フォス
うぉぉぉ!
フェアラ
はぁぁぁ!
フォス
くっ!?
フォス
(大きく弾かれてしまった!?)
フォス
(胴体がら空きでこのままでは刺される!)
ミツルギ
させない!
フェアラ
ちっ!
ハンスヴルスト
(二人の間に割って入り、その上攻撃を受止め弾く)
ハンスヴルスト
(マジックウェポンの適性である者なのも納得がいくな)
フォス
フォス
頼む!そこをどいてくれ!
フォス
俺はお前を討ちたくない!
フェアラ
私はお前を…お前らを殺す理由がある!
ミツルギ
ダメですフォスさん!
ミツルギ
彼に説得は…!
フォス
うるせぇ!
フォス
ダメかどうかは俺が決める!!
ハンスヴルスト
うーん
ハンスヴルスト
いい景色だねぇ
ハンスヴルスト
君もそう思わないか?カミツル族の神よ
ドゥクス
…ワシはそこまで性根が腐ってない
ハンスヴルスト
そうかい
ハンスヴルスト
アンタが実態あれば酒でも渡して肴にしたが
ハンスヴルスト
この現場はお嫌いなようで?
ドゥクス
ワシの求める苦悩とは違うからな
ドゥクス
他者を操って道具として使うこの戦闘は
ドゥクス
アリの巣に水を流し込む畜生を見てる気分と同格
ドゥクス
故に虫唾が走る
ハンスヴルスト
同じ上に立って見下ろすことが出来るのに
ハンスヴルスト
価値観が違うとは驚きだ
ドゥクス
…お主の目的はなんじゃ?
ハンスヴルスト
言ったでしょう?
ハンスヴルスト
カミツル族を滅ぼす
ドゥクス
何故今更になって滅ぼす?
ドゥクス
機会はいくらでもあった
ドゥクス
それをなぜこのタイミングで?
ハンスヴルスト
それも言ったでしょう?
ハンスヴルスト
彼らが進軍してきたからそれに対しての答えだと
ドゥクス
やろうと思えば進軍する前に村に全勢力を集めれば滅んだ
ドゥクス
それをしなかった理由は?
ハンスヴルスト
単に慎重なだけです
ハンスヴルスト
呪いがあるとはいえ彼らの本当に恐ろしいのは
ハンスヴルスト
危機に瀕した時の突発力
ハンスヴルスト
僕の祖先が残した手記にそう記してありました
ハンスヴルスト
近くで巨大生物と争う種族がいると
ハンスヴルスト
苦戦していてやられるのは時間次第そう判断していた
ハンスヴルスト
しかし、彼らはその皆が思った思考の上を行く
ハンスヴルスト
一人の戦士が高く飛び上がり巨大生物を仕留めた
ハンスヴルスト
偶然その現場を見た祖先はこう残す
ハンスヴルスト
『扱う武器は刃こぼれた剣に盾の機能を果たしてない盾』
ハンスヴルスト
『斬られた相手の首はまるで新品の剣で刎ねたように綺麗だった』と
ハンスヴルスト
この事から彼らは武具に頼らず己の力で強敵に一矢報いる力を持ってる
ハンスヴルスト
その証明をしたんだ
ハンスヴルスト
そんな化け物じみたエピソードを見たんだ
ハンスヴルスト
すぐに手は出せないさ
ハンスヴルスト
で、僕は考えた
ハンスヴルスト
当時の血が薄くなった頃合に殺るのがいいのでは無いか、と
ハンスヴルスト
ありがたいことにこの出来事以降カミツル族に楯突こうと考えた者はいなかった
ハンスヴルスト
もう危機に瀕する事が起きることは無い
ハンスヴルスト
そしてそのまま彼らは森に閉じ込められた
ハンスヴルスト
つまり、命を懸けた狩りが無くなったことを指し
ハンスヴルスト
それ以降カミツル族も他の種族も喧嘩をすることは無い
ハンスヴルスト
だから闘争本能のようなものは時と共に消えていったと僕は考え
ハンスヴルスト
そして計画を移し今に至る、というわけだ
ドゥクス
この機会なら殺れる
ドゥクス
そう判断したのか
ハンスヴルスト
ただ殺すのもつまらない
ハンスヴルスト
つまらないから僕はクロカゲ族の一人を確保し
ハンスヴルスト
こうして僕の実験に付き合ってもらってる
ハンスヴルスト
どうせ彼らが果てを目指す事は出来ない
ハンスヴルスト
ならば、最期に教えてやらないといけない
ハンスヴルスト
僕達が感じた恐怖をその身に、ね
ドゥクス
…なるほど
ドゥクス
だが、お主は少しカミツル族を舐めてるな
ハンスヴルスト
はい?
ドゥクス
呪いをかけて武器種を一つだけに絞らせた
ドゥクス
それで弱体化されたと?
ドゥクス
時をかけて闘争本能を削ったと?
ドゥクス
残念ながらこやつらはどこまで行ってもカミツル族なんじゃよ
ドゥクス
血は逆らえない
ドゥクス
本能はすぐに目を覚ます
ドゥクス
そして、縛られた事で新たな才能が発芽する
ドゥクス
その瞬間をお主は見るといい
ハンスヴルスト
起きるなら、ね
フォス
フォス
ミツルギ!
フォス
前衛はお前に任せる!
フォス
俺はサポートに徹する!
ミツルギ
了解です!
フェアラ
無駄なあがきをぉ!
サポートを宣言したフォスに狙いを定めて襲いに行くフェアラ
だが、直ぐさまミツルギのカバーが入り彼には近づけない
フェアラ
ぐぅ…!?
