帝の車に乗せられた類は、ある建物の前にやってきた。
白石 類
え、ここは?
白石 類
(会社に連れていかれると思ったのに、会社じゃないんだ)
帝
本社に行く前に、こっちをご案内した方が早いと思いましてね
帝
ここは我が社の独身寮です
白石 類
独身寮……
帝
類さん、あなたの部屋にご案内します
白石 類
えっ、ぼくの部屋!?
帝
今は駅前のビジネスホテルにお泊まりなんでしょう?
帝
ずっとそちらにいらっしゃるおつもりですか?
白石 類
(いや、確かに宿泊代もバカにならないけど……)
白石 類
(会社の寮に入ったら、入社確定じゃ??)
帝
管理人用に使っていた3階の部屋を、類さんのために空けてあります
帝
そこが一番広いですからね
帝
ちなみに私は2つ下の101に住んでいます
帝
何かありましたらそちらへ
白石 類
えっ、待って! 帝さん!?
白石 類
(ぼくの意思は……)
帝
類さん? 上へ行きますよ。早く来てください
白石 類
あの、ひとつ聞いていいですか?
帝
はい?
白石 類
独身の人はみんなここに?
帝
家が遠方の者はほとんどそうですが、全員ではありません
白石 類
えーと、じゃあ、虎牙さん、あの人は……?
帝
ここにはいません
白石 類
(ガッカリ……)
帝
彼のことが気になりますか?
白石 類
……それは、少し……
帝
どういったご関係です?
白石 類
どういう関係って言われても……
白石 類
昨日の夕方、海岸で、たまたま……
帝
ここが類さんに使っていただくお部屋です
白石 類
はあ……
帝
それで、さっきの話
帝
たまたま会って、ホテルに?
白石 類
えーと……。自分でもびっくり
帝
はあ……
帝
だったら一旦忘れてください
白石 類
え、何を?
帝
虎牙部長のことです
白石 類
(虎さん、部長さんなんだ……)
白石 類
でもきっと、会社で顔を合わせますよね?
白石 類
忘れろって言われても、何もなかったことにできるのかな……?
白石 類
(何もなかった顔をされたら、ぼくは悲しい……)
帝
…………
帝
大丈夫ですから。そんな捨てられた子どもみたいな顔をしないでください
白石 類
え……?
帝
私は社長に……、あなたのおじいさまにはとてもお世話になりました
帝
ですからあなたのことは見捨てません
帝
多少淫乱だとしてもね
ギュッ!!
白石 類
いッ、えっ!?
白石 類
(ほっぺたつねらないでー!!)
帝
いいですか? あなたが頼るべきは虎牙部長でなく、私です!
帝
わかりましたね!?
白石 類
ふええええ!?






