この作品はいかがでしたか?
22
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幼少期の思い出を語ろうか…
今僕のいる場所は向日葵畑になっている
昔は何も無かったこの場所
時が経ち今では立派な向日葵畑ができた
この向日葵畑が出来るきっかけは僕と君がこっそり植えた1輪の向日葵からだ
また会える時…その時はもう一度この場所で会おうって約束
その時のために目印をつけようって話で
1番わかりやすいのがこの向日葵だった
夏場の時に会おうって君は言った
僕もそれに賛成した
だから向日葵を植えたんだ
そしてそれから長い年月をかけて今
約束を果たしに僕は来た
けれども君の姿はなくあるのは日差しに照らされて輝く向日葵の花々
たった1輪の花がここまで増えていた
あの約束は嘘だったのか?
そうじゃなかったんだ
僕が来るのが遅かったそれだけだった
幼少期僕と君はここで出会った
家族喧嘩で逃げ出した僕と迷子になって泣いていた君
不謹慎かもしれないけど当時の僕は泣いてる君のその顔がとても綺麗で可愛かった
僕は君にその瞬間惚れていたんだ
僕は意を決して君に話しかけて事情を知りできるだけ気を楽にしてあげようと
たくさん変なことをして笑わせたよね
そのおかげで君は笑顔を取り戻した
その後は僕と一緒に僕の家族の元に向かった
それからどこの子かを聞いて君の家族の元に連れて行ってあげた
これが僕と君の初めての出会い
そんなことがあって数日後僕が1人でいつもの場所にむかっているとき
あの場所に君がいた
まるで僕を待っていたかのように
少し小高い丘のような場所に1本だけ生えた大きな木
それを日陰にして芝の上で寝転ぶ君の姿が僕の瞳に映し出された
その姿は1枚の風画のようだった
幼いながらにして絵になる人物だと言うのは直感で感じれたのだろう
木の下に着いて声をかける
すると君は驚いた声を出して
でも直ぐに笑って僕と認知してくれた
隣に座りあれからの話を聞いてみたり
どの辺の子なのかとかも聞いたりした
驚きだったのが都会から田舎に引越してきてゆっくり暮らすという話だ
両親いわくもう引っ越す気は無いとのこと
それを聞いて僕は君とずっと一緒に入れると思ってた
少なくともこの時までは……
それから少し時は経ち僕が小学2年になる頃のこと
両親からとんでもない一言が来た
仕事の都合上引っ越さなければならないと
僕は大いに反対した
住み慣れた家を離れるなんて
できた友達と別れるなんて
大好きなあの子にもう会えなくなるなんて
僕は絶対に嫌だと反対したが
どうやってもこの事実は覆らない
諦めて引っ越すための荷造りをする
そして引っ越す前日の日
君をいつもの場所に呼んでこのことを伝えた
君もとても悲しそうな顔をした
でも僕は必ず帰ってくるって誓った
君も涙ぐみながら約束だよ、と……
それからまた会う時用の目印をつけよう
そんな話になり向日葵の種を植えてこれを目印にしようと
夏場の時に必ず帰ってこようと
いつになるかは分からないけれど
でも絶対帰ってくると僕は誓いをたてた
その日はいつもより遅く遊んで母さんにこっぴどく怒られた
翌日の引っ越す時君は僕の元に来てある物をくれた
手作りの小さなお守りだ
自分を忘れないで欲しいと
僕も忘れないよ、と返事をして車に乗りあの場所から去った
それからまた大きく時は経った
僕も大人になり自立できた
だから自分だけ昔住んでいた付近に帰ってきた
正確に言えばたまたま仕事の都合でここに住むことになったのだが
それもまた運命なのかなと思ったりしてた
君がくれたあのお守りは肌身離さず持っている
学生時代はこれが原因でいじめられたこともあった
大人になってもたまにおちょくられる
デザインが明らかに子供っぽいとバカにされる
しかし大人になりこのお守りのことを話すとみんなおちょくるのをやめて
あの子を大切にしてやりなよ、とか
何かあったら俺らを頼れよ、とか
小馬鹿にするのをやめて応援してくれるサイドに立ってくれた
暖かい人達に囲まれ僕は勇気を貰った
そんな勇気を持って約束通りあの場所に行くが君はいない
それどころかあの場所自体も無い
今は向日葵畑にと変わっていた
何より1番は連絡が着かなかったこと
僕は急な不安に襲われもう一度連絡する
少しの間の後繋がり自己紹介をする
電話の相手はお母さんのようだった
僕の声を聞きすごく嬉しそうにしたと思えば急にシュンとなる
詳しく訳を聞くがここでは話せないと
車を出すから向日葵畑で待っていて欲しい
そう言われて僕はそれに従うしか無かった
十何分か待って車が来た
そして僕を呼びかける声も聞こえた
電話主のあのお母さんだ
車に乗り案内されたのは霊園
そしてあるお墓の前で止まった
墓標には君の名前が刻まれていた
状況が呑み込めずパニックになっていると
お母さんはなだめてくれてゆっくりとある話をしてくれた
簡潔に言えば病によってこの世を旅立ってしまったとの事
そしてその病は僕と初めて会ったあの日から既に侵されていたと
話を聞くうちにこんな田舎に引っ越してきた理由が明らかになっていった
彼女は不治の病に侵されていて余命も少なくそんな中でせめて最期まで
自由に楽しく暮らして欲しいからとここに越してきたらしい
本人は気付いてないかと思われたがどうやらそんなことはなく
僕が初めて会ったあの日実は彼女も家を飛び出てたのだ
彼女自身自分の死を認めたくなかったから
だから家を飛び出してしまったとのこと
しかし僕と出会い彼女は明るくなり
遂には病のことすら忘れてしまうほどだったのだと
そして僕が消えてからも彼女は長く生きた
宣告された日付を超えても彼女は元気にしていたが
やはり病に勝てることはなく数年前に遂にその息を引き取った…
僕のいない10数年の間に君は消えてしまっていた
あの約束を果たすことは出来なかった
けれども君に会いには来れた
線香をあげて手を添えて心の中で君に感謝する
僕と遊んでくれてありがとう
自然と僕の瞳からは頬を伝う雫が流れていた
線香を添え終えてご両親と別れて僕はまたあの向日葵畑に戻ってきた
この向日葵畑の出来た理由は君のためでもあるとの事
あの時植えた1輪の向日葵が村人が発見し本当は怒るつもりだったらしいが
事情を聞きその向日葵を撤去する案は消え村全体でその向日葵を育てようと言う話になり
彼女が亡くなってしまった際には
彼女に送るためにそこに大きな向日葵畑を作ろうと村が纏まって動いたのだ
そのおかげで今では立派な向日葵畑ができあがり結果として村おこしにと繋がった
そして当時のお気に入りだったあの木は
さらに大きくなり子供用のブランコが出来上がっていた
他にもそこから見る夕焼けが綺麗だとSNSでも話題に上がるほどだった
主人公
主人公
主人公
主人公
主人公
主人公
主人公
主人公
主人公
主人公
主人公
主人公
落ちる夕日を見ながら木陰に座りこみそうつぶやく僕
不思議とその時君の笑い声が聞こえた気がした
向日葵みたいに明るくて無邪気なその笑顔が僕の脳裏に映し出されるくらい
気のせいかもしれないけどそれは鮮明に聞こえた…
コメント
1件
向日葵の花言葉は 【憧れ】【あなただけを見つめてる】です 以前にも似たようなの書いたような気がするんですよね