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今日も、ほどほどに。
遥
じゃあね、バイバイ
遥
(あの人たちめんどくさいな…)
遥
(4月ほど憂鬱なものはないや)
ぽつ、ぽつ。
遥
あ、雨
遥
天気予報は晴れだったのに…
遥
(止まなさそう、傘忘れちゃったんだよなぁ)
遥
(コンビニで雨宿りしよう。あそこなら誰にも会わないはず)
春、新しい生活に 微かな憂鬱を抱え
？？？
やっべぇ、濡れちった
遥
(言った矢先に…同じ制服、澄高じゃん)
遥
(タオル、持ってるけど)
遥
(ここで出しゃばったらなんて思われるか分からな──)
今日もほどほどに ひっそりと生きていた
？？？
あれ、君
？？？
澄高の1年生？
遥
………え、はい
？？？
俺もだよ！
俺は1Aの佑、よろしくな！
俺は1Aの佑、よろしくな！
遥
1Bの遥です、よろしく
遥
(話しかけられちゃった…)
遥
(適当に話合わせなきゃ)
佑
天気予報晴れだったのに急にこんな雨なんて、俺たちついてねえな
遥
ほんと、そうだよね
遥
朝見た時は晴れだったから、わたし傘持ってきてないや
遥
(佑くん、人気者なんだろうな)
遥
(話し方がすごく、そのものだ)
あの人に、似てる。
佑
いいよ、使って
遥
…？
佑
俺、家近いからさ
遥
え、でも
佑
ほんとに大丈夫だって
タッ、タッ、タッ
遥
あ、待って…！
遥
タオル、これ使って
佑
…いいのか？
遥
うん
遥
カバンは傘代わりにはならないよ
遥
濡れてると風邪引いちゃうし…
遥
返さなくても、大丈夫だから
佑
ありがとう、必ず返すから
佑
んじゃまたな
風邪ひくなよー！
風邪ひくなよー！
遥
(行っちゃったよ…)
遥
(佑くん、かっこいいひとだった)
遥
(きっとモテるんだろうなぁ)
遥
(いやいや、わたし何考えてんの)
遥
(家に帰らなきゃ、やることがたくさん待ってるんだから)
この出会いが 彼等の運命を狂わせることを 神さえもまだ、知らない。
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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