瞬
ふぅ〜、バイト疲れた〜

瞬
なんか、飯食うのめんどいな

瞬
原稿書くか

瞬
・・・

瞬
・・・

瞬
・・・

瞬
だぁー!!もう!!!

瞬
思いつかねー!!!

瞬
・・・

瞬
やっぱ俺…才能…ないのかなぁ…

瞬
・・・

瞬
…喉乾いた…

瞬はコートを羽織り、外へ出て、近くの自動販売機へ向かった。
瞬
うぃ〜、さみ〜

瞬
えっと

瞬
…コーヒーでいっか。

瞬
あ、

瞬
あぶね、金ギリギリだ。

瞬
あったけ〜。

瞬
…ふぅ〜…

奈緒
あのぉ〜

瞬
はい!…え?

奈緒
あのぉ、買いたいんですけど…

瞬
へ!?

奈緒
あ、あの、飲み物を買いたいので…

瞬
…あ!あ〜すみません。

瞬
邪魔でしたね、すみません。

奈緒
すみません笑

まだ、高校生か大学生くらいの女の子が、こんな時間に出歩くなんて…
瞬
あの…

奈緒
あー…レモンスカッシュないんだ…なににしよ…

瞬
あ、あのぉ〜

奈緒
はい?

瞬
あ、こんな時間に女の子が出歩くなんて、危なくないのかなぁって

奈緒
はぁ、

奈緒
でも私、27ですよ?

瞬
マジで!?

瞬
あ、すみません…つい。

瞬
あ、いや、10代くらいに見えたもので…

奈緒
えー!そーですかー!うれしー!

瞬
まさか、俺より年上とは…

奈緒
あ、そうなんですか!

奈緒
え、ちなみに何歳なんですか?

瞬
26です

奈緒
へー!何月生まれですか?

瞬
2月です。早生まれで

奈緒
あ、じゃあ同級生ですね!

奈緒
私4月生まれなんです!

瞬
あ、そうなんですか…

奈緒
2月ってことは、もうじき誕生日ですね!

瞬
そうですね、再来週の末ですね

奈緒
へー!誕生日いいなぁー

瞬
そうですか?あまり好きとは思ったことないな…

奈緒
えー!なんでですかー!

奈緒
自分が生まれてきた日ですよ!?

奈緒
お母さんのお腹の中で十月十日と過ごしてきて、やっとの思いで、この世界に出てきた記念すべき日ですよ!

瞬
はぁ、まあ、そぉーですね…

奈緒
うん!そうですよ!

奈緒
あ!もうこんな時間!

奈緒
じゃあ、失礼します!

瞬
あ、はい…

なんか、ちょっとめんどくさかったけど…綺麗な子だったな…
沢西さん
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不在着信

沢西さん
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不在着信

沢西さん
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不在着信

沢西さん
おーい、いーきてーるかーい

沢西さん
死んでますかぁ〜?

沢西さん
それとも、生きてますかぁ〜?

沢西さん
おにーさーん

沢西さん
遅刻ですよぉ〜

沢西さん
おーい

沢西さん
おーい

沢西さん
おい!!

沢西さん
遅刻!!💢💢

沢西さん
ち・こ・く!!💢💢

瞬
すみません

沢西さん
何してましたか

瞬
寝てました

沢西さん
正直でよろしい!

瞬
はい!

沢西さん
うん、そんな元気な返事が出来るなら、早くこよ?

瞬
すみません笑

沢西さん
とりあえず、話はお前がきてから聞くから、早く来い!

瞬
はい。すぐ出まーす

瞬
遅れてすみませーん!

沢西さん
まあ、いいんだけどさ…

瞬
はい

沢西さん
あ、いや、よくないよ?全然よくないよ?

瞬
はい

沢西さん
…また、小説夜中まで書いてたのか?

瞬
はい、なんか、ちょっといいのが書けそうです!

沢西さん
うん…

沢西さん
いや、夢追うのはいいことだし

沢西さん
もちろん応援はしたいんだけどさ

沢西さん
こっちも金払って君を雇ってるわけだから

沢西さん
ちゃんと働いてね?

瞬
はい!そこはちゃんとやります!

沢西さん
…できてないから言ってんじゃん…

沢西さん
おつかれー!みんな!今日はもう上がっていいぞー!

瞬
はい!

沢西さん
あ、お前はまだ働け

瞬
は?!なんでですか?

沢西さん
当たり前だろ!

沢西さん
3時間も遅刻しといて…

瞬
・・・

瞬
はい…

沢西さん
俺も残ってるから

沢西さん
もう少し頑張れ

瞬
はい…

瞬
疲れダァ〜…

瞬
もう無理

瞬
もう1時か

瞬
・・・

瞬
そういえば…今日、あの子いるかな…

奈緒
そーいえば、おにーさん名前なんて言うんですか?

