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また、自動販売機の前で、君を

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また、自動販売機の前で、君を

1 - また、自動販売機の前で、君を

♥

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2018年11月09日

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ふぅ〜、バイト疲れた〜

なんか、飯食うのめんどいな

原稿書くか

・・・

・・・

・・・

だぁー!!もう!!!

思いつかねー!!!

・・・

やっぱ俺…才能…ないのかなぁ…

・・・

…喉乾いた…

瞬はコートを羽織り、外へ出て、近くの自動販売機へ向かった。

うぃ〜、さみ〜

えっと

…コーヒーでいっか。

あ、

あぶね、金ギリギリだ。

ピッ

ガラガラガシャン

あったけ〜。

プシュ!

…ふぅ〜…

奈緒

あのぉ〜

はい!…え?

奈緒

あのぉ、買いたいんですけど…

へ!?

奈緒

あ、あの、飲み物を買いたいので…

…あ!あ〜すみません。

邪魔でしたね、すみません。

奈緒

すみません笑

え…夜中の1時だぞ…

まだ、高校生か大学生くらいの女の子が、こんな時間に出歩くなんて…

あの…

奈緒

あー…レモンスカッシュないんだ…なににしよ…

あ、あのぉ〜

奈緒

はい?

あ、こんな時間に女の子が出歩くなんて、危なくないのかなぁって

奈緒

はぁ、

奈緒

でも私、27ですよ?

マジで!?

あ、すみません…つい。

あ、いや、10代くらいに見えたもので…

奈緒

えー!そーですかー!うれしー!

まさか、俺より年上とは…

奈緒

あ、そうなんですか!

奈緒

え、ちなみに何歳なんですか?

26です

奈緒

へー!何月生まれですか?

2月です。早生まれで

奈緒

あ、じゃあ同級生ですね!

奈緒

私4月生まれなんです!

あ、そうなんですか…

奈緒

2月ってことは、もうじき誕生日ですね!

そうですね、再来週の末ですね

奈緒

へー!誕生日いいなぁー

そうですか?あまり好きとは思ったことないな…

奈緒

えー!なんでですかー!

奈緒

自分が生まれてきた日ですよ!?

奈緒

お母さんのお腹の中で十月十日と過ごしてきて、やっとの思いで、この世界に出てきた記念すべき日ですよ!

はぁ、まあ、そぉーですね…

奈緒

うん!そうですよ!

AM1:20

奈緒

あ!もうこんな時間!

奈緒

じゃあ、失礼します!

あ、はい…

なんか、ちょっとめんどくさかったけど…綺麗な子だったな…

翌日

沢西さん

不在着信

不在着信

沢西さん

不在着信

不在着信

沢西さん

不在着信

不在着信

沢西さん

おーい、いーきてーるかーい

沢西さん

死んでますかぁ〜?

沢西さん

それとも、生きてますかぁ〜?

沢西さん

おにーさーん

沢西さん

遅刻ですよぉ〜

沢西さん

おーい

沢西さん

おーい

沢西さん

おい!!

沢西さん

遅刻!!💢💢

沢西さん

ち・こ・く!!💢💢

すみません

沢西さん

何してましたか

寝てました

沢西さん

正直でよろしい!

はい!

沢西さん

うん、そんな元気な返事が出来るなら、早くこよ?

すみません笑

沢西さん

とりあえず、話はお前がきてから聞くから、早く来い!

はい。すぐ出まーす

バイト先の工事現場

遅れてすみませーん!

沢西さん

まあ、いいんだけどさ…

はい

沢西さん

あ、いや、よくないよ?全然よくないよ?

はい

沢西さん

…また、小説夜中まで書いてたのか?

はい、なんか、ちょっといいのが書けそうです!

沢西さん

うん…

沢西さん

いや、夢追うのはいいことだし

沢西さん

もちろん応援はしたいんだけどさ

沢西さん

こっちも金払って君を雇ってるわけだから

沢西さん

ちゃんと働いてね?

はい!そこはちゃんとやります!

沢西さん

…できてないから言ってんじゃん…

バイト終わり

沢西さん

おつかれー!みんな!今日はもう上がっていいぞー!

はい!

沢西さん

あ、お前はまだ働け

は?!なんでですか?

沢西さん

当たり前だろ!

沢西さん

3時間も遅刻しといて…

・・・

はい…

沢西さん

俺も残ってるから

沢西さん

もう少し頑張れ

はい…

AM0:57

疲れダァ〜…

もう無理

ピピピッ!ピピピッ!

