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たんぽぽ
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佐野勇斗
吉田仁人
ライブが終わった後の楽屋。 申し訳なさそうに眉を下げて平謝りする勇斗に、俺はいつも通りのリーダーの顔で微笑んでみせた。 「これ、俺の部屋の鍵。先行ってて」と手のひらに渡された金属の重みを握りしめ、俺は一人、勇斗のマンションへと向かった。 約束していた、久しぶりのお泊まり。 頭では仕事だから仕方ないと分かっていても、静まり返った勇斗の部屋に一人でいると、胸の奥にじわじわと寂しさが広がっていく。 時計の針は、すでに深夜1時を回っていた。
吉田仁人
テレビの音も頭に入らず、俺はソファの上で小さく膝を抱えた。 寂しさを紛らわせたくて、クローゼットから勇斗の使い古した大きめのスウェット。泊まりに来る度に借りている。 ぶかぶかの袖口から、彼と同じ柔軟剤の匂いと、微かに残る勇斗自身の香水の匂いがして、それだけで胸がキュンと締め付けられた。 それだけでは足りなくて、クローゼットに掛かっていた彼のパーカーを引っ張り出し、胸元にぎゅっと抱きしめる。 彼の匂いに包まれていると、まるで勇斗に後ろから抱きしめられているような錯覚に陥って、少しだけ心が落ち着いた。
吉田仁人
恋人になってから、俺は確実に弱くなっている。 勇斗の過保護な愛に甘やかされて、一人の夜の過ごし方を忘れてしまったみたいだ。 パーカーに顔を埋め、彼の匂いを深く吸い込みながら、俺はいつの間にか心地よい眠気に誘われてまぶたを閉じた。 カチャリ、と静かにドアが開く音がしたのは、午前3時前のことだった。
佐野勇斗
足音を忍ばせてリビングに入ってきた勇斗は、ソファの上の光景を見て、その場で息を呑んだ。 そこには、自分の大きすぎるスウェットに身を包み、さらに自分のパーカーを愛おしそうに両腕でぎゅっと抱きしめたまま、小さくなって眠っている仁人の姿があった。 寂しさに耐えながら自分を待ってくれていたことが、その健気な姿から痛いほど伝わってくる。
吉田仁人
気配を察して、俺はゆっくりと目を付けた。視界が滲む中、目の前に大好きな人の顔がある。
佐野勇斗
吉田仁人
佐野勇斗
勇斗の視線が、俺の手の中のパーカーとスウェットに注がれる。ハッと正気に戻った俺は、猛烈に恥ずかしくなって、慌ててパーカーを隠そうとした。
吉田仁人
佐野勇斗
勇斗は愛おしさが限界突破したような顔で、俺の手からパーカーを取り上げると、そのまま俺の身体ごと強く抱きしめてソファに押し倒した。
吉田仁人
佐野勇斗
吉田仁人
顔を真っ赤にして抵抗する俺の唇を、勇斗は優しく、でも逃がさない強さで塞いだ。 長時間の仕事で少し疲れた彼の匂いと、ずっと恋しかった温かい体温が、一気に俺の中に流れ込んでくる。 何度も何度も、寂しさを埋めるように深く重ねられるキス。
佐野勇斗
キスを交わす隙間で、勇斗が耳元で甘く囁く。
吉田仁人
消え入るような声で本音をこぼすと、勇斗は嬉しそうに目を細めて、「次は絶対に置いてかない」と俺の額にキスをした。 勇斗がいない部屋で感じていた寂しさは、腕の中に収まった瞬間、極上の甘さへと変わっていく。 夜が明けるまでの残り少ない時間、俺たちは奪い合うように、お互いの温もりを確かめ合った。
コメント
1件
お泊まりの待ち時間、一人で彼の服に包まってる描写がめちゃくちゃ甘くて胸がきゅんとした……! 寂しさを抱えてるのに、帰ってきた瞬間の「おかえり」のやり取りで全部報われる感じ、すごく良かったです。お互いの存在を確かめ合う夜の余韻が素敵でした✨