瞬
え?俺?

奈緒
あなた以外いませんが、

奈緒
え!もしかして、誰かいるとか言わないでくださいよ!

瞬
え、この人見えないの?

奈緒
え!え!え!

瞬
プッ…うそうそ笑

奈緒
もぉー!やめてくださいよ!

奈緒
私ホラー苦手なんです!

瞬
ごめんごめん笑

奈緒
もぉー…

瞬
えっと、俺は美山 瞬って言います

瞬
おねーさんは?

奈緒
有馬 奈緒って言います

奈緒
有馬温泉の有馬に、奈良の奈と良いって字です

瞬
美しい山で、瞬間の瞬です

奈緒
お仕事は何されてるんですか?

瞬
・・・

瞬
今のところフリーターです…

瞬
土木のバイトしながら、小説家目指しています。

奈緒
へー!小説家に!

奈緒
いいですねー!私、本よりマンガの方が好きですけど笑

瞬
マンガって読みにくくないですか?

奈緒
えー!?ちっとも!

奈緒
逆に小説は文字だらけで、読むのにすごく時間がかかります!

瞬
俺、マンガどう呼んだらいいか分からなくて…

瞬
あれって上から下に読めばいいんですか?右から左?

奈緒
えー!なんとなくですよー!

奈緒
上から下の時もあれば

奈緒
右から左の時もあります

瞬
そう!それ!

瞬
それが僕からしたらややこしすぎて…

奈緒
へー、人によって感じかたって違うもんなんですねぇ〜

瞬
ちなみに、えーっと、

奈緒
奈緒です

瞬
あ、奈緒さんはなんのお仕事を?

奈緒
あなたよりもっとダメです

瞬
あ、ニート

奈緒
俗に言うそれですね笑

瞬
なるほど

瞬
親が金持ちとか

奈緒
まあ、そんなところです笑

奈緒
あ!もうこんな時間!

奈緒
すみません、失礼しまーす。

瞬
あ、はい、おやすみなさい

奈緒
おやすみなさーい

沢西さん
ほほう

沢西さん
2日連続で3時間遅刻とは

沢西さん
良い度胸してんなぁ?

瞬
ほんっっっとにごめんなさい!しっかり夜中まで働きます!

沢西さん
しっかりしてよねー!

瞬
はぁー…

瞬
疲れダァ〜

瞬
あ、そのまま自販機行けばよかった

瞬
いこ、

瞬
あれ?いない…

瞬
今日はこないのかな

瞬
そりゃそうか…

瞬
いくら27歳でも、割と美人な人が、こんな夜中に出歩くなんて、危ないもんな…

奈緒
誰が"割と"美人なんですか?

瞬
うわ!

瞬
もうびっくりさせないでくださいよ!

奈緒
昨日のお返しです笑

瞬
もう

奈緒
で、私美人なんですか?

奈緒
あなたから見て

瞬
う、まぁ、そりゃ…

奈緒
うふふふふふ

瞬
気味悪い笑いかたしないでくださいよ!

瞬
幽霊じゃあるまいし…

奈緒
・・・

瞬
?

瞬
あ、怒っちゃいました?

瞬
あぁー、すみませ…

奈緒
怒ってません

瞬
え?

瞬
あぁそうでしたか

瞬
ならよかった

奈緒
・・・

奈緒
やっぱり、気づかないんだね

瞬
へ?なにが?

奈緒
瞬くん

奈緒
それとも、シンの方が分かりやすい?

瞬
・・・

瞬
なんで、その、あだ名を知ってるの?

瞬
それは…小学校の時の…

瞬
・・・

奈緒
・・・

瞬
……あ!!え!?!

瞬
なお?

奈緒
うん、やっと気づいてくれた

瞬
え、でも、なおって、たしか…

奈緒
うん、三年前死んだ

奈緒
この場所で

瞬
え、なんでいるの?

瞬
え?え?

奈緒
ごめんね、黙ってて

瞬
いや、え?幽霊?

瞬
いや、でも、足あるよな

奈緒
・・・

奈緒
幽霊には足がないなんて、勝手な妄想だよ笑

奈緒
あと、幽霊とも違うかな

奈緒
すこし、違う

瞬
え?じゃあ、なに?

瞬
夢?

奈緒
うーん、違う

瞬
…もうなんでもいいや

奈緒
うん、なんでもいいよ

瞬
久しぶりだな

奈緒
シン、この三日間

奈緒
有馬奈緒のこと、ちょっと好きだったよね

瞬
へ!?!な、なに言ってんだお前…

瞬
好きなわけねーだろ!

奈緒
・・そっか…そうだよね

瞬
(やめろ)

瞬
(そんな顔、しないでくれ)

瞬
(好きだったよ…有馬奈緒も…なおも…)

瞬
(久しぶりに毎日がたのしかった)

瞬
…なぁ…

奈緒
ん?

