……って、どこにいんの!!!
広すぎて分かんないんだけど。
結局、楓弥の姿は見つけられないまま楽屋へ戻る。
愁斗には会えたけど、 もう一緒にはいなくて結局楓弥には会えなかった。
楓弥
あ、ふみくん
楓弥
おはようございます
史記
あぁ、おは…ええ!?
楽屋に入ろうとすれば、 ずっと探してた恋人が目の前に。
楓弥は息が途切れ途切れの俺に目もくれずさっさと楽屋に入り、祥の隣に座り話し出す。
ひとつのスマホにふたり寄り添って、何見てんの。
史記
(俺ずっと探してたんだよ?)
史記
はぁ、
ひと息ついて隣に腰掛ければ、いつもと違う匂いがする。
聖哉の匂いとは違う、香水の匂い。
史記
(……愁斗、?)
ぼーっとしてるといつの間にか 今日の衣装に着替えた楓弥がいた。
楓弥
ふみくんも着替えて来た方がいいですよ
史記
着替える。
でも、その前に
でも、その前に
楓弥
あ、昨日のこと?
もう気にしてないです。
もう気にしてないです。
楓弥
次は俺からも連絡します。
そうしましょ、ね?
そうしましょ、ね?
違う。 楓弥にそんな事を言わせたいんじゃない。
俺は、
スタッフ
小川さーん、
着替えおねがいします
着替えおねがいします
スタッフさんに呼ばれ、着替えるように促される。
史記
(もう!思うようにいかない、)
楓弥
あの、ふみくん?
着替えていれば、ドアの向こうで楓弥の声がする。
史記
楓弥、どうした?
楓弥
そのまま聞いてください
楓弥
その、昨日はごめんなさい
楓弥
ふみくんが疲れてるの知ってたのに、勝手に怒って家出てっちゃって
史記
(…いや、違うでしょ)
なんで楓弥が謝んの。 謝らなきゃいけないのは俺の方。
俺はいても立ってもいられず、 ドアを開けて楓弥を引き寄せた。
…楓弥の匂いがいつもと違うくてモヤモヤする。
けど、それ以上に楓弥に謝らせたことが1番モヤモヤする。
史記
俺の方こそごめん
史記
楓弥のご飯、1番好きだよ
史記
これからはもっと早めに連絡する
史記
だから、ちゃんと帰ってきて。
出て行かないで
出て行かないで
楓弥
……うん、わかった