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宇山 珀兎(ハクト)

母さんが危ない!

宇山 珀兎(ハクト)

助けないと!

立ち上がった僕の腕を 原石くんがつかむ

原石 六空(ムク)

行くって、どこに?

原石 六空(ムク)

あてはあるのか?

宇山 珀兎(ハクト)

……ない、けど

宇山 珀兎(ハクト)

ほっとけないよ!

宇山 珀兎(ハクト)

家族なんだ……

宇山 珀兎(ハクト)

たった1人の……

宇山 珀兎(ハクト)

(父さんはもう居ない)

宇山 珀兎(ハクト)

(だから、僕が母さんを守らないと)

宇山 珀兎(ハクト)

お願い、原石くん

宇山 珀兎(ハクト)

この手を離して?

宇山 珀兎(ハクト)

お願いだから……

僕はすがるように 原石くんを見つめた

原石 六空(ムク)

……チッ、仕方ねぇな

原石 六空(ムク)

もう一度、七面の家に行ってみよう

宇山 珀兎(ハクト)

えっ!?七面さんの……?

宇山 珀兎(ハクト)

(話なんて、できるのかな?)

宇山 珀兎(ハクト)

(また「殺して」なんて言われたら……)

宇山 珀兎(ハクト)

宇山 珀兎(ハクト)

大丈夫かな?

原石 六空(ムク)

まあ、嫌なのはしかたない

原石 六空(ムク)

さっき、あんな事があったばかりだからな

宇山 珀兎(ハクト)

……

原石 六空(ムク)

だけど、もしも……

原石 六空(ムク)

三次と五木の死が“十五祭”に関係してるなら……

原石 六空(ムク)

次に狙われるのは、七面だ

宇山 珀兎(ハクト)

じゃあ、そこに母さんも!

原石 六空(ムク)

それは、分かんねえけど……

原石 六空(ムク)

行ってみる価値は、あるんじゃないか?

宇山 珀兎(ハクト)

そうだね

宇山 珀兎(ハクト)

(そこに母さんが居るかは分からないけど……)

宇山 珀兎(ハクト)

(次に狙われるのは、きっと七面さんだ)

宇山 珀兎(ハクト)

(守らないと)

どくん

宇山 珀兎(ハクト)

もう誰も、死なせたくない

七面家へ向かうと

七面の母

美羽、どこに行ったの!?

青ざめた顔の女性が居た

宇山 珀兎(ハクト)

(誰だろう?あの人)

原石 六空(ムク)

おばさん!

原石 六空(ムク)

美羽に、なにかあったんですか?

七面の母

居ないのよ!どこにも!

七面の母

自分の部屋にも、わたしの部屋にも!

七面の母

倉庫だって……!

原石 六空(ムク)

落ち着いて、おばさん!

原石 六空(ムク)

美羽に、何があったの!?

七面の母

それが……

七面さんの母親は 荒い呼吸を繰り返す

七面の母

あの、あの……!

驚いたように見開かれた目

頬に張りつく髪

目から鼻から 口から零れる液体が

彼女の取り乱しようを 物語っていた

宇山 珀兎(ハクト)

(どうして、こんなに動揺してるんだろう?)

宇山 珀兎(ハクト)

(なくなったのは、本当に七面さんだけ?)

原石 六空(ムク)

おばさん、ゆっくりでいいよ

七面の母

みうが……美羽が、居なくなったの……

七面の母

それだけじゃないわ!

七面の母

七面家が受け継いできた、刀も一緒に!

宇山 珀兎(ハクト)

それって!

七面の母

あの刀を無くしたら、儀式はもう続けられない

七面の母

私たちは、七三五様に許しを乞う事すら許されない!

七面の母

もう、何もかもお終いよ……

七面の母

七面家も、月無村も

七面の母

うふ、うふふ……

七面の母親は 気がふれたように笑う

僕はその笑みを見て

宇山 珀兎(ハクト)

(七面さんと、似てる……)

そう思ってしまった

原石 六空(ムク)

おばさん、気をしっかり!