もう1時か

・・・

そういえば…今日、あの子いるかな…

AM1:13

奈緒

そーいえば、おにーさん名前なんて言うんですか?

え?俺?

奈緒

あなた以外いませんが、

奈緒

え!もしかして、誰かいるとか言わないでくださいよ!

え、この人見えないの?

奈緒

え!え!え!

プッ…うそうそ笑

奈緒

もぉー!やめてくださいよ!

奈緒

私ホラー苦手なんです!

ごめんごめん笑

奈緒

もぉー…

えっと、俺は美山 瞬って言います

おねーさんは?

奈緒

有馬 奈緒って言います

奈緒

有馬温泉の有馬に、奈良の奈と良いって字です

美しい山で、瞬間の瞬です

奈緒

お仕事は何されてるんですか?

・・・

今のところフリーターです…

土木のバイトしながら、小説家目指しています。

奈緒

へー!小説家に!

奈緒

いいですねー!私、本よりマンガの方が好きですけど笑

マンガって読みにくくないですか?

奈緒

えー!?ちっとも!

奈緒

逆に小説は文字だらけで、読むのにすごく時間がかかります!

俺、マンガどう呼んだらいいか分からなくて…

あれって上から下に読めばいいんですか?右から左?

奈緒

えー!なんとなくですよー!

奈緒

上から下の時もあれば

奈緒

右から左の時もあります

そう!それ!

それが僕からしたらややこしすぎて…

奈緒

へー、人によって感じかたって違うもんなんですねぇ〜

ちなみに、えーっと、

奈緒

奈緒です

あ、奈緒さんはなんのお仕事を?

奈緒

あなたよりもっとダメです

あ、ニート

奈緒

俗に言うそれですね笑

なるほど

親が金持ちとか

奈緒

まあ、そんなところです笑

AM1:20

奈緒

あ!もうこんな時間!

奈緒

すみません、失礼しまーす。

あ、はい、おやすみなさい

奈緒

おやすみなさーい

なんだろう…

有馬 奈緒…

どこかで…

翌日

沢西さん

ほほう

沢西さん

2日連続で3時間遅刻とは

沢西さん

良い度胸してんなぁ?

ほんっっっとにごめんなさい!しっかり夜中まで働きます!

沢西さん

しっかりしてよねー!

はぁー…

そうして1日が過ぎ

AM0:53

疲れダァ〜

あ、そのまま自販機行けばよかった

いこ、

自動販売機前

あれ?いない…

今日はこないのかな

そりゃそうか…

いくら27歳でも、割と美人な人が、こんな夜中に出歩くなんて、危ないもんな…

奈緒

誰が"割と"美人なんですか?

うわ!

もうびっくりさせないでくださいよ!

奈緒

昨日のお返しです笑

もう

奈緒

で、私美人なんですか?

奈緒

あなたから見て

う、まぁ、そりゃ…

奈緒

うふふふふふ

気味悪い笑いかたしないでくださいよ!

幽霊じゃあるまいし…

奈緒

・・・

あ、怒っちゃいました?

あぁー、すみませ…

奈緒

怒ってません

え?

あぁそうでしたか

ならよかった

奈緒

・・・

奈緒

やっぱり、気づかないんだね

へ?なにが?

奈緒

瞬くん

奈緒

それとも、シンの方が分かりやすい?

・・・

なんで、その、あだ名を知ってるの?

それは…小学校の時の…

・・・

奈緒

・・・

……あ!!え!?!

なお?

奈緒

うん、やっと気づいてくれた

え、でも、なおって、たしか…

奈緒

うん、三年前死んだ

奈緒

この場所で

え、なんでいるの?

え?え?

奈緒

ごめんね、黙ってて

いや、え?幽霊?

いや、でも、足あるよな

奈緒

・・・

奈緒

幽霊には足がないなんて、勝手な妄想だよ笑

奈緒

あと、幽霊とも違うかな

奈緒

すこし、違う

え?じゃあ、なに?

夢?

奈緒

うーん、違う

…もうなんでもいいや

奈緒

うん、なんでもいいよ

久しぶりだな

奈緒

シン、この三日間

奈緒

有馬奈緒のこと、ちょっと好きだったよね

へ!?!な、なに言ってんだお前…

好きなわけねーだろ!

