テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
8,279
azunatubaki
1,160
3,526
まぜ太@nrkr
187
退院手続きを終えて、自分の部屋に戻ってきた
so
うっすらと埃の匂い
静まり返った部屋
so
探り探り、部屋の中を見渡してみる
so
生活感はある
でも……あまりにも「色」がない
ポスター一枚貼られていない白い壁
飾りのない棚
自分の好みが分かるようなものが、何一つとして置かれていない
吸い寄せられるように、クローゼットの扉を開ける
so
並んでいたのは、黒、グレー、白
見事なまでにモノトーンの服ばかりだった
デザインもシンプルなものばかりで、自分の個性を主張するような服は一枚もない
so
目立たないように。誰の記憶にも残らないように。自分を押し殺して……
so
こんなにも無色で無機質な部屋で、何を考えて暮らしていたんだろう……
ポケットの中で、あの「指輪」と「紫のペンダント」が重たい存在感を放つ
so
so
so
so
so
「誰か」を愛していた時だけ
so
そう思った瞬間、胸がキュッと締め付けられた
コンコン
so
コメント
1件
ああ、これは……「色」の使い方がとても巧いエピソードだね。モノトーンに統一された部屋と服の描写が、主人公の「誰にも見つからないように生きてきた」人生をそのまま体現しているようで、ぞっとした。そして、その無色の世界にただ一つだけある鮮やかな紫の石――この指輪の存在が、過去の「誰かを愛していた自分」の証なのだとしたら、本当に切ない。最後のノックの音、誰が来たんだろう。続きが気になる。