瞬
俺、毎日がすごく辛くてさ

奈緒
うん

瞬
小説も、全然芽が出なくて

奈緒
うん

瞬
毎日、夜中に帰ってきて。眠い目こすりながら小説書いて

奈緒
うん

瞬
んで、賞に出展しても、毎回落とされて

奈緒
うん

瞬
俺やっぱ才能ないんだなって…もう嫌だ、消えたいって、毎日思ってた

奈緒
うん

瞬
うん

奈緒
うん

奈緒
知ってた…

瞬
え?

奈緒
ずっと見てた…

奈緒
瞬が、頑張って小説書いてるのも、

奈緒
頑張って力仕事してるのも

奈緒
疲れて寝ちゃった顔も

奈緒
…エッチな本読んでるのも

瞬
え!あ、いや、え?その…

奈緒
…プッ

瞬
え、え?

奈緒
…ごめんね

奈緒
本当は、シン…瞬のことが好きだった

奈緒
大好きだった

奈緒
でも、告白する勇気なんてなかった

奈緒
だから、ここで、もしかしたら瞬が飲み物買いに来るかもって

奈緒
毎日待ってたの

奈緒
でも、あの日…

瞬
通り魔に…

奈緒
…うん…

奈緒
でも、私は幽霊じゃないの

奈緒
私にも分からないけど…

奈緒
なんなんだろ…私

瞬
なおだよ

瞬
どっからどう見ても、なおだ

瞬
俺も、なおの事が好きだった

瞬
ごめん、すぐ言わなくて

瞬
まさか、死ぬなんて…

奈緒
そうだよね…

奈緒
私も死ぬなんて思ってなかった…

奈緒
おたがいさまだよ

瞬
ちがう!

奈緒
え?

瞬
俺は、なおのこと、忘れてた…

瞬
あなたをなおだって…気づけなかった…

奈緒
うん、そうだね…

瞬
でも、好きだったのは確かだ

奈緒
うん、ありがとう

瞬
あなたの笑い方が好きだ

奈緒
うん

瞬
あなたの髪が好きだ

奈緒
うん

瞬
あなたのその華奢な手が好きだ

奈緒
うん

瞬
あなたの、恥ずかしい時におでこを触る癖が好きだ

奈緒
え?そんなことするっけ

瞬
するよ、気づいてなかったの?

奈緒
え、うん

瞬
そ、そうなんだ、

奈緒
うん、でも、シンも恥ずかしい時、自分の鼻触るよね

瞬
あ、うん、

奈緒
ふふ、今も触ってる

瞬
もう!いいじゃんか!

奈緒
そこも好き

奈緒
あなたの全部が好き

奈緒
でも、もうお別れしなきゃ

瞬
え?…

奈緒
じゃあ、また、来世で

瞬
いや…いやだ!

瞬
そんなの…

瞬
大好きだよ、なお

瞬
この世の何よりも、大好きだった

瞬
君を二度も失いたくない

瞬
ねぇ、やめて、消えないで

奈緒
…ごめ…ん…

奈緒
わた…しも…あなたが…だ…い好きだよ…

奈緒
私たち…来世で…も…また…あえる…かな…

瞬
そんなのわかんないよ!

瞬
だから!嫌だ!なお!

奈緒
そ…だよ…ね…

奈緒
ごめ…んね?…な…んか…

瞬
嫌だ!嫌だ!

瞬
大好きだ!だから…

奈緒
あなたと…で…あえ…て

奈緒
よかっ…た…

奈緒
あな…た…を…好きにな…れて…

奈緒
よか…

瞬
うっ…

瞬
ウワァァァァァァァァァァ!!!!!!!!

記者A
美山先生、今回の受賞。おめでとうございます。

瞬
ありがとうございます。

記者A
今回の受賞の知らせを聞き、どういった心境になられましたか?

瞬
そうですね、素直に僕の作品を認めてもらえた事が、嬉しかったです。

記者A
この作品は、恋愛小説となっておりますが、先生は恋愛のご経験は

瞬
…一度だけ…

沢西さん
よおー!美山せんせ!

瞬
やめてくださいよ!沢西社長!

沢西さん
かわったねぇ、俺も、お前も

瞬
そうですね…

沢西さん
まさか、本当に小説家になっちまうとはねぇー、あの遅刻の常習犯だった美山が…

瞬
まったくです笑

沢西さん
お、そういえば、俺本読むの苦手でよ!どんな話なんだよ!

瞬
もー、社長なんだから、小説の一冊や二冊、1日で読めないと!

沢西さん
いちにちぃ?早くて1ヶ月はかかるわ!

瞬
もう…

瞬
そうですねぇ

瞬
まずお話は、自動販売機の前から始まります…
