪いぞ!

娘の行動をまるで良くないことのように注意し

私の躾がなっていないせいだと文句を言う

如月真優奈

あ、パパいっぱい残してる

如月真優奈

これも食べていい?

如月優子

いいけど……

如月優子

お皿、移すから待って

夫には自分専用の食器があり

もしそれを私や娘が使ってしまったら

その食器は問答無用で捨てられることになる

如月真優奈

このお皿でいいじゃん!

如月真優奈

私やママが使ったら捨てるとか意味わかんない!

私も正直、理解に苦しむことではあるが

これは結婚当初から続いていて

うっかり一度、口を着けた箸で夫のお皿のおかずを取った時

夫は何の躊躇いもなくおかずをゴミ箱に捨てた

如月優子

ちょっと!!

如月優子

せっかく作ったのになんてことするの!?

如月拓篤

そのせっかく作ったおかずを台無しにしたのは優子だろ!?

如月優子

はぁ!?

如月優子

そのまま食べればよかったじゃない!!

如月拓篤

そんな気持ち悪いことできるかよ!!

そう言ってお皿までもゴミ箱へ

如月拓篤

同じ皿、今日中に買っておいて!

如月優子

洗えば済むことでしょ!?

如月拓篤

ごみに捨てた皿を俺に使えって言うの?

如月優子

拓篤が捨てたんじゃない!

如月拓篤

優子が箸をつけたから捨てたんだよ?

如月拓篤

勝手に箸をつけたことに対する謝罪はないわけ?

理不尽な謝罪を要求してくるのだ

でも私は夫から嫌われているわけではない

こんな風に文句を言っていても

如月拓篤

なぁ……

如月優子

んー?

如月拓篤

いいだろ?

如月優子

いいけど……

毎晩のように夫は行為を要求してくる

夫は次男だから跡取りの心配をする必要はない

だから娘の真優奈が生まれた時

夫や義父母から文句を言われることはなかった

それでも男の子が欲しいと思ってるからなのか

月に一度、月経が来る週を除いてほぼ毎日

夫は夜の営みを要求してきていて

私が熱を出して呼吸が苦しい状態であっても

如月拓篤

俺が動けばいいよな?

如月拓篤

優子はじっとしてればいいんだし

強引な夫の行為に吐き気を覚え

行為中に嘔吐してしまった私に

如月拓篤

汚なっ……

夫はそう吐き捨てるだけで腰の動きを止めなかった

普段から強引ではあるけれど

それでも優しく頭を撫でたり頬に触れてくれていたのに

その日は"汚いから"と頭を撫でることも頬に触れることも

キスをすることもなく

夫は延々と腰をふり続けた

徐々に増していく陰部の痛み

如月優子

拓篤……

如月優子

痛い……

如月拓篤

なんで?

如月拓篤

俺は気持ちいいよ?

如月優子

私が痛いの……

如月優子

やめて……

如月拓篤

萎えるから黙って!

如月優子

え……

如月拓篤

もう少しなんだから我慢してよ!

少しずつ薄れていく夫への愛情

それでも婚姻関係を継続しているのは

如月真優奈

ごちそうさまでした!

如月真優奈

いってきまーす!

如月優子

車に気を付けてね!

如月真優奈

はーい!

全て愛する娘のため

あんな人でも真優奈にとってはたった一人の父親

離婚して片親になれば苦労を掛けてしまうと思うから

今も続く夜の誘いを受け続け

既に愛情の薄れた痛みでしかない行為に耐え続けている

如月優子

二人目……そんなに欲しいのかな……

如月優子

私は真優奈がいれば……

専業主婦と言っても家でゴロゴロしているわけではない

真優奈が学校に行ったら本格的な家事のスタート

朝食後の後片付けと洗い物

衣類やシーツを洗濯機に入れて回す

その合間に掃除機をかけて玄関を掃除し

掃除が終わったら洗濯物を干す

一息ついてお昼を食べたらスーパーの広告を隅々までチェック

夕食の買い出しに近所のスーパーへ出掛け

買い物を終えて帰る頃に真優奈が学校から帰宅

干していた洗濯物を取り込み

学校の宿題をする真優奈を手伝いつつ夕食の準備

真優奈は夕食の準備を手伝おうとしてくれるのだが……

如月拓篤

ただいま!

如月優子

おかえり~

如月拓篤

おぃ!

如月優子

何?

如月拓篤

専業主婦のくせにサボろうとするな!

如月優子

え?

如月拓篤

なんで真優奈に手伝わせてるんだよ!?

如月真優奈

私がやりたいって言ったの!

如月拓篤

そう言えってママに言われたんじゃないのか?

如月優子

そんなわけないでしょ!

如月拓篤

ママの仕事を奪っちゃダメだろ?

如月拓篤

家事をするのがママの仕事なんだから!

私のすることをやって当たり前と思っている

だから感謝の言葉は出てこない

少しでも手を抜けば

如月拓篤

専業主婦のくせに……

そう文句をつけてくる……

職場復帰を考えたこともあった

結婚前に勤めていた会社の上司が

いつでも復帰できるようにしておくと言ってくれていて

真優奈が高学年になる頃にと考えたりもしたが

私の復帰を望まない夫が勝手に私の元の職場に連絡を入れ

二度と私に連絡しないようにと釘を刺してしまった

如月拓篤

俺の稼ぎで十分やりくりできるだろ?

如月拓篤

現実を見ろよ

如月拓篤

家事もまともにできてないのに復帰したらどうなる?

如月優子

ちゃんとやってるでしょ!

如月拓篤

洗濯物が山積みになってたけど?

如月優子

夕飯食べ終わったら片付ける予定だったの!

如月拓篤

どうして俺が帰る前にやっておけないんだよ?

如月優子

時間なかったから

如月拓篤

一日中、家にいるんだから時間なんていくらでもあるんじゃないの?

結婚前は優しい人だった

私のことを第一に考えてくれる優しくて素敵な人

なのに今は

自分のことしか考えていないモラハラ夫

優先すべきは自分の快適な生活

そして自分勝手に欲望をぶつける夜の行為

私の気持ちを無視して

例え私が苦痛に顔を歪ませていても

如月拓篤

萎えるからその顔やめろよ……

如月優子

無理……

如月優子

痛い……

如月拓篤

不感症なんじゃない?

如月優子

は……?

如月拓篤

病院で見てもらえよ

如月拓篤

濡れてくれないと困るし

夫の言葉に沸き上がる怒り

如月優子

(思いどおりになんてさせない)

なんとか夫の計画を阻もうと

私は何年も前からあることを続けていた

二十年後のアホ美ちゃん

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