原石くんが声をかけるけど

七面の母

終わりよ、もう終わりなの……

七面の母

うふ、ふふふ……

七面さんの母親には 届いていないようだった

原石 六空(ムク)

くそっ!

原石 六空(ムク)

どこか……

原石 六空(ムク)

どこか、ないか!?

原石 六空(ムク)

美羽が行きそうな所……

原石 六空(ムク)

七三五様に関連する場所……

原石 六空(ムク)

くそっ、分かんねえ!

原石くんは忌々しげに 髪をかきむしる

宇山 珀兎(ハクト)

(どうしよう……)

宇山 珀兎(ハクト)

(僕には、なにもできない)

宇山 珀兎(ハクト)

(僕は……)

「ワシは……」

宇山 珀兎(ハクト)

(なんて、無力なんだろう……?)

「なんちょ無力なんや」

どくん

七三五の髪を梳かすのは 難儀だった

七三五

……っ!

兎吉

すまんよってに!

兎吉

痛いとこ、なかか!?

七三五の髪に触れる

それは

彼女の頭部にくい込んだ 角に触れること

兎吉

こないな姿にされて……

神を恐れる 人間の手によって

七三五の姿は 人外のモノとなった

兎吉

(頭に刺さっとう角は、まるで野生の鹿みたいや)

兎吉

(それに、この爪!)

兎吉

(こないなもん、付けよってからに!)

七三五

兄やん

七三五

ウチにあんまり、寄りよったら……

兎吉

痛っ!

七三五

兄やん!

兎吉

大丈夫や

兎吉

ちいとばかし、指ば切れよっただけたい

七三五の世話を焼くのは 自分の役目

正直、それは 苦では無かった

だが二人には壁があった

兄妹という肩書き

そして 七三五の背にある……

七三五

ごめんな?

七三五

この羽根、自分の意思では動かせんきに……

宇山 珀兎(ハクト)

そうか、背中

原石 六空(ムク)

はぁ?

宇山 珀兎(ハクト)

三次家は、頭に角を贈った

宇山 珀兎(ハクト)

だから頭だったんだ!

原石 六空(ムク)

んだよ、それ……

原石くんが顔をしかめる

だけど僕は 考えることを止めない

宇山 珀兎(ハクト)

そして、五木家は爪に鱗を贈った

宇山 珀兎(ハクト)

だから、爪でのどを……

原石 六空(ムク)

おい、宇山!

原石 六空(ムク)

お前、なにが言いたいんだよ!

宇山 珀兎(ハクト)

だから、背中だよ!

宇山 珀兎(ハクト)

七面家は、羽根を贈った!

宇山 珀兎(ハクト)

そしてそれを植え付けたんだ!七三五様の背中に!

原石 六空(ムク)

七三五様の……背中に?

宇山 珀兎(ハクト)

そう。だから……

宇山 珀兎(ハクト)

七面さんが“奪われる”なら、背中だ!

原石 六空(ムク)

“奪われる”って!?

宇山 珀兎(ハクト)

七三五様は、取り返すつもりなんだ!

宇山 珀兎(ハクト)

自分の奪われたものをみんなから

宇山 珀兎(ハクト)

止めないと!

宇山 珀兎(ハクト)

七三五様を止めないと!

『七三五ば』

『止めたらんと』

胸の奥から響く 悲しい声

その声に、言葉に

耳を傾ける

宇山 珀兎(ハクト)

(これがきっと、僕の使命……)

宇山 珀兎(ハクト)

(十五夜の人間が受け継いできた役目)

胸に手を当てる

どぷん

宇山 珀兎(ハクト)

水の……音?

心臓の鼓動は少しだけ

水面をはねる音に 似ていた

七三五様〜ツキとウサギのひめごと〜

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