ミツルギ
僕が相手だ
ミツルギ
今は僕が剣部隊の隊長を任されてる
ミツルギ
なら、その役職に相応しい働きをしないと
ミツルギ
拠点に待つ部下たちから後ろ指さされちゃうからね
フェアラ
そんなに死にたいならお前が先だァ!
身を守るべくミツルギも剣を横に振り互いの攻撃を防ぐ
フェアラ
くぅぅ!?
フェアラ
お前らのその力が
フェアラ
私達クロカゲ族を…
フェアラ
そして世界を破滅に導く!
ミツルギ
そうとは限らない!
ミツルギ
力の使い方はそいつ次第
ミツルギ
良い方にも悪い方にも傾く危うい存在だろう
ミツルギ
でもそれは、僕らのもつ力だけじゃない!
ミツルギ
君達カナリナ族にクロカゲ族だって、僕らに負けぬ力がある!
ミツルギ
クロカゲ族は影を操れるんだろ?
ミツルギ
それだって一つの力だ!
ミツルギ
僕らはその力を持たないし脅威にも感じる事もあるだろう
ミツルギ
カナリナ族だって憎いけど計算高い種族だ
ミツルギ
僕はぶっちゃけ頭は良くないから
ミツルギ
頭のキレる人間は恐怖の対象だよ
ミツルギ
そうやって僕らにも恐怖の対象がある
ミツルギ
自分たちに無いもの、理解し得ないものに恐怖の念を抱くのは当たり前だ
ミツルギ
けど、だからと言って
ミツルギ
一方的に憎むのは間違ってる!
ミツルギ
圧政しようとするのだって違う!
ミツルギ
それはあなたが一番分かってるはずだ
フェアラ
なにをぉ!!
ミツルギ
僕らを逃がしてくれた時
ミツルギ
あなたはどこに居たんですか!?
ミツルギ
部隊長と言われたあなたがいた場所は
ミツルギ
隊の最前列か、あなたが敬愛するシャドウさんの隣じゃないんですか!
ミツルギ
もしそうなら、彼は最期何を願って挑んだんですか!?
ミツルギ
僕らを逃がした理由とシャドウさんの決意を…
ミツルギ
全て知ってその上であの場に残ったんじゃないんですか!?
ミツルギ
恐怖でも圧政でもなくあの瞬間シャドウさんがとった行動は……
ミツルギ
『他種族でも手を取り合う』事じゃなかったんですか!?
ミツルギ
起きろよ!
ミツルギ
起きてもう一度…
ミツルギ
今度こそ討つんだろ!
ミツルギ
本当の敵を!!
フェアラ
黙れ…
フェアラ
黙れ黙れ黙れ黙れ
フェアラ
黙れぇぇ!!
フェアラ
ウォォォォォォォォァ!
ミツルギの剣を弾き刺突の構えから直ぐに腹部めがけて突き刺す
ミツルギ
うぐっ!!?
フェアラ
どんな考えがあったにしても
フェアラ
私にとってあの人は居ないといけない存在!
フェアラ
力の使い方が違うと言うのも強者の考えだ!
フェアラ
結局こうして争いに身を投じて力を行使している
フェアラ
それで良い悪いも語れるかぁ!
フェアラ
行き着く先は勝者の言い分が真実なんだよ…
フェアラ
故人の考えを理解するのは残された者の役目
フェアラ
だが、その残された者は私しかいない
フェアラ
それを伝える相手ももう居ない
フェアラ
ならばもう…
フェアラ
私は間違った道だとしても進むしかない……
ミツルギ
ミツルギ
言えんじゃん…
ミツルギ
ようやく言ってくれたな
ミツルギ
お前の抱える荷物の内容をさ
フェアラ
!?
フェアラ
(コイツ、腹に剣が刺さってなお喋るだと!?)
ミツルギ
互いの腹が割れたとしてもやることは変わんねぇ
ミツルギ
だが、この戦に意味が生まれた
ミツルギ
お前の功績を考えを願いを伝える相手はいない、だと?
ミツルギ
ならば僕らが伝えてやる
ミツルギ
シャドウさんならそうしたと僕は思うから!
腹に剣が刺さった状態で右膝を思いっきりあげて突き刺さる剣をへし折る
フェアラ
なっ!?
ハンスヴルスト
馬鹿なぁ!?
ハンスヴルスト
致命傷…では
ドゥクス
危機的状況に陥った、違うか?
ドゥクス
お前の危惧してた事が起きたな
ハンスヴルスト
くっ!
ドゥクス
だが、それだけじゃない
ハンスヴルスト
なに?
ドゥクス
呪いによって武器を縛られたからこそ生まれた新たな…力
ドゥクス
覚悟や信念による力
ドゥクス
名を『チェシン』とでも呼称しよう
ミツルギ
うぁぁぁぁ!!
傷ついた体でなお攻撃の手を止めず、彼の片腕を斬り落とす
フェアラ
うぐぁ!?
ハンスヴルスト
ちっ…
ハンスヴルスト
そろそろ潮時か
ハンスヴルスト
フェアラ!
ハンスヴルスト
一度帰還する!!
フェアラ
!
ドゥクス
もう帰るのか?
ハンスヴルスト
まだ奴には働いてもらわないと困るからね
ハンスヴルスト
次彼と会うのはだいぶ先かもね
ドゥクス
そうか…
フェアラの元にたどり着くや否やクロカゲ族の能力の一つ影移動により二人は姿をくらました
ミツルギ
はぁ…はぁ…
フォス
ミツルギ!
リド
傷は深く間に合うかどうか…
ドゥクス
応急処置を行い直ぐに村に帰還せよ!
ドゥクス
プルクラなら傷を治せる
ドゥクス
死なすなよ!