テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
rara🎼
nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 病院パロ
rara🎼
rara🎼
rara🎼
2,黒百合
心臓の鼓動がうるさい。
病院の天井を見つめながら、らんは思う。
うるさいのに、弱い。
ちょっと動けば息が切れ、胸が痛み、看護師が駆け寄ってくる。
その繰り返しに、もううんざりしていた。
今日もまた、外出許可は下りなかった。
「心臓に負担がかかるから」という理由は、耳にたこができるほど聞かされた。
医者も看護師も、同じ顔をして同じ言葉を繰り返す。
――まるで、俺を箱に閉じ込めておくための言い訳みたいだ。
昼下がり。
こさめが透析から戻ってきて、ベッドに沈み込む。
なつは相変わらず窓辺で空を見ている。
なつ
と訊かれても、
らん
と短く返すだけ。
会話はすぐ途切れ、病室は再び静かになる。
沈黙は、らんにとって心地いい時間だった。
誰にも踏み込まれず、誰の感情も背負わなくていい時間。
だが、その静寂は唐突に破られた。
いるま
低い声がして顔を向けると、いるまが立っていた。
俺と大して身長は変わらないくせに、表情はいつも無表情に近い。
笑わないくせに、患者の動きをよく見ている。
らん
いるま
いるま
らん
冷たく返しても、いるまは怯まない。
ベッド脇に置かれたモニターを確認しながら、淡々と数値を読み上げる。
いるま
いるま
わざわざ言わなくてもわかっていることを、また言われた。
胸の奥に苛立ちが溜まる。
らん
いるま
そう言って、いるまはあっさり背を向けた。
なんだ、それは。
引き止められると思ったのに。
心の奥にわずかな空洞が生まれたが、らんはすぐに蓋をした。
夕方。
病棟の廊下を、らんはゆっくり歩いていた。
看護師には「散歩程度なら」と許可を取ってある。
窓際から外を覗くと、オレンジ色の夕日が病院の影を長く伸ばしていた。
外の世界は、ここから見ると絵のようだ。
触れられないからこそ、美しい。
いるま
振り返ると、またいるまが立っていた。
らん
いるま
淡々とした口調だが、その奥に微かな熱を感じた。
だが、らんは視線を逸らす。
らん
いるま
短い言葉に、足が止まる。
だが、返す言葉が見つからず、そのまま歩き出した。
夜。
病室は暗く、静かな呼吸音だけが聞こえる。
こさめは深く眠り、なつは微かに咳き込んでいる。
らんは眠れず、イヤホンで音楽を聴いていた。
そのとき、カーテンの向こうから声がした。
いるま
らん
驚いて振り向くと、いるまが立っていた。
いるま
いるま
半信半疑で病室を抜け出すと、いるまは病棟の非常階段へ案内した。
夜風がひやりと頬を撫でる。
街の灯りが遠くに瞬き、足元には病院の影が落ちている。
いるま
いるまが言う。
らん
口では否定しながらも、胸の奥の空気が少し入れ替わる感覚があった。
いるま
いるま
いるまの声は低く、真剣だった。
らん
いるま
短く返された言葉が、夜風よりも冷たく胸に刺さった。
病室に戻ると、こさめが寝返りを打ち、なつが小さく咳き込んでいた。
孤独は、ここにもある。
それでも、ほんの少しだけ――完全な孤独じゃないかもしれない、と思えた。
らんはイヤホンを外し、天井を見つめた。
鼓動はまだ弱く、うるさい。
だが、その音が、今夜は少しだけ静かに感じられた。
2・了
rara🎼
rara🎼
rara🎼
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡300
rara🎼
rara🎼
rara🎼
コメント
9件
黒百合って匂いが独特なんでしょ? なんかそれも「他人を寄せ付けない」みたいな意味がありそう 呪いは聞いたことある!! それが、外に出れないことを表してるのかな? 今回も面白かった!!
〜黒百合の花言葉の由来〜 ・孤独 黒百合は、北海道や本州北部などの高山や寒冷地に自生していて、人里離れた厳しい環境でひっそりと咲く。 しかも群生するよりも、ぽつんと咲くことが多く、見る人も限られる。 この“ひとり静かに生きる姿”が「孤独」という花言葉に結びついた。 ・呪い アイヌ民族には、黒百合にまつわるこんな伝説がある。