看守
ほらっ、さっさと入れ!
勇
くそ!押すんじゃねえよ!
ガチャン!
勇
…………
勇
くせえな…
勇
ここが噂の、ゴミの島か…
勇
増え過ぎた人口への対策だっけか
勇
(陸地にはもうスペースがないってんで)
勇
(海をゴミで埋め立てて)
勇
(そこに囚人の収容施設が建てられた)
勇
テレビで見た時は
勇
まさか自分が入る事になるなんて
勇
思わなかったな…
勇
一緒に捕まったアヤは無事だろうか…
囚人
アヤって、恋人の名前か?
勇
…!なんだ、人がいたのか
囚人
ああ、こんな狭い部屋に同室だなんて
囚人
嫌になるよな
勇
…………
勇
アヤは、俺の妻の名前だ
囚人
ふうん、奥さんか
囚人
その人も監獄にぶち込まれてるのか?
勇
…ああ
囚人
何をやらかしたんだ?
勇
別に…ただ子どもを作っただけだ
囚人
ふうん…
囚人
2人目を作っちゃったとか?
勇
…1人目が流産だったんだよ
囚人
ああ、なるほど
勇
(この国では、人口増加の対策として)
勇
(1夫婦につき妊娠は1回まで、と法律で決められている)
勇
(流産の場合でも1回としてカウントされる)
勇
(つまり流産したらそれ以上)
勇
(子どもを望む事は許されないということだ)
勇
裁判では
勇
104年の懲役だっけか…
勇
情状酌量の余地があるとかなんとか
勇
言ってやがったが…
勇
ここを出る頃には骨じゃねえか
囚人
まあ、ここにいるヤツは皆そんなもんだ
勇
ふざけやがって…
勇
こんなの、死刑と変わらないじゃねーか
勇
(このまま一生アヤに会えないなんて)
勇
(耐えられない)
勇
女の囚人は別の棟に
勇
収容されるんだったよな…
勇
何とか連絡を取る方法を…
勇
いや、それだけじゃ駄目だ
勇
一緒にここを逃げ出す方法を探さねえと…
勇
(施設の周りは海に覆われてて)
勇
(脱獄は不可能──)
勇
(頼れる人間もいない…)
勇
でも、俺がやるしかない
勇
どんな状況だって、打開法はあるはずだ
囚人
あははっ、アツい男だなぁ。あんた
囚人
あんまりそういうの、口に出さない方がいいぜ
勇
…………
勇
(こいつは信用出来るかまだ分からない)
勇
(まずは情報を集めよう)
勇
(俺と同じような事を考える囚人は)
勇
(必ずいるはずだ…)
コッ、コツコツ…
消灯後の監房に響き渡る独特な靴音に
勇はひっそりとベッドを抜け出した
勇
(この施設は、建物自体が陸地から離れ)
勇
(孤立している事もあってか)
勇
(囚人同士の独房や監房は結構自由に行き来ができる)
勇
その囚人を使って甘い汁を吸う
勇
腐った看守も野放しにされてるらしいって話だけど…
勇
(俺にとっては好都合なその看守は)
勇
(妙な歩き方をするのが特徴だっけか)
勇
あいつが、噂に聞いた
勇
脱獄の手引きを手伝うっていう看守か…
勇
まずは気に入られる必要があるって話だけど…
勇
どういう意味だ?
コツコツ、コッコッ
勇
まあ、そんな事どうでもいいか
勇
何としてでも
勇
あいつに気に入られないと──
??
おい
勇
…!
廊下へ出ようとする肩を
後ろから誰かに掴まれる
驚いて振り返ると
そこには、あの同室の男がいた
勇
な、なんだよ…
勇
確か秀(しゅう)…だっけか
勇
俺に何か用か?
秀
あの看守に関わるのは止めた方が良い
秀
死にたいのか?
勇
な…っ
勇
何の話だ。お前には関係ないだろ
勇
離せよ、今それどころじゃないんだ
その手を振り払い
看守を追おうとした瞬間──
男
ぎゃああああああああーーーーー!
勇
…!?