奈緒

・・そっか…そうだよね

(やめろ)

(そんな顔、しないでくれ)

(好きだったよ…有馬奈緒も…なおも…)

(久しぶりに毎日がたのしかった)

…なぁ…

奈緒

ん?

俺、毎日がすごく辛くてさ

奈緒

うん

小説も、全然芽が出なくて

奈緒

うん

毎日、夜中に帰ってきて。眠い目こすりながら小説書いて

奈緒

うん

んで、賞に出展しても、毎回落とされて

奈緒

うん

俺やっぱ才能ないんだなって…もう嫌だ、消えたいって、毎日思ってた

奈緒

うん

うん

奈緒

うん

奈緒

知ってた…

え?

奈緒

ずっと見てた…

奈緒

瞬が、頑張って小説書いてるのも、

奈緒

頑張って力仕事してるのも

奈緒

疲れて寝ちゃった顔も

奈緒

…エッチな本読んでるのも

え!あ、いや、え?その…

奈緒

…プッ

え、え?

奈緒

…ごめんね

奈緒

本当は、シン…瞬のことが好きだった

奈緒

大好きだった

奈緒

でも、告白する勇気なんてなかった

奈緒

だから、ここで、もしかしたら瞬が飲み物買いに来るかもって

奈緒

毎日待ってたの

奈緒

でも、あの日…

通り魔に…

奈緒

…うん…

奈緒

でも、私は幽霊じゃないの

奈緒

私にも分からないけど…

奈緒

なんなんだろ…私

なおだよ

どっからどう見ても、なおだ

俺も、なおの事が好きだった

ごめん、すぐ言わなくて

まさか、死ぬなんて…

奈緒

そうだよね…

奈緒

私も死ぬなんて思ってなかった…

奈緒

おたがいさまだよ

ちがう!

奈緒

え?

俺は、なおのこと、忘れてた…

あなたをなおだって…気づけなかった…

奈緒

うん、そうだね…

でも、好きだったのは確かだ

奈緒

うん、ありがとう

あなたの笑い方が好きだ

奈緒

うん

あなたの髪が好きだ

奈緒

うん

あなたのその華奢な手が好きだ

奈緒

うん

あなたの、恥ずかしい時におでこを触る癖が好きだ

奈緒

え?そんなことするっけ

するよ、気づいてなかったの?

奈緒

え、うん

そ、そうなんだ、

奈緒

うん、でも、シンも恥ずかしい時、自分の鼻触るよね

あ、うん、

奈緒

ふふ、今も触ってる

もう!いいじゃんか!

奈緒

そこも好き

奈緒

あなたの全部が好き

奈緒

でも、もうお別れしなきゃ

え?…

奈緒

じゃあ、また、来世で

いや…いやだ!

そんなの…

大好きだよ、なお

この世の何よりも、大好きだった

君を二度も失いたくない

ねぇ、やめて、消えないで

奈緒

…ごめ…ん…

奈緒

わた…しも…あなたが…だ…い好きだよ…

奈緒

私たち…来世で…も…また…あえる…かな…

そんなのわかんないよ!

だから!嫌だ!なお!

奈緒

そ…だよ…ね…

奈緒

ごめ…んね?…な…んか…

嫌だ!嫌だ!

大好きだ!だから…

奈緒

あなたと…で…あえ…て

奈緒

よかっ…た…

奈緒

あな…た…を…好きにな…れて…

奈緒

よか…

ーーーーーーーーーーーーーーー

うっ…

ウワァァァァァァァァァァ!!!!!!!!

数年後

記者A

美山先生、今回の受賞。おめでとうございます。

ありがとうございます。

記者A

今回の受賞の知らせを聞き、どういった心境になられましたか?

そうですね、素直に僕の作品を認めてもらえた事が、嬉しかったです。

記者A

この作品は、恋愛小説となっておりますが、先生は恋愛のご経験は

…一度だけ…

沢西土木株式会社のビル前

沢西さん

よおー!美山せんせ!

やめてくださいよ!沢西社長!

沢西さん

かわったねぇ、俺も、お前も

そうですね…

沢西さん

まさか、本当に小説家になっちまうとはねぇー、あの遅刻の常習犯だった美山が…

まったくです笑

沢西さん

お、そういえば、俺本読むの苦手でよ!どんな話なんだよ!

もー、社長なんだから、小説の一冊や二冊、1日で読めないと!

沢西さん

いちにちぃ?早くて1ヶ月はかかるわ!

もう…

そうですねぇ

まずお話は、自動販売機の前から始まります…
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