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Bルート

秋斗

な、なんなんだよあいつ!!

秋斗

とにかく、隠れよう!!

 俺は電柱の裏に身を隠した

ここなら とりあえずは安全そうだ

秋斗

ど、どうすればいい。

秋斗

あの女、明らかにヤバい!

秋斗

捕まったりしたら、絶対に助からねぇよ!!

ヒュー、ヒュー

ヒュー、ヒュー

秋斗

くそっ。

俺は手で口を押さえた

音は止まらず ずっと聞こえてきている

俺は耳に全神経を集中した

秋斗

……。

ヒュー、ヒュー

ヒュー、ヒュー

ヒュー、ヒュー

ヒュー、ヒュー

ヒュー、ヒュ……

秋斗

……なんだ?

音が止まった

頭を振っている動きで 階段はガタガタいっている

しかしそのおかげで 女の位置は常にこちら側からわかった

確かに あのボロ家の方向に女はいる

しかし 何故か呼吸を止めている

秋斗

なんで……だ?

秋斗

いや、ちょっと待てよ。

秋斗

何か……

何か

秋斗

……音が他に聞こえる。

遠くで聞こえた

カーンカーン カーンカーン

ほんの僅かに音がする

耳を澄ます

カーンカーン カーンカーン

これは

秋斗

消防車の音?

秋斗

それも、火災の時とかに鳴らすやつ…だよな。

秋斗

でも、これがなんだっていうんだ。

電柱から半身を出す

女の方を見ると

こちらを一切気にせず 消防車の音に反応している

もう、頭も振ってはいない

階段がガタガタ言っているのは 震えていたからだ

これは……

秋斗

今が……チャンスか!?

秋斗

に、逃げるんだ!!

俺は全速力で走った

消防車の音が止まないうちに とにかく走る

街にめがけて!!

秋斗

……はぁ…はぁ。

秋斗

……はぁはぁ!!

……

秋斗

……。

秋斗

…………あれ?

気付けば俺は あの住宅街に逸れる前の道に出ていた

辺りを見回しても 何も変わらない普通の街だ

おばあさんが 家の前をほうきではいている

秋斗

たす、かった?

秋斗

俺は……俺は助かったのか?

遠くで消防車の音がする

カーンカーン カーンカーン

そしてやがて聞こえなくなり どこかへ行ってしまった

秋斗

……あのボロ家は、どこに。

秋斗

……またこの道を行くと、あるのか?

脇道を見る

しかし もう行く勇気はない

秋斗

なん、だったんだ。

おばあさん

僕、そんなとこ突っ立てたら轢かれちまうよ。

秋斗

え?

ほうきを持ったおばあさんが 掃除をやめて話しかけてきた

俺はその言葉を聞いて 自分がどこにいるのかを確認した

すると 道路の真ん中に立っている

危うく 交通事故で死んでしまうところだった

秋斗

あ、すみません。
ありがとうございます…。

おばあさん

どうしたね?
あんた、顔、真っ青よ。

秋斗

そ、それが……。

俺は今起きたことを全て話した

秋斗

……ということがあったんです。

おばあさん

……あんた、それ"オンボロ様"かもなぁ。

秋斗

……オンボロ様?

おばあさん

あそこ、昔火事があったのよな。

秋斗

火事……。

おばあさん

それで、そこに住んでた若い女の子が焼け死んじまったらしいわな。

おばあさん

新聞では、確かぁ……そうそう、火元は1階にいた男の部屋からで、どうやら寝タバコしてたらしいわ。

秋斗

寝タバコ、ですか。

おばあさん

そうそう、それで、その男は気付いてさっさと逃げたらしいんやがな。2階に住んどった女の子に伝えず、その女の子は気付かずに、家が丸々火で包まれた時にようやく気付いて……。

おばあさん

死んじまったんやわな。

秋斗

そんな……ことが。

おばあさん

だからぁ、あん家の前通る時は、いつも冥福を祈ったりするんやわ。でもな、一つ絶対にやったらあかんことがある言われとる。

秋斗

やってはいけないことって。
それは……もしかして。

おばあさん

心当たりあるんかのぉ。

おばあさん

"あの家を罵ってはいけない"
言うことやわ。

おばあさん

ボロいとか、汚いとか言うたんちゃうか。

秋斗

いい、ました。

おばあさん

それはいかんなぁ。オンボロ様の祟りにあったのかも知れん。

秋斗

はぁ……。

おばあさん

そうや。そもそも"オンボロ様"いう言葉自体も忌み語やからね、あんまし、この話題は出さん方がええわなぁ。

秋斗

わ、分かりました。

ちらりとあの道を見る

ヒュー、ヒュー

ヒュー、ヒュー

今にもあの音が聞こえてきそうで

俺は早々に礼をいい 立ち去った

あれからはもう 何も起きていない

あの道も出来るだけ 通らないようにしている

俺はこの経験から 不用意に口を出すこともやめた

オンボロ様……

もしかすると 俺の街だけじゃなくて

街から少し折れると 住宅街がある場所

そんなところに 今も住み着いているのかもしれない

Happy end

【選択肢で結末が変わる】ホラー短編集

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